池上本門寺・門前町の環境守れるか。 大田区景観条例が制定されようとしています

現在、池上本門寺を望む霊山橋と稲荷橋のちょうど中間の呑川沿いに7階建てのマンション建設が行われています。

まわりは、2階建ばかりの低層住宅地。近隣の人たちは、落ち着いた門前町の景観が壊れること、圧迫感、日が当たらなくなる、昔は遊水池であったということでの弱い地盤、通学路の安全性、風害の影響など、問題が大きいと建設には反対をしています。

近隣にあいさつもなく、何も知らされずに看板が立ち、工事になってしまったという、業者側の地域住民への説明不足や合意形成のなさも大きな溝を生んでいるところです。

 区議会への陳情                               地域住民は、建設反対のノボリをたてたり、チラシを配ったりした他、今回、区議会へ陳情を出しました。陳情に添えるための署名集めも行い、池上本門寺のお坊さんたちはじめ、1,003筆の署名が集まりました。
昨日は、所管の都市環境委員会にてその陳情が審議され、20名ほどの地域の人が傍聴に来られました。その中には、法衣姿のお坊さんも! 池上本門寺の執事長だった早水さんです。また、京都の法然院というお寺の貫主さんは、建設業者に対して「建設中止」を求める手紙を出して下さり、その写しを送ってくださいました。なんというエールでしょう。

陳情

【1】池上本門寺周辺の寺町の歴史的景観と環境を守るため、大田区として、まちづくりののしくみを整えてください。
【2】池上本門寺周辺の寺町の歴史的景観と環境を守るため、住民が行う地区計画策定などまちづくりの活動に協力してください。

(この陳情は、はたして採択されるでしょうか。4日にそれぞれの会派の態度が発表されます。) 

 景観条例とは
景観条例は、その目的を「地域力を活かした世界に誇ることができる多彩で魅力的な景観のあるまちを実現することを目的とする」としていますが、それだけでは、住環境を守る実効力がありませんが、実効性をもたせるためには細かなルールを作っていかなければなりません。
たとえば、今回のように、地域住民との合意形成がとれなくて、トラブルが起きる、ということがないように、「土地取引の前の事前調整」の義務付けや「高さ規制の導入」など、すでに先進的な自治体では取り組まれている方策があるのです。
人口減少、高齢化と社会構造が大きく変化している中、まちづくりにも新たな方向性を持たせることが重要であり、そのためには、自治体としての意思、政治的な誘導が不可欠です。

 「地域住民の権利擁護」「生活の質」への転換のとき
後をたたないマンション紛争、長くその地域に住む人がないがしろにされている状況はなんとかしなければなりません。いつまでも高度経済成長時代と同じように、開発・開発でいいわけがありません。「地域住民の権利」や「生活の質」に目を向けなければ。せっかく作られる景観条例・景観計画ですから、地域住民の意志が反映される仕組みをルールの中に盛り込んでほしいものです。
今回の「景観条例」に関しての議案質疑に対して行政側の答弁に「地区計画などに協力していく」ということばがありました。地域住民が主体的に、“このまちはこんなふうにしたい”とルール作りをするのが「地区計画」です。
地区計画を作れば、それは、拘束力を持つものなので、どんな開発にも負けることがないでしょう。区民と行政がいっしょになって、よいまちづくりができることを目指したいものです。
大田区議会 「大田区景観条例」ついての質疑内容については こちらの記事をご確認ください。