「福祉避難所」は機能できる?

災害時の障害者支援の現状と課題について

  9月6日、こらぼ大森 で、
「守れ!その命 災害時要援護者を支える地域づくり」
(要援護者:高齢者・障がい者・乳幼児)

という講演会を聴いてきました。

まずはじめに、大田区防災課からのお話。
災害が起こって、避難者が出るようなときは、
一次避難所として、まず学校避難所が立ち上がって、
その後、状況によって福祉避難所が立ち上るとのことです。

福祉避難所には、高齢者施設7か所と障害者施設13か所、
都立特別支援学校3校が、指定されているそうです。

また大田区には、要援護者名簿があるが、それを
どのように活用するかが、これからの課題だということでした。
もちろん他にも課題はいっぱいです。

トイレの問題。
マンションのエレベーターが止まったら!? などなど。

そして次にお話してくださったのが、
メインゲストの大田区知的障害者育成会 ・
大田区地域自立支援協議会 会長の志村陽子さんです。

どこかで、お見かけしたと思ったら、以前、
ゴスペルコンサートで、パワフルな歌を
聞かせていただいたことがある方でした

志村さんのお子さんは、お二人のうちお一人が自閉症で、
そのお子さんは、池上小学校の特別支援級から、
矢口特別支援学校、現在は、うめのき園 という
授産作業所で9時から4時まで働いていらっしゃり、
毎日、1人で交通機関を使って通っているそうです。

2歳のときに、息子さんが自閉症だと知らされたときは
大変なショックで、1週間は別の星の人に見えたのだとか。
けれども1週間で立ち直って、
「できることをやろう」という気持ちに切り替わったら、
子どもがきっかけで、地域とのつながりができ、世界も広がって、
子どもの成長一つ一つがうれしくなったそうです。

でも自閉症のお子さんが生きていくためには、
やはり地域の人の理解が必要だし、助けてもらったり、
配慮してもらったり、励ましてもらいたい。

そういう地域の人の理解を得るために
「防災」はとてもいいきっかけになると思ったそうです。

そこで、考案されたのが、息子さんが
「自分には、障害がある」ということをアピールできるツール。
名付けて“助けてねカード”です。

息子さんがイラストを描いてくれて、もう完成というときに、
3・11の震災があって中断。
残念ながらまだ公開はしていないそうです。

3・11の震災はちょうど学校にいる時間に起こったから
なんとかなったけど、途中で起こっていたら・・・などと考えると
心配は尽きません。

またもし、災害があっても、避難所には行けないことも多いのです。
たとえば車いすの人は、段差の多い学校には入っていけない。
福祉避難所は欠かせない施設なのです。

では福祉避難所の運営はどのように行われるのでしょうか。
一次避難所に関しては、「避難所運営協議会」があるのに、
福祉避難所に関してはないのが現状です。

避難所に関していえば、こと、障害者にとっては、
阪神大震災のときと状況が変わっていないのです。

個別支援計画の作成、地域の人との連携、課題はたくさんです。
根本的にバリアを無くしていくためにはどうすればいいか。
建物だけではない、心のバリアについても同様です。

前向きで、パワフルな志村さん。
充実した生き方をされている方のお話を聞いて
エネルギーのおすそわけをしていただけた一日でした。

同時に、災害の時、障害を持った人と持たない人が
別のレールを行くのではなく、みんなでいっしょに
逃げられるような地域作りをしていく必要があると思いました。

参加者は、障害を持った方やその親、町会役員や民生委員、
福祉作業所の方、自立支援のNPOの方、出張所の職員、
と様々でしたが、参加していた、大森消防署の方が、

「大田区は、
 災害避難のモデル地区になっているので、がんばります」
と言ってくださいました。

参加者皆が、課題に積極的に取り組んでいこうという雰囲気になった、
とても有意義な企画でした。