「大田区で子どもの貧困を考えるフォーラム」に行ってきました

2014年3月8日に大田区消費者生活センター大集会室にて、下記のフォーラムがありました。 出席してきましたので、ご報告をさせていただきます。

貧困の連鎖を断ち切る 教育支援のあり方を考えるフォーラム2014 「大田区で子どもの貧困を考えるフォーラム」 主催:自主学習支援会 後援:大田区・大田区教育委員会

大田区の区民協働課担当の事業、地域力応援基金助成「ジャンプアップ」を受けて、この1年間、貧困家庭の子どもたちに学習支援をしてきた「自主学習支援会のベストキッズ」の報告と今後の課題を共有するひとときでした。大田区からは、福祉部 生活福祉部長・教育長・区民協働担当課長の参加もありましたが、実態の共有と今後の連携を考えるうえでとてもよかったと思いました。

 第1部 基調講演「子どもの貧困と格差と学び」 NPO法人 さいたまユースサポートネット代表 青砥 恭 クリックHPはこちら

さいたま市で、生活保護受給世帯の中・高校生を対象に居場所づくりと学習支援事業を行ってきている青砥 恭さんのお話を聞きました。
現状、困窮家庭の子どもたちは、安心して暮らせる居場所がない、たとえば、父母が離婚、母が失踪、祖母が養育するがその祖母は心療内科に通院。また、ある子どもは兄弟は5人、末の弟は母親の虐待で児童養護施設で暮らす。金銭管理能力がない母親。長女も不登校、本人も中学から不登校などです。リスクのある環境にいる子どもには、まず安心して自分を出せる場所が必要。

 支援は全て大学生
該当する子どもが200人いて、支援する大学生の登録が350人。埼玉大学を中心に都内から集まってくるとのこと。マンツーマンで関わり、中高生には自尊感情を持つことから、徐々に学習意欲へと。週に2回の学習塾が7か所、庁舎の委員会室を使わせてもらっているとのことです。大学生には、困難な家庭と子どもの苦労を想像して「共感と敬意のまなざしで迎えてほしい」とだけ、伝えている。特に学生を育成するわけではないが、塾のあと、振り返りと定例会が、大学生たち、お互いの学び合いになっている。3時間、交通費込みで2500円の有償ボランティア。

 共生社会・いっしょに社会を作っていく仲間
社会階層が学習格差につながっていること、貧困層に家族に障害をもっている割合が多いこと、など家庭環境が子どもの可能性に大きな影響を及ぼす実態が伺われる。貧困層に不登校が多いことなどから連鎖を断ち切るには、必ず支援体制が必要。今後、アウトリーチにも積極的に取り組んでいきたい。単なる学習支援ではなく、共生社会を創っていく、大きなシステムをめざしており、地域の中で、人との関係の中で、子どもを育んでいくことの必要性が語られました。

 第2部 パネルディスカッションより
今後の課題
・高校進学が目的ではあっても、中学3年生からの学習では間に合わない。学習の習慣をつけるためにも、基礎的な知識を身に着ける小学生からの支援が必要。 ・本当に大きなリスクのある子どもは支援の場にたどり着いていない。 ・ケースワーカー(生活保護を受けている人に対して様々な働きかけをする職員)が子どものいる家庭へのアプローチをすることが必要だが、業務の多忙さや移動などで、周知がいきわたっていない。 ・ケースワーカーが専門職ばかりとはかぎらない。よって、福祉と教育との連携、区民との連携がもっと必要。 ・大学進学だけではなく、工業高校、商業高校などへの進学の選択肢もある、という社会の意識も必要。
など、大田区の課題が語られました。
大きな希望は、大集会室いっぱいの参加者でした。多くの方が関心を持ち、何かをしたいと思っているということ。大田区の資源ともいえるでしょう。
福祉部 生活福祉部長の言葉、「福祉の大切な仕事は、必要な資源に結び付けることかもしれない」ファシリテーターの言葉「私たちの問題です。未来の納税者を育てることですから」が印象に残りました。

区民協働の力で、子どもたちをしっかり育む支援システムが作られることを心から願うものです。