子どもを社会の真ん中に プレーパークから始まるまちづくりへ
5月30日(土)池上会館で、プレーパークについての講演会を開催しました。
品川区内のNPO法人「おばちゃんち」の代表理事の幾島博子さんと、北浜こども冒険広場プレーワーカーの宮里和則さんに、活動の報告とこれからの公園作り、まちづくりのヒントをいただきました。生活圏の中にあるプレーパークが“まちのコミュニティー”を取り戻す役目を果たしている、人と人との暖かいつながりを生み出している、とお話をうかがって感じました。ご講演の要旨を簡単にご報告します。
●幾島博子さんから「おばちゃんち」の報告
商 店街の一角で、理由を問わない一時預かりや子育て広場の運営をしている「おばちゃんち」。おばちゃんたちが、6~70人、保育サポーターとして関わってく れています。子育てを軸にだれにでも優しい風をふかせたい。互いの違いを尊重しながら、ゆるくつながり、暖かな関係を築いていきます。だから、おばちゃん ちの活動は、子育て支援ではなく“まちづくり”。100軒のおばちゃんち、100人の仲間をめざします。
エピソード
保育サポーターのおばちゃんの言葉。「こんな赤ちゃんを抱かせてもらえてうれしい。どちらがボランティアかわからない。」誰かのためではなく、お互い様。
子どもには遊びが必要
現 代の子どもはゆっくり自由に遊びこむ時間がない。 “やりたい”という気持ちが基にあって、自分たちで創意工夫。遊ぶことが生きるエネルギ-になる。大人になってから、困難に打ち勝つ力に。リスク回避で家 の中での遊びに偏りがちな現代。なおかつ商業主義に飲まれてしまう。今こそ、プレーパーク!
“心が折れるよりも、骨が折れるほうがましだ”
イギリスのプレーパークのTシャツ。
●「北浜こども冒険ひろば」のプレーワーカー宮里和則さんの話
地域の教育力
小さい子どもをなぐさめ励ます年上の子ども。優しいまなざしの中、いっしょに育っていく。地域の大人の関わり。はじめはクレーム、やがて理解、共感。本来の日本人は、子どもの遊びを優しく見守る。モース:世界中でこんなに子どもが幸せな国はない。
今、街中で“おじさん”が子どもに話しかけると“不審者扱い”。北浜では、安心して子どもに声をかけられる。人々の生活のすぐそばに遊びがあるすばらしさ。
街の幸福権
子 どもが蝉取りをしていると、「私にやらせてごらん」と網をとる、おばあさん。子どもがドラム管のお風呂に入っていると「なつかしいな、」と、戦後、どこに ドラム菅風呂があったか、語りだすおじいさん、幸せな光景。児童館が子どもを街から奪っているのではないか。街の幸福権を私たちが奪っていないだろうか。 子どもを見ているだけで、しあわせになれる。街のしあわせって、そういうものではないだろうか。
今の子どもの生きづらさ
・お金ではない、対価のあることを知らない。なんでも「いくらですか?」
・遊びの主人公になれない。
・なんでもルール:ルールを守れない子は、悪い子。 けんかでさえ、「あの先生が悪いんだ。けんかを止めないから」
みんなのまちに
北浜こども冒険ひろばは、人々の生活のすぐわきにある公園。さまざまな年代の人がそれぞれの形で関わり、くつろぐ場所、いこいの場所。子どもは社会の宝。そして、子どもたちの“今”が宝。
素敵な公園、というハードの問題ではないということ、私たちがどう生きていきたいのか、どんな街に暮らしたいのか、めざすものがあって、それが生きた公園という形になっているということがわかりました。
大事なのは、人と人との結びつき、あいさつ、やありがとうのことば、共感。街の幸福権に思いを馳せながら、公園作りを考えていきたい、と思いました。