演劇の力 「ウ学級」子どもの笑顔を真ん中に、暖かな輪
2月21日、アプリコで大田・生活者ネットワークの政策発表会に続き、第2部として児童演劇が上演されました。「赤ずきんちゃん、ご用心!」という児童劇です。
演じてくれたのは、劇団「ウ学級」。
●「ウ学級」について
名前の由来は、脚本家で監督が「宇賀神さん」だからです。4年前、蒲田在住の宇賀神さんが、役者仲間を集めて、ユニットを作り、元北蒲小学校「ほっぽ広場」で行われている「子育て支援活動」の「ほっぽひろば」のために上演したのが最初の活動だったそうです。
●子育て支援活動への応援から始まった上演
元 小学校の教室でささやかに行われている、地域のお母さんたちの暖かな子育て支援の活動「ほっぽひろば」。週に1回、幼稚園前の子どもたちが小さな集団で遊 ぶ経験をし、お母さんたちはその間に用をかたづけたり、リフレッシュしたりできるのです。その活動を応援して行われた演劇が「ウ学級」の活動の始まりで す。
上演にあたっては、大道具や小道具をその「ほっぽひろば」に集ってきているお母さんたちが作ったというのですから、手づくりの演劇会 です。子どもを真ん中に大人たちが心を合わせて、創り上げているその活動、そのものに大変感銘を受けました。昨年は実際に拝見して、親子で笑いあえるひと とき、みんなでいっしょに創り上げた達成感の意義に気が付かされました。
「ウ学級」に今回、上演をお願いした理由です。
●ハンドスタンプアートプロジェクトとのコラボレーション
さ て、今回は、宇賀神さんの発案で、ハンドスタンプアートプロジェクトとのコラボレーションが実現しました。ハンドスタンプアートプロジェクトとは、難病の 子どもたちのママたちが始めた活動です。難病や障害のある子どもの手形や足形を集めて、巨大アートを作り、ギネスに挑戦、そして東京オリンピックに飾って もらうことをめざした活動です。“ママたちが明るく前向きに取り組んでいる夢のあるこの活動をもっと宣伝できないか”、なにげなく思ったことが、宇賀神さ んのアイデアで、手形で劇の背景「森」を作ってもらうことに繋がりました。
ハンドスタンプアートプロジェクトによる手形・足形で作った「森」の背景
森、リンゴの木、太陽・・・難病の子どもたちの手形と役者さんたちの手形が合わさって、背景が完成。いつの間にか、カノンちゃん(難病で、車いす)も出演することに。
そして当日を迎えました。
●演劇の力
「赤 ずきんちゃんご用心」のお話は、グリム童話(※)の中の「赤ずきんちゃん」のお話のパロデイです。赤ずきんちゃんが、森の中に住むおばあさんをお見舞いに 行く途中でオオカミに会います。その前に森の仲間と友だちになっていて、その友だちが危機一髪のところを助けてくれて、オオカミが心を入れ替えて、仲良し になるというハッピーエンドのお話しです。
歌あり、踊りありの楽しい劇ですが、オオカミが出てきたときには、泣く子どもも。でもお母さん にしっかりしがみつくことで、自分は守られているという実感も湧いたのではないでしょうか。ハラハラドキドキ、でもおかしくて大笑いの場面も、あっという 間の1時間でした。お母さんやお父さんと一緒に同じものを観て、笑ったり、どきどきしたりする体験は子どもにとっては、とてもうれしい、大事な体験です。
こ の一瞬のために役者たちは練習を重ね、監督はキャストのキャラクターに合わせて、よりよい展開をめざして、セリフや動きを微調整していきます。私も「語り 部」の役で出演させていただいたので、練習を体験。何度も何度も同じ場面を繰り返し、言葉に込められた「心」を確認していく中で、一体感と方向性がいつの 間にか役者全体で共有できてくるのだと思います。
出来上がった劇が、また会場の子どもたちの反応で、膨らみをもっていくのですから、演劇のおもしろさは格別です。素晴らしい体験に感謝!
エンディング
(※)グリム童話・グリム兄弟が伝承の物語を集めたものです。
本当のお話は赤ずきんちゃんとおばあさんがオオカミに食べられて、猟師がオオカミのお腹から二人を救い、オオカミは死んでしまうという話です。勧善懲悪のお話には、深い意味があるので、先ず子どもが出会うお話としては、純粋なグリム童話がとても大切だと思います。
ハンドスタンプアートプロジェクトの仲間と役者さんたちも