「廃棄物処理のあり方や収集方法について」など 環境問題について一般質問に立ちました
第一回定例会が始まりました。一般質問の内容全文をご紹介いたします。
「区民と健康を守る視点から」 廃棄物処理のあり方について質問いたします。
容器包装リサイクル法の施行で、びん、缶、古紙類、の分別は進みましたが、レジ袋、トレイなどプラスチック類の回収・資源化は、2008年からの廃プラ混合焼却の導入により徹底がされていません。実施前の廃プラ混入率は平均で5%程度であったものが、平成24年度、東京23区清掃一部事務組合の報告によると「燃やす」ゴミに占めるプラスチック類の大田区の割合は18%と高くなっています。
生活者ネットワークは、平成18年度、19年度、20年度の定例議会において廃プラ焼却に伴う、温室効果ガス排出の問題など混合焼却への疑問を投げかけてきました。混合焼却の本格実施、5年が経過した今、改めて環境への影響、ゴミ処理のあり方について、考えたいと思います。
市民参加による松葉のダイオキシン調査が、焼却実施前の2006年と実施後の2009年と2013年に、同一地域、世田谷・目黒・大田・品川・江東・江戸川で行われました。
一般のダイオキシン調査は気象条件に左右されますが、松葉のダイオキシン調査は、松葉が呼吸によって大気から長期間取り込み、脂肪分に蓄積したダイオキシン濃度を計測するので、平均的な大気の状況を知るデータが得られ、国際的にも環境指標として確立した方法です。
調査にあたった環境総合研究所の池田こみち先生の分析によると、大気中ダイオキシン濃度が臨海部・京浜島では特に、廃プラ焼却実施後に大きく上昇しており、国内年間平均値(0.032 pg-TEO/m³)を大きく上回る0.40pg-TEO/m³という高い濃度でした。
廃プラ焼却実施後は全域で濃度が上昇していますが、特に上昇幅が大きいのが京浜島、江戸川、品川、大田区東部であるということから、他地域の汚染が臨海部に集まりやすい構造となっている可能性が示唆されると報告しています。
また廃棄物に含まれるプラスチック類には重金属類が含まれる添加剤(可塑剤、難燃剤、発色剤等)が使用されており、それらが焼却によって、気化して煙突から環境中に排出されることが問題として指摘されています。
EUが規制している12種類の金属元素を調査したところ、京浜島は相対的に濃度の高い項目が多く、アンチモン、クロム、銅、鉛、ニッケル、ヴァナジウム、水銀において高い濃度が検出されています。なかでも水銀は大きな上昇をみせています。
近年、子どもも大人もアレルギー、喘息などの免疫系疾患、そして先天性異常の発症率の増加等が問題になっており、原因の一つに環境汚染物質の影響も指摘されているところです。
欧米と違って、日本では、金属類については、その排出規制がなく、測定の義務がないなど、安全対策が万全とはいえません。
伺います。
プラスチック焼却・埋め立ての流れを転換させていくことが今後の課題であると思います。そのためには、プラスチックゴミの減量、それには、生産抑制が必要です。
現在のまま、容器包装の分別・収集・保管というリサイクル費用を自治体負担、税金でまかなっているのでは、事業者は発生抑制の努力をせず、リユース容器よりも使い捨て容器が増え、循環コストが増大する一方です。
リサイクルやごみ処理の費用を事業者が全面的に負担することになれば、リサイクルやごみ処理費用を安くするために、使い捨て商品や過剰包装をやめ、長持ちして修理できる商品やリサイクルし易い商品の開発が促進されることになります。
現在の容リ法では、このような循環型社会のキーワード「拡大生産者責任」の織り込みが不十分でした。拡大生産者責任を織り込む「容器包装リサイクル法の改正」を求める意見は、区長会からの緊急要望でも区民からの陳情も出されているところです。
大田区は、おおた未来プラン10年及び大田区一般廃棄物処理基本計画に基づいて、ゴミの減量、資源の有効利用、環境負荷の低減を図る目的で、平成24年2月から区内の6地区で資源モデル回収事業を行っています。このことが、現在の課題解決のためにどう生かされるのでしょう。
