『福島原発事故の真実』 衝撃のアーニー・ガンダーセン氏の講演

昨日9月2日は、日本教育館 一ツ橋ホールにて、日本弁護士連合会主催の

福島原発事故の真実 国会事故調査報告書を受けて』

というテーマのシンポジウムを聴いてきました。

福島県ではまだ16万人の避難民がいるということですが、多くの弁護士さんたちが、福島の人たちに寄り添って、賠償の問題に取り組み、また原発からの撤退を求める意見書などを出されています。

けれども未だ、事故の責任がどこに、だれにあるのか、きちんとした結果がでないまま、国会も機能不全。事故調査報告書はこれからどのように生かされていくのでしょう。

充実した報告や講演、シンポジウムでしたが、国会議員の参加が一人だったのは残念でした。(出席:福島みずほさん) 

少しだけ、メモから書き記します。

公演

アーニー・ガンダーセン氏 
 (原子力工学・原子力施設の廃止措置および放射性廃棄物管理が専門)

アメリカ政府は、スリーマイル島で起こった原発事故について、自国民に真実を告げなかったので、日本でも同じことが起こるのではないかと懸念していた。すなわち事故の隠ぺいと過小評価である。

事故原因と問題

格納容器の「マーク1」は容量が小さすぎること、内部で水素が発生しうるという、設計上の問題が以前から指摘されていた。地震や津浪という自然の力に対しての対策も不十分。それら技術的な問題に加えて、避難誘導の指揮系統の機能がなかったという政府の怠慢も問題であった。

事故からの課題

福島原発事故においては、まだ解明されていないことがたくさんある。3号機の爆発は音速よりも早いスピードの爆発だったが、どのような爆発の起こり方なの か、世界中の原子炉にとっての課題となった。

このような爆発に耐えうる格納容器は世界中どこにもないからだ。現在も4号機は完全に止まっているわけではな く、しかも核燃料プールにヒビが入っている可能性もあり、今後、発火が懸念される。もし爆発したら、日本全土に関わる重大事故になりかねない。

教訓とすべきこと

原発は本来的に危険なもの。1つ事故が起こると取り返しがつかない。中国の原発で事故があった場合にも対策はだれも立てていない。

大飯原発のストレステストは、通常の地震に耐えられるかどうかというものに過ぎず、正しくない。福島原発が3・10にストレステストを受けていたらパスしていただろう。保安院は、自然の威力を知らない。また地震の断層の定義を保安院が近頃変えたのも問題

規制される側と規制する側がお金でつながっている。
原子力の世界は、生命よりお金なので、東電と保安院は「よりよく安全に」という創造力を持たない。安全性の追求と経済性は合致しない
外部の独立した専門家チームを持って、監視していかないといけない。

今後への提言

大きな問題があることを認識しなければならない。まだ全体像がわかっている人、最終的にどれくらいのコストがかかるのかわかっている人がいない。

人々の健 康がまず大事。福島県内の家庭において掃除機で吸い取った埃を集めた。1㎏3万ベクレルの放射能が検出された。多いところでは1㎏10万ベクレルという 値。政府は高性能のフィルターやぬらしてふき取るなどのシンプルな放射能を取り除く方法を知らせていくべき。

【参考(インタビュー映像:英語)】福島第一:真実と未来 

パネルディスカッション

アーニー・ガンダーセン氏(原子力技術者)
田中三彦氏(国会事故調査員会委員)
田原牧氏(東京新聞特別報道部デスク)

【田中三彦さん】

原発の主要な施設が壊れたのが、地震によるものなのか、津浪によるものなのか、が大きな争点となっていた。調査の結果、津浪が来る前に壊れていたことが判明。東電の報告書にはこのことはいっさい触れていない。

【田原牧さん】

第三者機関が作られるべきだが、日本にはできない風土がある。だから憲政史上、初めて作られた「国会事故調査委員会」は画期的。今が肝心な状況、しっかり福島に向き合わなくてはならない。原発をどうするか、今までの思考停止のプレーヤーが続けていてはいけない。