私が幼稚園に勤めているとき、一番力を入れたのは、
“子どもたちにどのような絵本を読んであげるか”ということです。
いつも、降園前の集会で絵本を読むのですが、
子どもたちの笑顔や、びっくりする顔に 出会いたくて、
これぞ、と思う一冊を選んでおくのです。
子どもたちと大笑いしたり、ほっとしたりして、さようなら。
そして一日の保育が終わるとまた、
明日はどの絵本を読もうかな、と考えるのです。
「楽しい」という思いを持つことが、一番大切だと思いますが、
主人公と一緒に冒険をして、ちょっと自信をつけたり、
失敗したっていいんだ、と慰めてもらったり、励まされたり。
子どもたちは、絵本からとても大きな力をもらいます。
みんなで笑いあったり、ハラハラするなかで
クラスの連帯感が生まれたりもしました。
受け持ちだった子どもが大学生になって、
「あの絵本、大好きでした」といってくれることもあります。
まるで、自分の絵本、といってもいいほど、
ぴたっとくる絵本と運よく出会う子どももいるのです。
絵本には子どもの心に訴える大きな力があるんですね。
さて、この東日本大震災で、
たくさんの子どもたちが、悲しい辛い思いをしていることでしょう。
そんな中であっても、楽しい絵本に出会って、
少しでも笑う時間を持ってほしいなと思います。
実は、
被災地や避難所に絵本を携えて、お話会にでかけたい
というのが、私の目下の希望です。
今からどんな絵本を持っていこうかな、と考えて
ワクワクしながらこんなリストを作ってみました。
私のイチ押しの絵本です。
ぜひお子さんと一緒に手にとってみてください。
★「モモちゃん 」 松谷みよこ 講談社
※モモちゃん絵本シリーズ
赤ちゃんのときのほんわかしたうれしい幸せなときを回想
生きる原動力
★「おっぱい 」 みやにしたつや すずき出版
だいすきなおかあさんとのつながりを確認
心の思いを表出「おかあさん大好き」「大きくなりたい」
★「タンタンのぼうし 」 いわむらかずお 偕成社
おもしろいこと、楽しいこといっぱいあるよ。
笑いあう喜び
★「よかったね ネッドくん 」 シャーリップ 偕成社
人生は山あり谷あり。
辛いことがいつまでも続くことはない
★「くまのコールテンくん 」 ドン・フリーマン 偕成社
欠点があったっていいんだよ。あなたはあなたのままで。
試行錯誤OK 失敗OK のメッセージ
★「いまがたのしいもん 」 シャーロット・ゾロトフ 童話屋
今を存分に楽しむ・今が幸せでないと夢も抱けない。
私は私の人生を創っていく主人公
★「アベコベさん 」 フランセスカ・サイモン 文化出版局
世の中にはいろいろな価値観がある。
視野を広く持つ訓練が必要
★「ルピナスさん 」 バーバラ・クーニー ほるぷ出版
生きるとはどういうことか。世界を美しくするとは。
ちょっと大人向けかもしれませんが。