放射能から子どもの健康をまもるために

陳情に対する賛成の討論②

水素爆発のあとずっとたまっていたプールの水の中でのヤゴ取りは、せめてやめてほしいとの保護者の訴えを聞き入れなかった大田区。

ガンや白血病のような病ではなくても、チェルノブイリでは、鼻血や倦怠感など、体調不良がずっと続くという事態が多く報告されています。放射能との因果関係がはっきり証明されてはいませんが、小さな子どもにとって、放射能の感受性は大人の3倍といわれています。遺伝子へのダメージは、細胞分裂が盛んな、成長期ほど影響が大きくなるといわれています。

ここで、ある区内の幼稚園の取り組みを紹介いたします。
4月からずっと、ドイツから取り寄せたガイガーカウンターで、園庭の放射線量を測定してグラフを作っているそうです。風のある日、雨の後は、数値が高くなること、場所によってずいぶんちがうことなどがわかったそうです。これまでで、一番高かったのは、0.18ミリシーベルトで、最近は0.07ミリシーベルトだそうです。

4月、新学期最初の保護者の集まりで、理事長の宣言したことは、
子どもにとっての放射線量の限界を、定めそれ以上の線量を計測したときは、休園にする。またそのような場合は東京からの疎開をすすめる。
また子どもにとっては、空気、飲み水、食べ物に含まれる放射線の総量が心配なので、幼稚園での外遊びの時間を報告するので、家庭での過ごし方を注意してほしい。

4月は外遊びを少なくして、放射線量をみながら、徐々に外で過ごす時間を増やしていったそうです。

連休までは、全員水筒持参。現在は希望者だけ。マスクは希望者は使用してもいい。外遊びは普通に行うようになったとのことです。
水道を使うことにしてからは、水道局にも確認をとったそうです。

砂場には、時々砂を補充するが、今回は、海砂より川砂の方が、放射線量がすくなかったので、川砂にしています。

大事なお子さんを預かっているで、大人が不安感を持ったり、緊張している状態はよくない。だから正確な情報のもとにできる限りのことをしていきたい、連絡、報告にも心を砕いているということでした。その結果、不安を抱いていた保護者も安定してきたようだ聞いています。

日常の業務以外のことをしなければならず、幼稚園には苦労がおありだろうと思います。しかし、子どもを守ることを第一に、その苦労を今は、みんなが背負わなくてはならないときなのではないでしょうか。原発を作った責任は、大人にあるのですし、子どもにはその責任はないのですから。

教育の原点は、子どもを大切に思う心と信頼関係だと思います。この幼稚園が、「今、何を守るべきなのか」という立ち位置をしっかり持ち、子どもと親に誠実に向かい合ったことで、親の不安を払拭したということをご報告いたします。

今回の大災害を経験し、思いもかけない事態が起こりうることを学習してきた市民が求めているのは、「安全だ」「だいじょうぶだ」という言葉ではなく、希望を持つことではないでしょうか。

それは、正確な情報を手に入れて、どのような手立てが必要か、子どもを守るために、国も自治体も市民もいっしょになって、知恵を絞っていくこと。自治体でできること、家庭でできることを考えていくことではないでしょうか。