今、教育の現場では、さまざまな深刻な問題が起きています。学級崩壊、いじめ・不登校、学習意欲の低下、家庭においては虐待や貧困、生活習慣の乱れ、そして複雑な問題を抱えた子どもたちと日々、向きあっている先生たちもまた過労や心労によるうつ、など精神性疾患が増加していると聞きます。
子どもを社会全体で育もうというスローガンが、掛け声だけではなく、本当に子どもを支えるためには、地域と学校が開かれた、よい協力体制を持つことや市民が子どもにも教育にも関心を向けていくことが大事だと考えます。
そして子どもにとって、どんな教育が必要かを議論することは、日本が目指すべき道を模索することにもつながると思います。
さて、学校教育の重要な手段である教科書選定がこの8月に行われました。
教科書選定は次の手順で行われます。
1、まず教科ごとに担当教師で構成された「資料作成委員会」が各教科書の「客観資料」を作ります。
2、同時に「学校意見」と「区民意見」を募集します。
3、次に学識経験者と学校関係、区民代表で構成する「調査委員会」が、その「客観資料」と「学校意見」、「区民意見」を参考にして、調査報告書を作ります。
教育委員会は、この調査委員会が作成した報告書と教科書をもとに教育委員会定例会の2回と臨時会の2回で、議論を重ね教科書を選定しました。
この手順から、どの教科書を採択するかという最終的な権限は、教育委員会の6人の教育委員が持っていることがわかります。
「平成24年度使用教科書の採択について」という文科省からの通知の中には、「開かれた採択を一層推進」とあるように、選定過程は開かれたものでなければなりません。
また、大田区教育委員会は、その「教育目標」に「すべての区民が広く教育に参加できる仕組みづくりを進める」とあり、また、大田区教科用図書採択要綱の(採択の方針)には「区民及び学校等の意向を十分配慮すること」とあるように、教育に大きくかかわる教科書選定に区民の声が反映されるしくみが重要です。
教育委員会には、8セットの教科書が配布されます。今回は平成23年6月7日〜6月30日まで、区民意見聴取のために、教育センター2セットと3つの中学校に1セットずつの教科書が展示されました。時間は9時から5時までで、この展示期間に区民も学校の教員も見に行き、アンケート用紙に自分の意見を書くことができました。
今回、集められた区民意見は134件。意見を寄せた学校は、28校中8校でした。
人口69万の大田区で、教科書採択の際に134件しか意見が集まらず、また教育現場からの意見は28校中8校しかありませんでした。
中学校の教師は、それぞれ専門の教科を持つ中で指導法や教材研究の積み重ねがあります。教師が自信と確信をもってその教科書を使用できることが、学習効果に影響すると考えれば、寄せられた学校意見はあまりにも少なくないでしょうか。
子どもの教育に係る大切なことなのに、学校意見の少ないことは大変残念に思います。学校の意識の問題もあるかもしれませんが、行政の公開の仕方にも問題はないでしょうか。
面積が広く、人口69万の大田区に教科書が8セットしか配布されないのも問題ですが、この数は、教育委員の数と教育センター分ということで、決められているのだそうです。結果として、人口が大田区の6分の1の中央区と大田区で同じ数ということには問題を
感じます。
そこで質問いたします。
現在、大田区に配布されている教科書数は、もっと多くの区民や学校教員が手にすることができるよう、数を増やすべきと考えます。現在の配布セット数についてどのようにお考えになりますか?
国や東京都に対し、配布セット数を増やすよう意見を述べるべきと考えますがいかがでしょうか。
(今すぐ増やせないとしても、公開方法に工夫はできないでしょうか。他の自治体のように図書館で、また本庁や出張所など区民が行き慣れた場所、行きやすい場所での展示をしたり、時間帯も、例えば杉並区では、夜8時まで展示をしていましたが、展示時間を長くするなどできないでしょうか。)