「安眠をさまたげる深夜・早朝の航空機騒音に関する陳情」-大田区議会第2回定例会のご報告【4】

「安眠をさまたげる深夜・早朝の航空機騒音に関する陳情」が不採択!
区民の味方であるべき大田区議会なのに

 

今回の議会には羽田空港の深夜早朝の騒音軽減や新飛行ルート案に対しての調査、見直しなどの陳情が9本提出されました。大田・生活者ネットワークは9本すべてに採択を求めましたが、残念ながら全て不採択(多数決による)という結果でした。
議会最終日には、以下の討論をいたしましたのでご報告します。

 

「安眠をさまたげる深夜・早朝の航空機騒音に関する陳情」の採択を求める討論

大田区は羽田空港を擁する自治体として、特別な立場で国とも関わってきた経緯があります。羽田空港の再拡張化により、産業発展をのぞみながらも、区民生活をどう守っていくかというバランスを踏まえて努力を続けてきたのが大田区と大田区議会だととらえています。

今年の3月31日を持って廃止されたA滑走路北向き離陸左旋回もようやくではありますが、区民と大田区と区議会の長年の努力の成果といえるでしょう。
この陳情の中でも引用されている2013年9月30日の区議会から出された東京国際空港A滑走路北側離陸左旋回の早期廃止を求める意見書には、区議会としての毅然とした姿勢が表れています。
こう書かれています。「歴史的に戦後48時間以内の強制退去をはじめとする地域住民の多大なる犠牲と忍耐、騒音による健康面の不安の上に今日の空港の発展があることにかんがみても、左旋回の運用が継続されることを決して容認することはできない。大田区議会は、空港周辺住民の安全と生活環境を守ることは何より最優先されるべきと考え、東京国際空港A滑走路北側離陸左旋回の早期廃止を強く要請する」

このように大田区議会は折々に、区民の抱える苦悩を受け止めながら国に対峙してきました。

今回不採択になったこの陳情は、深夜・早朝の航空機騒音や排気ガスが増加しないように国に働きかけを願うものです。現状、深夜早朝、23時から6時までの間、C、D滑走路が使われますが、最大112回、1時間20回の離発着があります。午前2時、3時という時間もあります。騒音はもちろん大型機が大きいわけですが、6月でいえば、出発便で大型7機、中型15機、小型12機、到着便で大型4機、中型7機、小型14機の離発着がありました。またそれぞれの滑走路では週2回、メンテナンスが行われますが、北風時D滑走路が使えない時は、C滑走路を北に向かって離陸、南風時、C滑走路を南に向かって離陸、C滑走路を使えない時はA滑走路を南に離陸するのです。国際便ですから燃料をたくさん積み滑走距離が長く騒音は大きく、この市街地に近いA滑走路、南への離陸は特に安眠ができないという訴えです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【出典】
羽田空港の離陸・着陸の概要(初心者向け基本的データ)空港平面図

 
 
平成27年第1回定例会での羽田空港対策特別委員会中間報告においても、「C滑走路の延伸事業により市街地への騒音影響が軽減されることは当然期待されることであり、延伸後の騒音の状況を適切に測定することが必要と考える。特に、深夜早朝時間帯の運用については、D滑走路の最大限の使用を国に求めるとともに、区民への騒音影響が実際に軽減されているのか、十分に当該事業の効果を検証していかなければならない」とあります。

住宅地に隣接している点で似ている福岡国際空港では、深夜早朝の離発着はさせず、朝は7時の便が最初で、最終便が21時55分です。もちろん今更、羽田がそうできるわけはありませんが、やはり人の基本的な生活を忘れてはならないと思います。
今後、新飛行経路案により区民生活にどのような影響があるかも注視していくのが、大田区議会の役割であるべき時、これまでずっと訴えられてきている深夜早朝時間帯の運用への検証を放り投げるのでしょうか。区民の生活をないがしろにした羽田空港との「共存共栄」はありえません。空港周辺に居住する方々の基本的な生活が守られるためにどうすればよいかを考え続けるのが大田区議会の役目であり、大田区民の味方であり続ける区議会でありたいと願い、採択を希望いたします。

 

 

 

 

 

 

 
 

【参考】
羽田空港のこれから(新飛行経路案)