スウェーデンの若者と民主主義

20日、原発都民投票条例が都議会において否決されてしまいました。福島原発の収束がないまま、放射能汚染の実態もまだ解明されないまま、エネルギー政策の議論のないままに、大飯原発の再稼動、そして順次国内の原発の再稼動や国外への輸出・・・。自分たちの生活感覚とはちがう世界で、勝手にいろいろなことが決まっていく日本の政治状況。でもその政治家を選んでいるのは、自分たちだから、自分たちにも責任がある・・・とはいうけれど、政治の世界を遠くしてしまっている仕組みにも問題があるのではないかと思います。民意が反映される政治の形を新しく創っていかなくてはならないのではないかと強く感じます。そのためのまたとない機会の「原発の是非を問う都民投票」、実現が遠のき、本当に残念です。

これまで国民投票で「原発」「EU加盟について」など、大事なことは直接に民意を問うてきたスウェーデン、民意が生かされる政治とは、どういう形なのか、大変興味がありました。
ちょうど先日、スウェーデンの政治事情を聴く機会に恵まれました。スウェーデンの投票率は、2010年84%、うち若者(18歳〜29歳)の投票率は76%。それにひきかえ、日本は2009年58%、若者は36パーセントです。このちがいはどこからくるのでしょう。話してくれたのは、日本人の青年ですが、慶応大学のときに交換留学生になったのをきっかけに現在は、スウェーデンのウプサラ大学大学院修士課程2年生、政治行政学を専攻している小串さんという方です。

スウェーデンの選挙の特徴

・議会制民主主義/一院制 → 以前は、日本と同じように二院制でしたが、「決定」までに時間がかかりすぎるので、一院制に。
・4年に1度しか選挙がない → 国政も県も市も同時に行われるので、お祭りのような賑わいで、投票するのが当たり前、という雰囲気とのこと。
・完全比例代表選挙 → 政党にはそれぞれはっきりとした思想・政策の違いがある。選挙前には、広場に、各政党の選挙小屋が並び、市民との議論が活発に行われるとのこと。
・地方議会も一元代表制 → 多数党から首長を選出。委員会の数が多く、政治家でなくても政党の推薦があれば、一般市民も参加している。

ひとことでいうと「シンプルでわかりやすい」システムです。次は、小串さんの所属している「環境党」を例に若者の政治参加の様子です。

スウェーデンの若者と政治

青年部:政党には、青年部という主に高校生や大学生が属している若者組織があります。親政党(おや政党)から、財政的な援助は受けていても、独立的に運営していて、週に一度の勉強会、ゲストレクチャー、政策提言、高校への訪問、ディベート、海外の青年部との合同セミナーなどが行われます。おもしろいのは、青年部の代表は、男女一人ずつ選挙で選ばれるのですが、候補者は、ブログでマニュフェストを公表して、みんなその政策を吟味して選挙するのです。また青年部としての政策を親政党に提出する機会もあります。
親政党の下請け組織ではない、「シンクタンク」的機能も兼ねているというところに、若者の能力を引き出しながらの政治参加への「しくみ」を見るような気がします。

「環境党」は1980年代の脱原発運動をきっかけに誕生した政党で、自然や動物との連帯・次世代との連帯・世界の人々との連帯が大きな柱で、スローガンは「右でも左でもなく、前へ」だそうです。2010年の選挙で社民党、保守党に次ぐ第三党になり、党首の一人は(党首二人制なので)11歳から環境党の青年部に属し、19歳で国会議員になった人。つまり青年部での経験・研鑽が政治の世界への道筋にもなっているということです。

選挙権は18歳、つまり高校3年生から:学校教育の中で、政治をしっかり考える機会が与えられます。たとえば、社会科の授業では各政党の政策を聴きに行き、議論をしてくるように指導されるとのことです。また学校で、模擬選挙も経験します。学校教育の中で、生きた「政治」を学ぶ機会があることは、国の在り方、地域の在り方を自分のこととして考える大事な機会になることでしょう。

おまけ:スウェーデンの若者の15パーセントがベジタリアンだそうです。なぜかというと、2006年の国連の発表では、温室効果ガスの割合の18パーセントが畜産の影響とのこと。肉を食べるより、豆を食べた方が、環境に負荷がかからない、と知ったからということでした。“自分の行動が、環境にどのように影響するかを考える”若者が多い。それが、政治への関心にもつながっているのだな、と大いにうらやましく思った話でした。