子ども読書サミットとは? 子ども文教委員会・行政視察の報告1

区議会において、子どもの健全育成をテーマに審議をしている「子ども文教委員会」。10名の委員が、今回は8月20日~8月22日に関西方面に視察に行きましたので、その中の2つの市の事業をご報告いたします。

一宮市・子ども読書のまち宣言

一 宮市では、駅近くの複合ビル5~7階に中央図書館を開館しています。図書館ネットワークの中核拠点として、市民の生涯学習の場として、また、将来を担う子 どもたちの心豊かな成長を促す読書環境づくりの一環でもあります。一宮市は読書を基盤とした人づくり、街づくりを進めることを願い「子ども読書のまち」を 宣言しています。この「子ども読書のまち宣言」に託す思いや作られる経緯をお聞きし、中央図書館の見学をさせていただきました。

子ども読書のまち宣言

 読書は、言葉を学び、表現力を高め、創造力を豊かにし、感性を養ってくれます。本を読むことは、子どもたちにとって、人生を魅力的なものにしていく上で欠かせないことです。
 一宮市は、この地に育つすべての子どもたちが、本との幸せな出会いを体験することによって読書の楽しさを知るとともに、いっそう豊かな心が育つよう、家庭・地域・学校・図書館が一体となって、子どもの自主的な読書活動を推進してきました。
 私たちは、子どもの時から読書に親しむことで、読書を基盤とした人づくり、街づくりを進めることを願い、ここに「子ども読書のまち」を宣言します。

1.わたしたちは、つでも本を大切にし、っぱい知識を学びます。
1.わたしたちは、いさいときから読書に親しみ、いきの人たちと本を通して交流します。
1.わたしたちは、んびりと家族で本を楽しみ、びのびとした豊かな心を育てます。
1.わたしたちは、んなが気持ちよく本を読み、んなの笑顔があふれる図書館にします。
1.わたしたちは、っぱり本が好きといえる、さしさと思いやりのある子ども読書のまちをつくります。   
                                           
平成25年12月19日 一宮市

一宮市HPより


宣言がつくられる過程・子ども読書サミット

平成24年12月に一宮市は、「第2次子ども読書活動推進計画を策定し、その中で、「宣言」をつくることを決めています。

平 成25年3月に、市内62校の児童生徒代表による「子ども読書サミット」を開催し、子どもたち自身による「子ども読書のまち宣言文(原案)」を作成。(事 前に各学校で作ってもらった文書をたたき台にしてサミットにおいて、グループに分かれて討議・精査。子どもたちの発想を最大限に生かして、教師たちが文に つなぎ合わせる)

これを、推進計画の進捗管理をする「一宮市子ども読書活動推進懇話会」(学校教育・社会教育・読み聞かせのボランティア団体・公募委員等になる組織)が審議し、「宣言」(案)として提出。パブリックコメントを経て市議会において議決。


素晴らしいのは、子どもたち自身が宣言作りをしているということです。市民に親しまれ、指針となる「宣言」ができる過程に関与したこと、自分の意見が反映されることは大きな喜びであり、子どもたちの読書への意識の高まりに寄与するものとなったことでしょう。

また推進計画の進捗管理をする「一宮市子ども読書活動推進懇話会」が官民一体で組織されていることは、子どもの読書の環境を切り開いてきた読み聞かせ市民活動団体の熱意や専門性が生かされ、質の向上に効果的だと思います。

これから開催される、第2回の「子ども読書サミット」では、“子どもたちが本を好きになるためには、学校や家庭で何をすればよいのか”を グループ討議して、学校にフィードバックするそうです。子どもたちの意見が学校や地域運営に反映されることは、子どもたちの意欲と主体的な社会参加を育む ことになり、ひいては「自分たちのまちを自分たちで作っていこう」という全員参加の社会作りに寄与するものといえるでしょう。

第2次子ども読書活動推進計画」においては、“子どもたちが読書に親しむには、大人たちが読書を楽しむこと。家庭、地域や学校、そして行政機関がその役割を果たすとともに、それぞれの連携・協力体制の充実が、子どもの読書活動を総合的に推進する”とのべていますが、まさに大人にも子どもにも充実した読書環境が「一宮市立中央図書館」です。

一宮市立中央図書館

平 成25年度に開館した「一宮市立中央図書館」は駅に直結した7階建ての複合ビルの5・6・7階を堂々と占めています。5階は児童書エリア、6階は一般書・ 視聴覚エリア、7階は一般書と参考図書エリアです。合わせて6,700㎡。開館時間は午前9時から午後9時まで。蔵書46万点。
駅から近く、便利な場所にあるこの複合ビルの機能については、市民アンケートで、もっとも希望の多かったのが、図書館と子育て支援施設とホールだったそうです。

そこで、図書館、子育て支援センター、子ども一時預かり所、ホールや会議室を設置して、その他、「市民活動支援センター」や「社会福祉協議会」などが入っており、市民生活を豊かにするもの、社会参画に関わるものが集結しているように感じました。

 

 

 

受付カウンターの壁、「エルマーの冒険」のぬいぐるみが飾られている

書庫
図 書館には、いろいろな工夫がなされていますが、まず書庫です。少ないスペースで効率よく、ということで、屋上に30万冊が収められていますが、リクエスト に応じて、コンピューターで自動的に本が取り出され(自動化書庫)、貸し出しカウンターの近くまで届くシステムには驚きました。

 

 

 

屋上にある30万冊の自動化書庫、ここからカウンターまで数分

 

 

 

 

屋上の書庫から書架カウンターに届いたところ

 

誰もが快適に過ごせる空間作り
ユ ニバーサルデザインの考えに基づいたゆったりした空間。お話しの部屋、児童調べ学習室、AVコーナー、飲食のできる休憩室、雑誌コーナー、インターネット ブース、160席ある学習室など、目的別のエリアに分かれています。試験前の学習室には開館時間の9時に対して7時から列ができるほどの人気だそうです。 照明はLED電球、天井からのはね返りを利用した間接照明で落ち着いた明るさの書架。またわかりやすく、工夫に満ちた展示がなされています。

 

 

 

学習室

 

 

 

 

雑誌を読むコーナー

 

 

私たちが視察した日は、ウイークデイでしたが、たくさんの人で、賑わっていました。大人も子どももそれぞれに読書を楽しんでいる様子を伺うことができました。1日の利用者数の平均は25年度は3,500人だったといいますから、すごいですね。

 

 

 

色で分けてみた! おもしろ展示

 

 

 

 

子どもの本の書架

 

 

 

広々としたカーペット敷きのスペース 

奥に大型絵本の書架