『いじめ防止プログラム』 at 世田谷区桜木中学校 を見学してきました

湘南DVサポートセンターの協力を得て行われている、『いじめ防止プログラム』。 世田谷区桜木中学校で行われた、1回目、1年生2クラス合同(42名)対象のワークショップを見学させていただきました。
今後、1週間ごとに全部で5回行われる、道徳や綜合の時間を利用しての外部講師による参加・体験型の活動です。
桜木中学ではこの取り組みはもう6年目。 “自分の気持ちに向き合う”“友だち同士、お互いを認め合う”過程で、担任教師とも友人とも新たな、良好な信頼関係が強まる機会となり、落ち着いたクラス・学校生活に繋がっているとのことでした。
講師の語りかけは、柔らかく親しげで、しかも相手を尊重する丁寧な運びでした。湘南DVサポートセンターの講師は二人、一人は、社会人になったばかりの感じの青年です。こんな自己紹介から始まりました。

「なぜ、僕たちは“いじめをなくそうプログラム”をはじめたのか」
もともとは、DV被害にあった子どもをサポートする仕事をしていました。
DV被害にあった子どもは、自分の気持ちを受け止めてくれる人が家庭にいません。学校においては、概してコミュニケーションが上手くいかなくて、暴力的になってしまうこともあります。また、ひきこもりになる子ども、夜の町に飲み込まれてしまう子どももみてきました。
DV被害の子どもは、「自分の気持ち」がわからなくなりがちです。つまり、感情を殺してしまうのです。そうしないと生きていけないから。
暴力は人の心を無くしてしまう。いじめも同じ。逃げ場がなくなって、自分の感情を捨ててしまおうとします。直接、いじめに合っていなくても、いじめの傍観者であっても、休み時間、一歩も動けない子どもも見かけます。気持ちを動かせず、体まで動かなくなるのです。
こんな手紙をもらいました。
「学校って、みんなと同じことをしないと生きていけないよ。みんなといっしょにいじめないとならない・・・」
僕たちは、みなさんに思春期の豊かな感情を無くさないでほしいと願っています。どんな感情であっても大切です。このプログラムは「一人一人が大切な存在だ」と確認することをもって終了としたいと願っています。

いくつかの事例も出されながらのこの誠実な思いに、生徒はシーンとして引き込まれていました。きっと、これからの4回のプログラムに大きな期待を持ったのではないでしょうか。

クラスごとのワークショップがスタート

これからの主題をちょっと教えていただきました。

  1   「暴力」の定義、「加害者」とは?

2   「加害者」とは?ビジュアル・ストーリー

 3   自分って、どんな人間?

 4   自分と他人との間の境界って?

ワークショップは、全員参加型、体験型で、絵をかいたり、寸劇をしたり、その中に、“自分も相手もOK”の関係に気づけたり、“自分を大好きになれる”仕掛けが隠されているようです。
利害関係のない、外部の講師だからこそ、生徒は思いっきり自分を出すことができ、担任の先生もその様子を見て、子どもの別の側面に気付けるという効果があるとのことです。

 辛かったら逃げていいんだよ、と僕はいいたい
養護教諭の発案で始まったという、このプログラム、生徒の心の動きを客観的に感じ取れる位置にいる人の意見が学校現場に反映されることは重要なのではないかと思わされました。来年は、品川区でも導入されるそうです。大田区でもぜひ、研究してほしいところですね。

統計上は20軒に1軒がDVの家庭だそうです。昨今、いじめによる自殺のニュースも続いています。部活の顧問から体罰を受けて自殺した子どもの事件もありました。
「辛かったら、逃げていいんだよ、と僕はいいたい」と講師は語っていましたが、普段から、自分の気持に向き合うこと、表現することをしていれば、それも一つの抑止力になるのではないかと思いました。
とにかく、子どもの命が失われることがないように、心が壊れることがないように、できる限りのことをしていきたいものです。

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