池上の街が好き 街で育つ、街を育てる ~本門寺通り商店街・景観整備御披露目式~

商店街の賑わいを思う

5月7日(日)は、池上本門寺通り商店街の景観整備御披露目式でした。

商店街の入口の門が新しく重厚感のあるものになり、商店街の中にはレトロな街灯、赤い和傘の日よけ、赤い毛氈の敷いてある腰掛、店の前には長い暖簾と、和のテイストが加えられました。

 

 

 

 

 

 

 

本門寺通り商店街にて

 

池上本門寺に通じる歴史ある通りをどのように整えるか。
知恵を出しあいながらも、合意形成を図る過程は大変だったのではないでしょうか。

最初に話がでてから5年以上の月日がたち、商店街の中で30回以上の話し合いがもたれたと聞きました。その成果か、風情があり、落ち着いた中にも華やかさがあり、毛氈のかかった腰掛も、日よけも通りを歩く人への「おもてなし」が感じられます。

今日の式には、区長もいらしてお祝いの鏡開き。他にも池上太鼓の演奏やダンスショーなど賑やかな一日でした。100店以上並んだフリーマーケットでは、子どもが威勢よく売り子をやっているところもありました。商店街の活気はやはり人が行き交い、地域で根を張った店の人との売り買いを基盤とした関係性ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

記念式典での鏡割り

 

 

 

 

 

 

 

フリーマーケットでは子どもも売り子

 
ずっと以前、本門寺通り商店街にあったクリーニング屋さんから聞いた話です。

「ここの商店街は仲がよくてね。みんなよく助け合ったもんだよ。蕎麦屋が忙しい時間は、うちは暇だったから、蕎麦屋の子どもやパン屋の子どもが来ていたりして賑やかだったよ。お互いいろいろ助け合って、やりくりしたもんだよ。」

保育園や児童館の機能も商店街に備わっていた時代があったのでしょう。子どもが街で育ち、街を創っていく、そういう循環があったのかもしれません。今もお花屋さんにお弁当屋さんの子どもがいつも遊びに来ているとか、昔と変わらず助けあいの精神が生きている商店街のようです。

歴史ある本門寺商店街の温かい活気がさらに続くことを祈るものです。

 

池上駅の改築に思う

池上本門寺にお参りに行く人のためにできた歴史ある池上駅。この池上駅がこれから改築されようとしており、早くも6月に着工といいます。構内踏切が危険だから、というのが大きな理由だそうです。これまで平屋だったところを5階建ての駅ビルにするというのですから、とても大きな転換です。

駅の改築に連動して設立した池上まちづくり協議会。設立は、一昨年3月20日。それから5回、池上改造構想の中で池上駅への意見を述べる機会はありましたが、のべ143名の参加者、しかも中には「今のままがいい。改築してほしくない」という意見の人も少なくなかった中で、十分な話し合いができたとは言えません。先日4月21日の東京新聞に発表された東急側のことばには「多くの住民の意見を取り入れて設計した」とありましたが、まだまだもっと研究し、話し合う時間が必要だと感じました。

現在の池上駅が好きだという人はとても多く、その魅力はおそらく渋谷のような、人が埋没するような駅とはちがって、平屋の駅舎、長い木のベンチ、3両の電車という、人の身の丈にあった駅というのか、全てを見渡せるサイズからくる、ほのぼのとした温かさ、安心感にあるのではないでしょうか。

小さくても、駅としての基本的な機能に損傷がなく、むしろ基本に徹しているからこそ使いやすいのかもしれません。

大田区の2017年度予算からは6千万円が池上駅改築事業費に使われます。

池上駅を日ごろ使っている利用者の意見、商店街の人の意見を十分に聴き、池上本門寺に向かう玄関口としてふさわしいデザイン、住民にとっての利便性、地域に根を張って商売をしている商店を含め、街全体の活気を創り出すよい関係性を摸索しながらの丁寧な計画であってほしいと切に望みます。今と同じ、人を温かく包み込む駅であってほしいと願います。