“産後の体調はいかが?”

 育児支援はママ自身の充実から

出産は、大きなイベントですが、赤ちゃんには目がいっても出産後の女性 には、スポットがあたっていないことが多いのではないでしょうか。

「産後のケア」は、まだまだ市民権を持っていないように思います。

産後は、腰痛や肩こり、また産後鬱になる人もいるなど、心身のバランスを崩しやすい時期だといわれています。

出産の喜びはありながらも、赤ちゃんとだけ過ごす日々、大人とのコミュニケーションが激減する ことで、社会から取り残された感覚をもったり、自信喪失に陥ったりしやすい時期でもあります。

さて、先日、大岡山のマドレボニータ の産後クラスにおじゃましました。

7組の産後の女性 と赤ちゃん。真ん中のマットの上には、1カ月から6カ月の赤ちゃんたちが寝転んでいて、スポーツウエア姿のママさんたちが取り囲んでいます。

この「産後のボディケア&フィットネス教室」は4回が1つのコースで、今日は3回目。

インストラクターのリードで、一つ一つの動きの意味を教えてもらいながら、バランスボールの上でリズミカルに弾みます 。

バランスボールの運動で骨盤を正しい位置へ整えながら、腹筋をつけ、また全身をダイナミックに動かす呼吸法で副交感神経を自覚的に刺激し、体を活性化させます。

いい尿漏れパットがあるのを喜ぶのではなく、そんなものを使わなくていい体にすることが大事

だというインストラクター。

汗びっしょりになったところで、一休み。
今度は、自分を見つめる時間と自分を語り、また一心に人の話を聴くという時間もあります。

同じ子育てをする仲間ならではの共感の輪が生まれています。

その間、赤ちゃんたちはというとスタジオの中央に置かれたキルトの上にコロンと寝かされています。

キルトを囲むように母親がすぐそばにいるので、母親は赤ちゃんの反応に素早く対応でき、そのため赤ちゃんはとても穏やかです。

泣き始めた子がいると、ママはすぐに抱っこしてそのままバランスボールの運動を続けるのです! 

母子双方に安全で心地いい弾みに 、赤ちゃんは、安心した顔。
赤ちゃんもママといっしょに運動していることになるらしく、
便秘がなおったり、夜ぐっすり寝てくれるということです。

ママと赤ちゃんは一体になれるんですね。

この場で話されていたインストラクター方の言葉も印象的でした。

自分で自分の体をデザインすること。
女性としての自尊心を持つこと、自己肯定感をもつことが大事。
私たちは、 心地よく、楽しんで子育てをしていきたいのだから。

この子たちがやがて大人になったとき、今よりもっと、女性が働きやすく、子どもを育てやすく、自分らしく生きられる時代になっていてほしい、と。

子育て支援はあっても、出産後の 女性のケアの部分はまだ未開拓分野の(?)日本。

当事者である女性たちに「どうですか」と聞くと、「残念ながら放置かな」と笑っていっていました。(だからマドレボニータ は先駆者ですね)

出産後、保健婦さんの訪問があった時、思わず「久しぶりに夫以外の大人と話しました」と言ったという方 。

復職の壁。

職場ではバリバリ働いていても、出産後は、パワーが落ちてしまって、よほど気持ちが強くないと復帰できないという方。

復帰しやすい環境が社会にあることが大事ですが、それだけではだめで、産後の女性たちの方でも復帰のための準備が必要。

でも急に復帰することは心身ともに無理を伴います。
徐々に体を慣らし、生活を整えていかなくてはなりません。
そしてその準備の場となるのが、ここマドレボニータ 。

体を徐々に整えていきながら、同時に自分を見つめ、仕事、人生、家庭、について考えを深め、「意思」を育てていく場になっているのです。

“こんなチャンスがあるのは、女性の特権”
”女性でよかったよね”

と明るく語るインストラクター。

“よい育児ができる土壌は、母親自身での充実である”こと、
そのためにはまず、“自分を肯定”し、“人生を前向きに考えて
いける”素地作りが必要。

育児支援の要はここかもしれない、とあらためて思いました。

自分自身を大事にする、
そんなシンプルなことが一番大切で本当の出発点となる、
そう感じたひとときでした。