大田区立特別養護老人ホームの民営化検討 ~ 民営化に課題はないでしょうか?

 

6月12日から、大田区議会第二回定例会が開かれました。
議題は、こちらをご覧ください。
                            区長提出議案

平成25年度大田区一般会計補正予算(第2次)の中で、特別養護老人ホームの民営化検討のための調査費用が計上されています。
今回は、このことを質疑いたしました。

大田区は、特別養護老人ホーム待機者が1,600人。多くの人が、安心して老後を託せる場所を求めています。特別養護老人ホームの「民営化の課題」を考えていきたいと思います。

以下に質疑内容をご紹介いたします。


平成25年度「大田区一般会計補正予算第2次」における「区立特別養護老人ホーム等民営化検討」について、質疑いたします。
 
特別養護老人ホームは、区立も民立も同じ介護保険制度のもと運営されている施設です。民立だから、安易に利用者の入所を断って良い、選別してよいという理由にはなりません。区立であっても民立であっても、厚労省のサービス提供を拒む正当な理由「(入院治療の必要がある場合その他)入所者に対し自ら適切な指定介護福祉施設サービスを提供することが困難な場合」を拡大解釈することがあってはなりません。

しかし、平成23年度の第一回定例会において、奈須りえの指摘で、医療的ケアを必要とする人の受け入れが区立より民立の方が少なかったという調査結果がありました。 3年前になりますが、区立特養の医療的ケアを必要とする方の割合は26%。それに対し民立は15%と11%も低くなっていたのです。

当時から比べると今はよくなっているとも聞いていますが、一人暮らしの人や生活保護の人など、いわゆる手間のかかる困難ケースの受け入れは、区立より民立の方の受け入れが少ないという声は、介護の現場から聞こえてきています。

仮に、当時のままの状況であれば、このまま区立特養がなくなってしまえば、現在、区立が受け入れている医療的ケアを必要とする方や一人暮らしなど身寄りがなくて一般的に施設から手間がかかるとされる「困難ケース」の方たちが受け入れられなくなる可能性があります。

現状における受け入れの違いがどこからきているのか、その現状や理由を明確にした上で、区立特別養護老人ホームの役割を明確にしなければなりません。

安易に民営化することによって、困難ケースが、放置され、特別養護老人ホームに入りにくくなる可能性は排除しなければなりません。
 
特養に入るためには、選考基準があり、それによって優先順位が決められますが、最終的な決定をするのは事業者であり、民間事業者であれば、経営的な視点からの「取捨選択」にはならないともかぎらないのではないでしょうか。
 
そこで、質疑します。

【1】 区立特養と民立特養の受け入れの現状の違いについて、調査し、明らかにしたうえで、現在の区立特養が担っている役割を明確にする必要がありますが、できているでしょうか。これからされるでしょうか。

【2】 民立特養の入所基準があいまいで、結果として、民立特養の裁量を大きくしているのが現状です。民営化するとしても、民立事業者の裁量権を安易に大きくすることが、結果として困難ケース(経済状況の良くない区民や、一人暮らしなど)を経済性や効率性の理由で排除されない状況を作るためのしくみはつくられるでしょうか。

議会質問の動画はこちらで見ることができます。
  私の登壇は6分30秒くらいからです。