耐震化が必要な公共施設多数。福祉避難所はどこ? 大田区議会 決算特別委員会報告

ちょうど今、決算特別委員会が行われています。26年度の大田区決算を総括してさまざまな質疑がなされています。私は、防災の観点から、質疑を行いまし た。30年以内に起こるといわれている首都直下型地震。大田の災害の備えのあり方を問いました。質問では直接触れませんでしたが、耐震化の必要な建物の一 覧表も載せておきます。建物の耐震化は非常に重要で、公共施設で今だ耐震化がなされていないところは、耐震工事が急がれるところです。

耐震化必要な大田区公共施設一覧
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以下、議会での質問内容です。

 



大災害、まず壊れない建物に住んでいることが大事。
保育園福祉避難所、いまだ準備できておらず。

平成26年度「大田区地域防災計画」についてお聞きします。
学校避難所をただ「逃げ込むところ」ではなく、「災害に立ち向かう」学校防災活動拠点として機能強化を図っているとあります。

学 校が、地域の情報収集拠点となり、動ける人が救助に回るという「防災活動拠点」の機能を果たしていくためには、日常から、地域の弱点を把握したり、要援護 者を助ける具体的な支援計画を立てたりすることが重要であり、地域の自立的な防災意識があって、はじめて、学校防災拠点として機能するにちがいありませ ん。
しかし、災害があったら行政に頼る、学校避難所は、ただ「逃げ込む場所」ととらえている人も少なくないと考えられます。「学校に行かないと、 食料がもらえない」という声を聞きますが、もし、大災害の時に、地域の人が殺到したら、少ない地域でも5,000人は下らない学校区で、1,900人分の 食料備蓄が一日分しかない、という状況では、ごった返して混乱が起きることが予想されます。

中には高齢者、乳幼児、障がい者もいらっしゃいますし、そしてペットを連れてくる人もいることでしょう。大変難しい避難所運営が予想されます。そのような身動きのとれない、混乱状態の中で、「防災活動拠点」となり得るでしょうか。

家屋が倒壊していなくて住むことに支障がなければ、避難所には来ないで、自宅ですごすこと、そして近隣で、助け合う、共助、「防災システム研究所」の山村武彦先生は 近所で助け合う「近助」を提唱していますが、共助、近助が発揮されることが最も実効性のある効率のよい災害対策であり、そのためには各家庭で食糧の備蓄を 日ごろからしておくこと、そして隣近所とのコミュニケーションが大事であることがわかります。自助なくしては、共助はありえないでしょう。

そこでお聞きします。

【1】 家が倒壊していない場合は、避難所ではなく、在宅避難にした方がよい、ということの周知は十分ですか。自宅での食料を余裕をもって用意することと同時に、 たとえ電気・ガス・水道が止まった場合でも数日なら在宅避難ですごせるような方法を示しながら、在宅避難のお願いと周知を進めていくことが必要だと考えま すが、いかがでしょうか。

根本的には建物の耐震化が最も重要だと考えますが、耐震化は計画通りにはすすんでいないようです。
個 人財産であるがゆえに、行政が無理強いできない事情は理解できるものの、旧耐震基準の家屋は、大地震発生時に倒壊による死亡事故や火災発生により広範囲の 火災延焼をおこす危険性があると考えられますので、耐震改修工事計画は後退させてはいけません。特に大田区は、首都直下型地震の際の死者数が23区で最大 であり、危険度の高い位置とされています。

【2】 所有者からの自発的な申し出を待つだけではなく、耐震化助成条件の緩和など、より積極的な誘導策を取り入れるべきと考えます。具体的な推進策の検討を進め ているのであれば教えてください。まだ進められていないのであれば、早急に取り組んでいただきたく要望しますが、いかがでしょうか。

さて、福祉避難所についてお聞きします。
避 難所生活が困難と思われる乳幼児のいる世帯のために、設備が整っている区立保育園を福祉避難所として開設する、とあります。保育園福祉避難所の数は18園 とあり、学校避難所のちかくに設置するとありますが、なぜ、学校避難所が、小中学校合わせて91か所あるのに、保育園福祉避難所はたったの18か所なので しょう。その18園はどこか、と防災課と子どもサービス課に聞いたところ、「まだ決めていない」との返答でしたが、これはどういうことでしょう。

