沖縄・本気の貧困対策 子どもの貧困対策の推進

今年の「こども文教委員会」の視察先は沖縄でした。
沖縄の「子どもの貧困対策」を学ぶことが目的です。
全国で最も子どもの貧困率が高い沖縄。
先進的なアンケート調査を行い、その結果をふまえて、実態に即してさまざまな対策を講じています。その果敢な取り組みに感銘を受けた視察でした。

以下の記事も併せてご覧ください。

⇒うるま市教育研究所の取組みについて 「わかる授業づくり」・子どもの自立をめざして

⇒これって、あるようでない。すばらしいプロジェクト!大学と学校現場との協働作業による連携

 

大田区もこれから「子どもの貧困調査」を始めようとしていますが、沖縄からは大いに学ぶべきものがあると感じます。
一端を報告させていただきます。

可処分所得122万円未満を貧困基準としたときの平成24年推計の日本の子どもの相対的貧困率が16.3%という数字は大変ショッキングなものでした。しかし沖縄においては平成26年推計で29.9%。
沖縄は今、官民一体、県の総力をあげて子どもの貧困対策に取り組んでいこうとしています。

 

沖縄の現状

子どもの貧困を取り巻く現状としては、他に離婚率、DV相談件数、10代の出産割合、高校の中途退学者が多いことなどもあげられます。

 

沖縄子ども調査

子どもの貧困対策に向けて、大規模な生活実態の調査(平成27年10月~11月)を行ったところ、「就学援助制度」を利用している保護者が19%。申請をしなかった理由に約20%が「知らなかった」と答えています。

「経済的な理由で大学までの教育を受けさせられない」と考える親が3割、経済的な理由で食料や衣料が買えなかった経験は、「よくあった」「ときどきあった」の割合は50%です。電気:ガス・水道を止められた経験は17~19%。

特徴的なことは、貧困層の保護者ほど子育てのことで相談できる友人・知人がいない、貧困層の子どもほど、自己肯定感が低いことです。

このように、調査により、“貧困の深刻さと貧困が及ぼす子どもの成長への懸念”が浮き彫りにされ、貧困緊急対策事業が平成28年度より実施されました。

 

沖縄子どもの貧困緊急対策事業

【1】子どもの貧困対策支援員の配置

研修を受けた支援員が各地域の現状を把握し、学校や学習支援施設、居場所作りを行うNPO等の関係機関との情報共有や子どもを支援につなげるための調整を行う。(実施主体は市町村で、研修は県)

【2】子どもの居場所の運営支援

日中・夜間に居場所のないことにより非行に至るなど問題を抱える子どもが多いので、居場所を提供し、地域の実情に応じて食事の提供、生活指導、学習支援、キャリア形成等の支援を行う。民間のアパートや児童館を活用。

学校をプラットフォームとした総合的な展開を始め、保護者に向けては、自立相談支援事業、家計相談支援事業の実施や一人親家庭に1年間無料の住宅支援など総 合的な事業展開と同時に知事が会長となって県民総力の結集で、子どもたちが安心して暮らし、夢と希望を持って成長していける沖縄の実現を目指す「沖縄子ど もの未来県民会議」(構成は経済団体を含む105団体)を設立しました。

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写真は首里城