ドキュメンタリー映画『ほたるの川のまもりびと』を観て
「ダム建設反対」の活動で人生の大半を費やす人がいることに愕然となる。
しかし私も「石木ダム建設反対!」といっしょに叫びたい。
だって絶対に失いたくない美しいところだから。
「ほたるの川のまもりびと」ドキュメンタリー映画。
7月7日よりユーロスペース(渋谷)にて公開。
日本の宝のような美しく豊かな里山、長崎県東彼杵群川棚町川原(こうばる)地区。きれいな水だから美味しい米がとれる。川には魚、野には蛇やカエルやイノシシ、雉。蛍の光のなんて神々しことか。そして大きな家族のように助け合って暮らしている人々。子どもの成長を喜び、人の死を悲しみ、いっしょに働き、笑い合う日常がある。
ダムの計画が立てられたのは1962年。利水と治水のためだとされているが、その必要はないと専門家は言っている。ダムの根拠の検証もされないままもう半世紀。1982年に県の職員と機動隊による強制測量が行われてから、毎日工事車両の進入を防ぐためにバリケードを築き座り込む人々。推進派と反対派で村が分断されそうになったり、補償金をもらって引越したりした人もいる。多額の補償金で人生を狂わされた人も。しかし残った13世帯、54人の結束は固い。
ダム建設をしようとしているのは長崎県と佐世保市。多額の税金をつぎ込む公共工事に必然性があるかどうか、なぜ検証しないのか。住民を守るべき自治体が逆に住民のささやかな暮らしを奪おうとするのか、先祖伝来の土地を奪おうとするのか。相談もなしに。
国や行政が一方的に決める自然破壊と住民の追い出し。構造的な暴力。この不条理な現実を知って、なぜこんなことが起こるのか、冷静に考えなくてはならない。行政には50年後の日本を想像してみてほしい。美しく平和な日本を残していこう、とは思わないのか。沖縄もしかり。原発もしかり。
ともかく日本を愛する人には、ぜひこの映画をみてほしい!