生活クラブの底力 消費者が生産者を発掘し、応援する仕組み
小麦の持つ旨み、風味を損なわない製法にこだわるパスタメーカー、(株)ニューオークボ
恒例の生産者交流会が池上会館で行われました。この日はパスタメーカー「ニューオークボ」が、おいしいパスタが生まれるまでの過程を丁寧に教えてくださり、その後、実際にパスタ料理を作るという日でした。企画したのは「23区南生活クラブ生協 まち大田」です。
とても興味深いお話でしたので、印象的なところをご紹介します。
調理風景
●(株)ニューオークボと生活クラブとの出会い
40年前、渋谷の「壁の穴」という店に麺を下していた。そこでスパゲティを食べた生活クラブ員がその美味しさからパスタメーカーに生産を頼んだことがきっかけ。日本で初めての和風味のスパゲティを出していた。もちもちの触感が特徴。
●会社の沿革
前身の「大久保マカロニ」は昭和7年日本で初めてパスタを製造。初代社長がイタリア大使館務めで知ったパスタの味に感銘して興した会社でイタリアからパスタマシーンを輸入。以来83年間そのマシーンと人の手で作り続けている。途中、輸入の自由化で安いパスタが出回り、立ち行かなくなるが、チェルノブイリ原発事故を機に安全性を求めた生活クラブが発注したことで工場再開。
●安全性
カナダからデュラム小麦を輸入するが、輸入される際に殺虫剤(ポストハーベスト)の散布があるので、表皮を避けて粒の中央60%だけを使用して製粉。デュラム小麦は汎用性が低いので遺伝子組み換えがなされていない。
●生産量が少ない理由
生地をスパゲティの形に押し出すとき、成型に使う金型を使うが、ほとんどのメーカーは摩擦があまりないテフロン加工の型を使うので、短時間で大量生産ができ、表面はつるつるに仕上がる。ニューオークボの金型は金属で作られているので摩擦熱を生まないようにゆっくり押し出す。表面がざらざらしていることで、ソースの絡まりがよくなる。乾燥はほとんどのメーカーは80~90℃で8~9時間、ニューオークボでは30℃以下で72時間の乾燥をさせている。
美味しさの理由は、原料、製造にこだわっているからだとよくわかりました。そしてそれを支持することが、その価値を評価することになり、会社の存続、継続性につながるというわけです。生活クラブの力、これが社会を健全な方向に変えていく底力になるのだと思います。