江戸川区・学童保育の「おやつ廃止」
今日は、東京・生活者ネットワークを会場に「子ども部会」がありました。ここでは、各自治体の子ども施策について、情報交換をしていますが、江戸川区が児童の放課後対策事業「すくすくスクール」の中での学童保育で出していた「おやつ(補食)」を平成25年度から、廃止することを決めたという話にみんなとても驚きました。
なぜ?
・学童以外の子どもはおやつがないので、「分け隔てをしないため」
・食物アレルギーのある子どもがいるため
という理由からだそうです。
これらの理由を聞くと、「そんなことは今にはじまったことではないし、おやつは、捕食というくらい、エネルギー消費量の多い子どもにとっては、3度の食事を補う重要な食べ物。子ども本位で考えないのか」と大人の思惑で子どもたちからおやつを取り上げることに疑問と理不尽さを強く感じます。財政削減という意図もあるのでしょうが、優先順位はやはり、育ち盛りの子どもの健全育成にあるのではないか、と思います。
さて江戸川区の学童保育は、「すくすくスクール」というすべての子どもを対象とした放課後対策として、教育委員会の管轄の中にあります。いわゆる「放課後子ども教室」で、73の学校全てで行われ、学童保育もこの「すくすくスクール」に包括されています。
学校の校庭や体育館を放課後から5時まで遊び場として開放し1年生から6年生まで、自由に遊ぶことができ、地域のボランティアがいっしょに遊んだり、勉強したり、見守りをしているそうです。
江戸川区のホームページには、「放課後子ども教室」部分について「児童にとっての自由な学びの場・遊びの場として自己責任で参加・登録する区分です。「参加する・しない」「何時まで遊ぶ」「お迎えの有無」など、お子さんと約束して参加させてください。また、都合のよいときに保護者の皆さんも参加し、地域の中での子育ての場の一つとして活用してください」とあります。
学童保育については、専門の指導員がいて、登録制で対象が6年生まで、時間は、6時まで延長できます。利用料金は月に4,000円。おやつ代は月に1,700円です。(1,700円はもう徴収されていないでしょうが)
このように学童保育が「放課後こども教室」といっしょに行われているのは世田谷区も同じです。世田谷区の場合は、放課後子ども教室は6年生まで、学童保育は3年生までです。以前、世田谷区の放課後子ども教室、「新BOP」事業を視察したとき、おやつの時間になると学童保育の子どもたちだけは、別室に集められておやつを食べていましたが、特に混乱はありませんでした。
学童保育の子どもたちは、親の就労のためにそこにいなければならない、居場所に選択の余地がないということが、他の子どもたちと大きく異なるところです。一般利用の子どもたちは、おやつを食べてから、また来ることも可能で、選択の余地があるのです。一般利用の子どもへのおやつをどうするかという、議論があってもいいでしょうが、少なくとも学童保育の子どもたちが、お昼から6時近くまで、何も食べないですごすというのはあまりにも酷です。
江戸川区の学童保育においては、この夏休みもおやつがなかったわけですが、これまでおやつといっしょに出されていた「麦茶」も同時になくなったそうです。子どもたちは、お弁当が済んだら、あとは家に帰るまで、水を飲むしかなかったそうです。
今、江戸川区では、保護者からおやつ(捕食)を再開してほしいという運動が起きており、陳情も出ているそうです。さあ、どうなるでしょうか。見守っていきたいと思います。
この事例で考えさせられるのは、
【1】子どもの環境を考えるとき、“子どもにとってはどうなのか”という視点で考えるべきではないかということ
【2】そもそも「すくすくスクール」は保護者や地域の人といっしょに創っていく」という精神で行われている事業のはず。子どもの生活に関わる大事なことを決めるのに、協議の場、合意形成の場はないのかということ
です。
<参考HP> ⇒江戸川区 「すくすくスクール」 ⇒江戸川区・学童補食の継続を願う会
大田区もこれから児童館の民間委託が続きます。子どもにとっては、どんな放課後の環境がふさわしいのか、子ども本位の児童館運営がなされていくように、しっかり見つめていきたいものです。