“子育ての知恵の秘訣がここに” 「親子で磨こう五感と感性」 寺内 定夫 先生講演会のご報告
幼稚園で働いていた時代から大変尊敬し、多くのことを教えていただいた寺内定夫先生が、千鳥町の絵本専門店「チィール・グリーンinシード・ヴィレッジ」 で、講演をされました。大人のつくった競争社会が子どもの心の成長にどんな影響を及ぼすのかを考えさせられ、“子どもの幸せ”を原点に返って教えられた講 演会でした。ご報告いたします。
「い ない、いないばー」と「だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょう」から始まった子育て講座。5カ月から2歳前の子どもと親が集まっていましたが、ど の子どもたちも実に楽しそうに笑っていました。ママと、目と目と合わせていろんな表情をして遊ぶ、コミュニケーションの遊びは、子どもにとって、最高にう れしい遊びなのです。ほほえみは心の抱っこです。
五感を使って、感性を育てることが子どもの成長にとってなぜ重要なのか・・・発見の喜び、驚き、人との心の共鳴、それによって、毎日の生活が満たされると、子どもの自ら成長したい、という意欲が育まれるからです。
●感性を育てるとは
「ほのかなもの かすかなもの おだやかなもの」に寄り添う
子どもは本来、しゃがんで小さなものをよく発見します。野の花だったり、小さな石ころだったり、ありんこだったり。そこから何かを感じ取ろうとする力は、五感を鋭敏にし、寄り添う優しさや探求心を育むのです。
で すから、「ほのかなもの かすかなもの おだやかなもの」つまり“弱い刺激”に、子どもが出会えるように、“強い刺激”から遠ざけることに心を配らなけれ ばなりません。たとえばテレビ。放送局は視聴率を上げるために、どんどん刺激を強くしていきます。強い刺激に慣れてしまうと、子どもは弱い刺激に振り向か なくなるのです。“鋭敏さ”が失われていくのです。
叱るとき、大きな声で『ダメ』ということも子どもにとっては、強い刺激です。多用すると、子どもの心が満たされず、イライラがたまります。子どもとの語らいは、目で語り、肌で聴く、双方向で。子育ての知恵は、子どもの“感性”を育てる環境を守ることです。
●子どもの絵を聴く
小さな子どもの描いた絵は、両手でしっかり受け取りましょう。何が描いてあるかわからなくても、たとえば「マルがいっぱいあるね」と認めることで、子どもの絵を聴き、子どもの言葉を引き出すことで、子どもはママとのコミュニケーションを喜ぶのです。
ある子どもが保育園の先生に雲を描いて見せたそうです。先生が見入っていると次々に「これは雲のお母さん、これは雲のお父さん、これは雲のおじいちゃん・・・」と。子どもは、先生との心の交流がうれしかったのです。絵は子どもの心を聴くツールです。
●いっしょに見つめる
昔 に比べると、圧倒的に自然が少なくなり、しかも私たちは目を留める余裕をなくしてきています。競争社会は、スピードと刺激の強さで、「感性」を鈍化させて いるといえるでしょう。ときには、「虫の声」や「水に映った月」を子どもと本物を見つめるときを持ちましょう。これを宿題にしましょうか。
子どもの「発見」についていくだけでいいのです。子どもの発見をおもしろがる大人でありたいものです。