「高度プロフェッショナル制度」は労働者を守るのか

25日、大田区議会第2回定例会が終わりました。
様々な議案の審議が行われ、賛否の判断がなされました。
区民からは多くの陳情が提出され、それについても審議と賛否の判断がなされました。
その中に「働き方改革」について反対を求める意見書を政府に提出してほしいという陳情があり、私は、ぜひ採択するべきだとの思いで討論をいたしました。以下、全文です。

 


30第16号「働き方改革推進関連一括法案」に反対する意見書の提出を求める陳情の採択を求めて討論をいたします。

この間、国会で議論され、衆議院労働委員会で5月25日に可決された「働き方改革推進関連一括法案」ですが、この陳情は、この中に盛り込まれている「高度プロフェッショナル制度」は長時間労働や過労死を促進することになるので、この改正成立に反対し、議論を尽くしたうえの法改正となることを求める意見書を出してほしいというものです。

高度プロフェッショナル制度は、たとえば金融商品の開発業務など高度な専門的知識を要する業務に従事していて、年収が1075万円以上、職務の範囲が明確な場合、健康確保措置等を講じることと委員会の決議や本人の同意等を要件として、労働時間、休日、深夜の割り増し賃金等の規定を適用除外とするものです。

政府は新制度導入を“時間ではなく成果で評価される働き方を希望する働き手のニーズに応える”ものだとしていますが、法案には“成果に応じた賃金制度”についての規定はなく、つまり、公正な評価システムもない中で、結局、長時間労働に歯止めがかからなくなる恐れがあります。仮に同じ職場にこのような働き方をする人を作ったら、他の人の労働条件にも影響を与えかねません。

本来、労働法制は労働者の保護のためにあり、長時間労働是正、ワークライフバランスをめざすべきなのに、高度プロフェッショナル制度では残業代もなく、無制限に働かせることを合法化してしまう、という大変大きな問題をはらむ制度といえます。

基礎的自治体である大田区は区民の命や暮らしを守ることが最も大きな使命であるので、国会における審議が十分になされることを要望し、長時間労働の改善に向かわない疑念がある高度プロフェッショナル制度を含む「働き方改革関連一括法案」に対しては、異を唱えるべきではないでしょうか。

以上のことからこの陳情の採択を希望いたします。


 

さて、国会ではこの法案について、審議が続いています。労働者側のニーズがあったという前提はなくなり、経団連の意向、企業側の意向でこの法案が出されたということが明白になってきました。国民の命と暮らしを守るべき政治が、一部の利益集団の側についてしまっているのは問題です。むしろ声なき声に耳を傾けるべきです。