子どもの最善の利益とは - 子どもの権利条例勉強会に行ってきました

いじめや自死、虐待の事件を耳にするたびに、「子どもの生きる権利・成長する権利」をどうすれば守れるのか、と思う。個別の対策も必要だが、理念の共有も大事ではないだろうか。
そんな思いを巡らす中で、母親の有志が勉強会を開催しました。そのご報告です。

 

 

 

 

 

 

 

勉強風景

 

 

3月21日 大田区消費者生活センター内 mics大田 
主催 「おおたっ子権利条例をつくる会」

子どもの権利条例勉強会
子どもの権利条例ってなあに?

講師:喜多明人先生

(早稲田大学文学学術院教授。子どもの権利条約ネットワーク代表)

「なぜ、子どもの権利条例なのか、その目的と意義」

■子どもの権利の視点がなければ解決しない子ども問題・山積

※子どもの権利=ライツ 人間としての当たり前の意志・要求

●子どもに向けられた暴力(いじめ、虐待)=子どもの権利侵害性
→だれがやるかということではなく、「暴力は暴力」という視点があって解決する

●子どもの権利としての参加=単に意見を聞くのではなく、意思決定の共有、決定プロセスへの参加

今の社会は大人が強すぎる⇒数で負けている。子どもをもっと前へ応援しなければ
大人と子どものズレ⇒意思決定に参加できないから
日本の教師⇒イニシアティブを手渡したくない

 

■子どもの権利条約(1989年国連採択、1994年日本批准)を地域・自治体から実現

地方分権一括法(1999年)が後押し⇒2000年代子ども(の権利)条例づくりの進展

●川崎市子どもの権利に関する条例(2000年12月制定)

●身近な地域、学校等の子ども施設、家庭における子どもの権利実現
・子どもの意見表明・参加の権利・・・子ども議会、子ども会議、学校協議会など
・ありのままの自分でいる権利・・・子どもの居場所
・安心して相談でき、助けを求める権利・・・子どもオンブズパーソン
第三者的な相談、救済機関、救済制度は重要 世田谷の「せたホッと」は水準高い

●条例である理由
・縦割り行政の壁をクリア、横断的なしくみ、自治体の憲法
・乳幼児・児童・若者期の継続性・連続性

●国・日本政府レベルでの条約実現⇔身近な地域での子どもの権利実現
・意見表明権と書いてあるが、一番身近なところで実現できないとダメ。
たとえば、いじめられている子どもが文科省にSOSを出すのか。

 

幕別町子どもの権利に関する条例
自己肯定感の向上をめざす
札内北小学校、子どもと共に創る学校=最高の意思決定機関は児童会

川崎子ども夢パーク
「川崎子どもの権利条例」の具現化、韓国や欧米からも視察(プレーパーク、居場所)

遊びの権利が一番政策になっていない・子どもにとっては外遊びが重要
今の大学生⇒「早期教育をやらせないのは最善の利益ではない」という学生もいる。学生自身、外遊びをしてきていない。がまんをずっとしてきている。やりたいことをおきざりにしてきている。本当のやりたいことがわからなくなってきている。

 
子ども時代
やりたいことをめいっぱいやる、外遊びが重要⇒冒険遊び場

やれる実践家がいないとできない、プレーリーダー、プレーワーカー
今はプレーワーカーという(教えるということの限界)

 

「条例制定は、どのような方法で実現するのか」

■条例制定への提案(きっかけ)

・首長の公約・行政の内部検討・次世代育成行動計画への条例制定明記
・住民の要望、取り組み・議員の質問、立法

自治体ごとの特徴
・松本市・支援している人の支援をする
共に支え合って生きていくまちづくり、ちがう年代の人との交流
・足利市・市民案を作っている
具体的に共有できるものをつくっていく(議員・行政・弁護士)

 

各自治体のこども権利条例

 


参加者の声から
・市民参加の条例を作っていこう。
・今の子どもたち、いつでも大人の目の中にいる。子どものいる場所がどんどんなくなってきている。幼稚園に入る前からおけいこごと、のびのび生きられる世の中であってほしい。
・困っている子ども多い。対策をとっていかなければならない。フリースペースや相談窓口。細かく山をくずしていくのが良いのでは。マイノリティの権利を。地味でも児童館は大切では。
・子どもは地元の人脈の中で生きている。障害があっても地域の学校に通いたい。子どもの意志が尊重されるような、あたりまえの生活ができる社会であってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

喜多先生を囲んで