第3回定例議会より 補正予算「蒲蒲線と2020年オリンピック招致に関して」

19日から、第3回大田区議会定例会が始まりました。今回は、10月15日の決算特別委員会終了日まで続く長丁場です。まず、補正予算で、計上されていた、新空港線整備資金基金の設置に伴う新規積立、5億円(いわゆる東急蒲田から京急蒲田までの「蒲蒲線」についてです)、「2020年オリンピック・パラリンピック東京招致気運醸成事業の実施」(いわゆるオリンピックに向けての広告費)についての1千万円の計上について、質疑を行いました。

税金の使い道が適正かどうか、よく吟味しなければならないからです。耐震化に伴う工事、待機児対策など、必要不可欠な支出があるなかでは、区民生活を考えるとき、優先順位をつけなければなりません。ちなみに、私たち、大田生活者ネットワークは「2020年東京オリンピック招致」に関しては反対の立場をとっています。

詳しくは、今年の第1回定例議会の反対討論「2020年オリンピック・東京招致は何をもたらすのか」をごらんください。

https://kitazawa.seikatsusha.me/blog/2012/03/10/3472/

 以下、質疑そのままです。

86号議案「大田区一般会計第2次補正予算」の中から蒲蒲線と2020年オリンピック東京招致機運醸造事業の実施の予算について質疑させていただきます。

今回の補正予算には蒲蒲線に関する積立金5億円が計上されています。蒲蒲線開通は、区長の公約でもあり、実現に向けての熱意はわかりますが、事業としてみれば、関係者の合意もまだとれていない段階です。

①   事業計画も定まらない今の時期に基金積立を計上することは区政執行上、どのような意味をもつのでしょうか。

②   補正予算とは緊急的な事態に対応するために計上するものです。基金という性格上、補正予算計上はあり得ないうえ、区長の公約という重要な案件でありながら、当初予算に盛り込まず補正予算で今、この時期に計上するのはなぜでしょうか。

③   また、1,080億の概算事業費が示されていますが、その算出根拠である、想定している経済状況や人口予測、社会状況については明らかになっていません。費用便益分析上は社会経済的に見て、意義のある事業と評価されていますし、21年で黒字転換すると事業採算性を試算していますが、これが大田区に与える財政上の影響については、全く触れられていません。仮に今回の基金に対する議決が、この事業に対し、議会のおすみつきを与える位置づけなら、大田区における需要や事業採算性の試算は必須です。それらのデータとともに今後の大田区の財政負担については、示されるのでしょうか。   

一方で、今回の補正予算には、2020年の東京オリンピック招致機運醸成事業として1000万円が計上されています。オリンピックを招致しようとしている主体は東京都ですが、大田区がなぜそのための広報事業費を支出するのでしょうか。

本来、オリンピック招致がcity=市であることや東京都がかつて東京市で、23区がその内部団体だったこと、そしてその経緯から都区財政調整制度が生まれたことを考えれば、財政調整制度上、東京都に大都市事務として配分されている固定資産税・法人住民税等の45%から支出すべきです。

オリンピック招致にかかる費用は大田区が支出すべき費用ではなく、東京都が支出すべきですが、なぜ大田区が支出するのでしょう。

たとえ、宝くじ振興基金で100%補助されるとしても支出の事業であることにはかわらず、支出の主体が大田区でいいという理由にはなりません。

  (以下は、追加質問予定でしたが、実際にはしませんでした)

特に蒲蒲線事業は大田区単独の事業では無く、国1/3東京都1/6鉄道者1/3の財政負担を見込んでいて、事業執行は関係事業者の財政負担を意味します。今や、国家財政の1/2が赤字国債で担われている状況下において、国や東京都の合意の無い中で大田区が勝手に基金計上すべき性質のものではないと考えますが、大田区が基金計上することにより事業執行のお墨付きを大田区から与えてしまうことが国の財政負担を招くことになる構図についてどう考えますか。