26 年度の計画に書いてあるのですから、少なくともその年度中には確定して、その保育園は備えをし、乳幼児のいる家庭は、どの保育園が避難所になるのかを知る 必要があります。甚大な災害があったとき、初めてその保育園を探すよりも平時にその保育園の場所を知っている事が大事です。また状況に応じて、増設すると ありますが、増設される可能性のある保育園も準備が早急に必要です。自分の園の子どもたち以外にも地域の子どもたちが来るわけですから、保育士や看護師の 配置や備蓄についても心積もりが必要になるでしょう。

【3】お聞きします。現時点では、18園をどこに想定しますか。
その根拠も教えてください、

【4】小さな子どものいる世帯は特に感染症や心理的な不安から保護しなければなりません。大田区は広いので、乳幼児を連れて遠くまで行くことは困難なことが予想されるので、18園に限定することは危険だと思います。状況に応じて、限定することはあったとしても、全ての区立保育園を福祉避難所にすることはできませんか。また区民にあらかじめ、その地域の福祉避難所を知らせるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

そ もそも福祉避難所は発災後3日後を目安に準備する、とありますが、小さな子どもにとっては初めの混乱した状況のときこそ、おもちゃなど乳幼児向けの設備の ある保育園の園舎にいた方が少しでも安定するでしょうし、泣く子どもに対して周りの人に気を遣う親のストレスや授乳する場所などを考えても、乳幼児のいる 家庭は3日後といわず、始めから保育園福祉避難所で過ごせた方がよいと考えます。

お聞きします。

【5】福 祉避難所の開設を3日後といわず、発災後できるだけ早く開設することはできませんか。乳幼児の心身を守ることが第一義的な目的ではありますが、保育士、看 護師、介護士など、自分の子どもを預かってもらう場所があることで、災害後の職場復帰が可能になるわけで、東日本大震災の教訓の一つだそうですこのよう に、福祉避難所のあり方は、に当事者(保育士、保護者など)の意見をきくことが非常に重要だといえますが、現状、意見の集約などはされていますか。

ま た、保育園に関することでいえば、地域防災計画にはこうあります。「発災直後保育をしていた児童が保護者に引き渡すことができない場合は、引き続き、その 園での保護を行う。この場合、保護者に代わる児童の世話は区職員・ボランティア・近隣の協力員などと行う」とあります。

防災課と保育サー ビス課に聞いたところ、このボランチィアと協力員については、まだ何も決まっていないとのことでした。乳幼児の世話はだれでもができるわけではありません が、いざという時は、地域の人との協力体制を構築することが必要だと考えます。これこそが、共助、近助です。日中など地域にいることが多い女性たちとの連 携で仕組み作りができるのではないでしょうか?子育て、介護、要配慮者等の専門職と地域防災の仕組みを考える場の設定が必要だと考えます。

お聞きします。

【6】福祉避難所のボランティアや地域の協力員を募集し、研修などを継続して開催し福祉避難所の円滑な運用をめざす取組を行っていくことを求めますが、いかがでしょうか。

さて、 総務省からH26年3月に「地区防災計画ガイドライン」がだされ、同年4月に地区防災計画制度が施行されています。地区防災計画の周知をすすめ、こども施設や障がい者施設、高齢者施設と近近隣との連携、地区内での共助・近助が発揮されるように、町会・自治会とも繋ぎ、一緒に検討する場を提供するなどのサポートをお願いしたい、と考えます。

学 校避難所や福祉避難所の開設・運営のあり方に関して、まだまだ細部について、検討が不十分なものがあることがわかりました。また福祉避難所の立ち上げは、 当事者目線で、検討することが必要です。大田区防災会議は女性委員が区長の任命により現在8名いらっしゃいます。しかしまだ55名ちゅうの8人であり、 55人もの委員のいる会議では十分な討議・検討は難しいでしょう。

お聞きします。

【7】女性の知恵と連携により、女性の視点で防災や災害対策のさまざまな提案ができるような「防災会議女性専門部会」の設置を提案したいと思いますが、いかがですか。

首都直下型地震を始め、思いがけない災害がいつ起こるかわかりません。
「大 田区地域防災計画」は大変分厚くて、目を通すのが大変な分量ですが、一つ一つの計画に達成目標を掲げて、具体的で実効性のあるものにしていただきたいと思 います。地域の防災力に繋がるのは、日頃の地域作りであり、コミュニケーションです。防災力を高めるために、ぜひ大田区には、区民が主体的に考えられるよ うに、情報公開を徹底することも求めます。

以上で質問を終わります。