「いじめはなくなるのか・・・」 子どもたちと弁護士がつくるお芝居を観てきました

8月31日は、東京弁護士会の弁護士と子どもたちのがつくったお芝居を観てきました。 今年のタイトルはこちら。

もがれた翼パート20 「虹がかかるまで」 本当は、いじめは嫌なんだ
これは、毎年行われているもので現役弁護士たちと子どもたちで演じているお芝居です。
 矢印詳しくはこちら ⇒もがれた翼 東京弁護士会

今回のテーマは、「いじめ」。毎回「子どもの権利擁護」の視点で描かれていて、子どもの心に寄り添う弁護士たちの心意気が伝わってくる作品です。

1994年の「子どもの権利条約」批准を契機に、少年非行、児童虐待、いじめ、などの学校問題といった、子どもの人権にかかわる様々な課題を、できるだけわかりやすく多くの市民に伝えたいと上演を始めました。
実際に起きた事件や、弁護士が出会った子どもたちの背景をもとにして物語をつくっているとのこと、人々の内面に迫り、また問題を多角的にみられ、深く考えさせられるお芝居です。

 さて、お芝居のあらすじは、陰湿ないじめにあった中学3年の女の子が弁護士や「子どものオンブズパーソン」の助けを借りながら、気持ちを立て直していく話ですが、見て見ぬふりをしている生徒と担任、忙しく落ち着かない学校生活、問題を知っても保身的な対応の学校、保護者のヒステリックな抗議に心を病む教師、いじめる側の子どもの家庭の問題、等々、複雑な絡み合いがあるのです。
オンブズパーソンが子どもたちにヒアリングする中で、その絡みが見えてきます。 いじめた側にも弁護士が付き、メンタルフレンドが付き、自分の気持ちに向き合えるようになっていきます。常に、解決するのは、本人です。

印象的な言葉は、いじめられていた女の子が、不登校、自殺未遂ののちに弁護士たちからかけられた言葉です。
「学校は命をかけてまで、行くところではない」 「いじめはなくならないかもしれないけれど・・・“いじめはいけないんだ”って一人一人が自分の信念として心に刻み込むことが大事なんだよ」

お芝居を見ると、いじめは、単純な問題ではないということ、「孤立」から救うことと子ども同士、子どもと大人、大人同士の信頼関係の回復が重要だということ、したがって「厳罰」によって解決しようとするなんていうことは、ナンセンスだということがよくわかります。

 次回公演 平成26年8月23日(土)北とぴあさくらホール
とってもおすすめです。 来年に向けて、子役出演者の募集中もしています。

社会福祉法人カリヨン子どもセンター

子どもの権利擁護に向けての東京弁護士会のもう一つの成果は、子どものためのシェルター「カリヨン子どもの家」を設立したことです。家庭での親子関係がこじれ、あるいは虐待が起こり、安全に暮らせなくなる子ども。児童養護施設を巣立った後、就職に躓いて、生活の場を失った子ども。少年事件を起こし、家庭からの引き取りを拒否され、行き場所を失ってしまう子ども。こうした子どもたちのための「子どもシェルター」「自立援助ホーム」です。暖かな家庭的な雰囲気で、子どもたちの保護、生活支援、自立支援を行っています。