たった一日のイベントに4千万円!これでいいの?

大田区議会では決算特別委員会がまだ続いています。
平成27年度を振り返って、税金の使い道はこれでよかったのか、と議員と行政がやり取りをする場です。これは「総務費」の中での質問です。

 


「国際都市おおたフェスティバルin『空の日』羽田」京急蒲田の観光案内センターについて質問いたします。

観光・国際都市部事業内容をみると「空の日イベント」については、こう書かれています。
「大田区は、世界とつながる国際都市として、外国人にとっても魅力的であり、住みやすく働きやすいまちづくりを進めており、大田区ならではの魅力とおもてなし を体感していただくことを通して、地域全体でおもてなし気運の醸成を図るため、イベント(国際都市おおたフェスティバルin「空の日」羽田)を行います。

 

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空の日イベントの入口(天空橋)

 

約1月後には、2日間行われ、広さも規模も格段に大きい「OTAふれあいフェスタ」があり、それにかかる費用は41,919,000円に対して、空の日イベ ントも、ほぼ同額の41,103,912円でした。このような大きな事業計画はどのような経過をたどり企画されたのか、どんな成果と課題がみえたのか、検 証して、区民に示すべきではないか、と考えます。

お聞きします。
【1】空の日イベントは、「OTAふれあいフェスタ」と時期的にも近く、屋外が中心という意味でも似通ったイベントです。にもかかわらず多額な費用をかけて行う のには明確なコンセプトの違いがあってのことだと思います。違いを明確に打ち出すことができましたか。目標は達成しましたか。達成したとしたら、何をもって評価しますか。

ふれあいフェスタは、区民が 集い、楽しみ、触れ合える機会を作り出す、地域力を活かした区民のためのお祭り。空の日イベントは、国際都市おおたを国内外に発信するためのもの。今年は 40を超える国と地域の参加を得て、羽田から世界へ大田区が躍動するイメージを実感していただけた。

 

【2】27年度の空の日イベントの費用対効果をどう考えますか。

屋外のみでの実施なので、インフラ整備に費用がかかった。昨年は、17か国の参加、来場者3万2千人。今年はさらに国際都市おおたの㏚に効果があった。

プレスリリースは十分だったでしょうか。27年度も今年も区民でも知らない人が多く見受けられ、新聞やテレビで前宣伝があまりなかったのではないでしょう か。ある国の大使館関係者が「これだけの国が一堂に集まることはめったにない。こんな貴重な時なのに報道機関の姿が見えないのはどうしてだ」と言っていま したが、このイベントの意義を思うのなら、広く全国に発信することで、羽田をアピールすることができたのではないでしょうか。

 

【3】 「空の日」イベントは今年で最後だということですが、なぜ今年が最後なのですか。3年間、同じ企業に委託したのは、毎回の反省点を踏まえて、よりよいもの にしていくためだと聞きました。今後、このイベントがなくなるとしたら、積み上げてきた実績はどこかに引き継がれるのですか。

現在の会場が、来年度から基盤整備工事を予定しているので、しばらく使えなくなる。3年間の総括をして、各国や他の自治体との関係を今後の施策に活かしていく。

1 日は、私自身はとても楽しく充実した時間を過ごしました。それはミクロネシア連邦の方が607の島々から構成されるうつくしい島々の魅力を語ってくれたの と日本との関わりを教えてくれたことによります。一時日本だった時代がある、第2次世界大戦では艦艇が集結した基地であって、今も80隻の艦艇がサンゴ礁 に沈んでおり、ダイビングでその海の博物館をみることができる、と、自分の知らない世界や歴史に思いをはせました。

 

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ミクロネシア連邦の名誉総領事さんたちと

 

足早にスタンプを押してもらうことに夢中になっている子どもたちでしたが、一つでも、じっくりその国に関心を持つことができれば、よい経験になったのではないでしょうか。
たとえば、それぞれの国が「今、困っていること」を提示して、子どもたちももちろん大人もその解決策を考えながら、回っていくなどすれば、子どもたちは大き くなったら、その問題の解決のためにその国に行ってみたいと思ったり、語学を学ぶ動機づけになるのではないでしょうか。夢を描くことも大事ですし、実際、 国際貢献する若者、世界に挑戦する若者が育つかもしれません。ひょっとしたら、ある国の困りごとが大田区の町工場の出番につながるかもしれません。