中央環境審議会において、「事業者による負担に係る具体的な制度や実際の負担額を決定するに際しては、市町村の分別収集等に係るコストが明らかになっていることが必要である」「コストの透明化によって、市民や事業者による市町村コストのチェックがより進展し、処理の効率化が促され、社会全体の容器包装廃棄物処理コストも低減するものと考えられる。」と報告がなされています。「明細のない請求書には応じられない」との事業者側からの反発があったからだと聞いています。
うかがいます。
ゴミの減量のための方策・戸別収集について質問いたします。 新春の東海道のマラソンの沿道にゴミのビニール袋が積まれている風景は美観の点から、どうかという指摘が都市環境委員会の中でなされました。これからの街づくり全体を俯瞰して、収集や処理のあり方を考えたいと思います。以前にも生活者ネットワークで、提案させていただきましたが、改めて戸別収集についての提案をいたします。
現在、70万区民のゴミが、障がいや高齢のため、集積所に持っていけない人以外の物は、集積所で集められています。およそ20メートルに一か所、多いところでは、40軒分ほどのゴミになります。網をかけていても、カラスが生ごみを散乱させるなど衛生面の問題、宅地細分化、集合住宅にそれに対応した集積所がないなど、集積所のゴミが増え、ゴミがゴミを呼ぶことやら、収集日を守らない、回収不可のものを出すなどのモラルの問題もあります。
地域コミュニティーの崩壊、女性の就労増、など時代の大きな変化もあり、そのような中で集積所方式は、地域住民間に軋轢をもたらし、アメニティ-(衛生的で良好な住環境)の形成を阻害する等の問題点があります。
この問題を解決するために、収集方法を個別収集にすることを提案いたします。都内49の自治体を調査したところ、21の自治体が全域で戸別収集を行っていました。
23区では、品川区が全域、北区・墨田区・江東区・台東区が一部で戸別回収を行っています。効果を尋ねたところ、「ごみの減量」「分別の徹底」「まちの美化」「不法投棄減少」につながったという答えでした。日野市では、ごみ収集の有料化の影響もあるでしょうが、ごみ収集量が45%減、資源物回収量が3.3倍増に。マイバック運動も広がり、リサイクルが増え、ゴミの発生抑制になっている、との報告がきています。
ほとんどの自治体では、戸別収集にすることでのコスト増がありますが、台東区は、3か月ごとに地域を拡大していく中、慣れるまでは一時的に収集車を多く投入して、定着したところから、収集車を引き上げるので、収集に関する増額は一時的なものだと答えています。収集費用も無料です。23区は、一組に、焼却(中間処理)費用として分担金を納めており、大田区の場合は、年間約30億円です。これは、ゴミの量に応じた額なので、ゴミの減量でその負担を減らし、従って、区民の負担を減らすことにもつながるといえます。
伺います。
消費者教育推進法について
持続可能な社会を創っていくには、消費者自身が考え、行動すること、実際の社会で起きている様々な事柄に、自分の消費行動が繋がっているという、社会の構成員としての責任を子どもの頃から育てることが重要です。
2012年に、「消費者教育推進法」が制定され、2013年12月に施行されました。その定義の中には、「公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画」とあり、主体的に参加する消費者市民社会をめざす考え方が盛り込まれていることは、画期的なことだと思われます。これを受けて東京都は「東京都消費者教育推進計画」を策定しましたが、今後は市区町村でも、「消費者教育推進計画」策定、「消費者教育推進地域協議会」の組織が努力義務となっております。
経済のグローバル化は、大量生産や大量消費、大量廃棄の傾向を助長しがちですが、目先の利益だけではなく、常に地球環境や次世代の未来を私たち、消費者全体で考えていくことが必要です。
伺います。
これで質問を終わります。