議員提出議案

「原子力発電に頼らない再生可能エネルギー政策に転換を求める意見書」

区議会では、区長から出された議案、区民から出された陳情を審議することがほとんどですが、議員には「国や東京都に意見書提出」「条例の発案」をする権利もあり、その審議が行われることもあります。

さて、今回の第3回定例会では「議員提出議案」というのがあり、審議が行われたので、ご紹介いたします。

内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、経済産業大臣、内閣官房長官、国家戦略担当大臣宛ての意見書提出の提案です。


「原子力発電に頼らない再生可能エネルギー政策に転換を求める意見書」

福島第一原子力発電所の事故は、原子力発電の危険性を国民の前に事実をもって明らかにしました。
現在の原子力発電の技術は本質的に未完成で、危険なものです。原子力発電は莫大な放射性物質を内部に抱えていますが、それをどんな事態が起きても閉じ込めておく完全な技術を人類は持ち得ていません。そして、ひとたび大量の放射性物質が放出されれば、被害は深刻かつ広範囲で、将来にわたって影響を及ぼしていきます。
そうした原子力発電所を、世界有数の地震・津波国である我が国に、集中的に建設することは危険極まりないことです。日本に立地している原子力発電所で、大地震・津波に見舞われる可能性がないと断言できるものはひとつもありません。
よって大田区議会は国会及び政府に対し、原子力発電を段階的に中止し、原子力発電をゼロにする期限を決め、同時に再生可能エネルギー政策への転換を強く求めます。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

という内容でした。

私たち生活者ネットワークはこの意見書に他の会派とともに協同提案(賛成)の立場をとりましたが、残念ながら「不採択」となりました。さて、この「結果」は、民意を反映しているでしょうか・・・?

このときの私の賛成討論もご紹介いたしますね。

議員提出第7号議案・「原子力発電に頼らない再生可能エネルギー政策に転換を求める意見書」に賛成の立場から、討論いたします。

原発事故は未だに収束していません。
原発事故により、住み慣れた土地を奪われ、仕事を奪われ、また今後、故郷に戻れるのか、生計をどうやって立てていくのか、と不安な中に多くの方がおられます。

農業、漁業、畜産業をはじめとした一次産業に与えた影響は計り知れず、また一部回復し始めてはいるものの産業の復興にも時間がかかっています。

原子力発電は、一度事故を起こすと日本だけにとどまらず、広く地球環境に影響を与えるとともに、今後長期間にわたり、将来の世代にまで暗い影響を及ぼすのです。地震国日本で、いつまた事故が起こるともかぎりません。

たとえ、事故がなくても、原子力発電が稼働しているかぎり、核廃棄物が排出され続けます。それを処理する技術は未だ見つかっていませんし、再利用の仕組みも稼働してはいないのです。

核廃棄物の地下処理がフィンランドで検討されているようですが、何十万年という長期間、危険な核物質をどう後世に語り継げばいいのか、専門家の間で真剣な議論が行われているほどに、核廃棄物の処理は困難なのです。

身の周りに目を向けても、小中学校の雨どいの下から、基準を上回る放射性物質が測定されています。こうした外部被爆に加え、肉・魚・乳製品などから、放射線が測定されているなど、内部被爆についても不安も長期間にわたり、続いていきます。

被災地では、下痢が続く子どもや鼻血を出しやすくなっている子どもが多くなっていると聞きました。子どもを持つ親の不安は想像に難くありません。

低線量被爆の影響については、まだ十分な検証がなされていません。そのため、原発との因果関係が証明できなければ、保障の対象にもならないのです。

こうした、生活への影響を考えれば、今、日本において原発推進政策はあり得ません。世界に原発事故の教訓を発信することこそが日本の責務ではないでしょうか。

区民生活に最も身近な自治体である大田区の、区民の代表である議員が、一丸となって生命、生活、環境優先の道を国に提言していく時ではないでしょうか。

日本の技術、また大田区の技術をもって再生可能エネルギーへと転換していく時であると考え、賛成討論といたします。