せっかく44もの国が集っているのですから、国同士の交流もできて、ある国の困りごとに対してうちは、こうやって解決しました、ということがあったら、大田区の果たす役割は大きいのではないでしょうか。

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出迎えてくれるストリートディキシーバンド

 

これは、ある大使館の方が話していたことですが、もっと来訪者と交流をしたい、英語ボランティアのセンターをおいたらどうでしょう、きっと喜んでやる人がい るのではないでしょうか、と。また参加する国々はこのイベントが今後何につながっていくのか、とても期待しているとおっしゃっていました。

イベントは終わりましたが、日常的にいろいろな国の人と交流ができる、そんな場所を作ることには意味があるのではないでしょうか。産業交流施設を作るのであ れば、国際交流広場もどこかに設置して、いろいろな国にしっかり出会い、ミニトリップができるのであれば、羽田らしいファミリーで出かけられる場所になる のではないでしょうか。

一過性のイベントには賛成できませんが、3回続いた、この空の日イベントが将来につながる、子どもたちの夢を育むものに継承されることを期待いたします。

 

外国人が地域の中で孤立しないように、私たちが地域コミュニティに誘ったり、交流をもつなど、日常的なサポートが重要だと考えます。

その意味では外国人に寄り添って、支援をしてきたミックス大田のノウハウや実績から今後の国際都市に向けての方向性を見出すことができるのではないでしょう か。多文化共生推進センターでの外国人多言語相談には、27年度には1,811件の相談があり、外国籍の子どもたちへの日本語教室には延べ892人の子ど もたちが通い、大人向けの初級日本語教室は24回開催され、延べ356人の参加、行政情報の多言語化1,314枚など、地道に、そして着実に大田区で暮ら す外国人を支えています。年間を通して多くの事業をこなしているにもかかわらず、運営費が26,882,213円です。

現在、本庁1階の総合案内には毎日500人ほどの方が訪れており、そのうち3割弱が外国人だと聞いています。

ミックス大田への相談件数も年々増えてきています。現在空いている、本庁2階のレストランのあった場所にミックスから窓口を移動し、多言語での総合相談窓口を設け、情報を提供したり、ちょっとした区内旅行の案内もできるといいのではないでしょうか。

京急蒲田の観光情報センターについてお聞きします。
【4】 昨年12月に開設された大田区観光情報センターですが、4か月間で来場者が12,005人で、観光案内件数が1,021件、文化体験利用者が226件で す。観光案内件数のうち、外国人の割合、文化体験利用者のうち、外国人の割合、またどの体験に人気があったか、内訳をおしえてください。

この間の設置運営9813万2515円からすると、もっと利用者をふやさないともったいないと考えます。

【5】日本文化体験はなぜ参加者が少ないと考えますか。どのように周知をしていますか。着付けの場合は、3日前に予約をしなければならないと聞きました。どのように予約をしているのでしょう。

本来なら、ふらっと通りかかって、あ、やってみたいな、と思って飛び込みで体験したい人がいることでしょう。

お聞きします。
【6】何か体験をしたいと思うには、実際に行われていることをみて、興味を持つからだと思います。ただ畳の部屋があるだけではだれも関心をもたないのではないでしょうか。
た とえば区民活動団体の中のお茶、お花、着付け、書道、いわゆる日本文化・クールジャパンの表現者や、また高校生の部活動にも協力を仰いで、あの座敷を稽古 場にしてもらい、常に外から見られるようにしたらいかがでしょう。希望があれば、日本人にも外国人に教えてあげることを条件に無料で使っていただくので す。

区民の文化活動を支援することを含めた文化施策と観光施策をもっと緊密にしてもよいのではないでしょうか。

海外の人が関心を持つのは、行政からの発信ではなく、同じ旅行者からの生の声です。こんな楽しい経験をしたのだという映像の発信です。ある海外からの旅行者 が日本の山に登って、山小屋でのみそ汁のおいしさに感動して、こんな山の中でこんなおいしいみそ汁が食べられるなんて、日本はなんてすばらしい国だ、とい う映像を流したら、それを目指してたくさんの旅行者がその山に登って行ったそうです。

えてして、こちらの意図していないところで、旅行者に感動を与えることがあるものです。観光施策にことさらにお金をかけないでも、地道に地域の資源や日本文化を大事にしていくなかで、自然と海外の旅行者の目にとまるのではないかと考えます。