戦争のリアル ~改憲への助走が始まった~

東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんから「安倍首相の動きとその先」について伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

半田滋さん

 

着々と大胆に、日本の国の形が変えられてきていることに私たちは敏感でなくてはなりません。(主催:戦争させない1000人委員会東京南部・消費者生活センターにて)

 

 

 

 

 

 

 

表題

 

まず憲法改正の動きです。憲法9条では、平和主義や戦争放棄をうたっていますが、もともと最小限度の自衛権までは否定していません。現状の9条のままで“自衛隊を合憲とする”というのがこれまでの政権の考え方であり、国民の9割もこれを合憲と認めていました。

「専守防衛」「軍事大国とはならないこと」「非核3原則」「文民統制」が基本政策でした。

しかし・・・

●参戦を想定しているかのような2014年7月1日閣議決定による「憲法解釈の変更」

「自衛権発動の3要件」⇒「武力行使の3要件」 第1要件が以下
「わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」
専守防衛ではなくなる

 

●自衛隊を「実力組織」とする自民党憲法改正推進本部の有力案

憲法9条の2項 軍隊の不保持・交戦権の否認⇒必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首相たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

そして安倍首相の狙いは、自衛隊を憲法に明記することで、違憲との批判が強い「安全保障関連法」を改定された憲法によって合憲とし、次の段階で自衛隊を「軍隊」つまり際限のないフルスペックの集団的自衛権の行使と多国籍軍への参加に踏み切ることにあるのではないか。

憲法に「自衛隊」を書きこむとどうなるか
〔1〕集団的自衛権行使など事実上の軍隊としての活動が拡大
〔2〕隊員数を確保するために徴兵制を採用
〔3〕予算増額
〔4〕文民統制が後退
〔5〕米軍との共同行動の増加

 

●6年連続の防衛予算増加と軍備増強

防衛予算は今年度、5兆1911億円で、過去最高。
アメリカとの約束を基に戦闘機を次々購入。2018年度防衛予算では「敵基地攻撃」が可能な巡航ミサイルと島嶼防衛用高速滑空弾が登場。これは北朝鮮への非難で話題になった弾道弾ミサイルのこと。そして弾道ミサイル防衛の柱となる配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」は、秋田、山口両県への配備を想定している。電磁波に住民がさらされることが懸念。
イージス護衛艦と地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)、レーダーに映りにくい特徴を持つ最新鋭ステルス戦闘機F35Aは1機146億円、42機を購入する予定・・・・。


 

様々な攻撃型の戦闘機の写真が紹介されましたが、一体どこの国の話かと思ってしまいました。不戦への誓いはどうなったのでしょう。

歴史に学び平和主義を貫くこと、唯一の被爆国として核廃絶をめざすこと、これを多くの国民は望んでいるのではないでしょうか。「核兵器禁止条約」に署名しなかったことはなんとも残念なことでした。

治外法権の米軍基地を今の形で残してよいのでしょうか。ドイツやイタリアは米軍基地に立ち入る権利を持っているといいます。

米朝首脳会談が実現し、対話による平和が模索され始めています。もう日本はミサイルや基地に固執しなくてよいのではないでしょうか。「北朝鮮の脅威に備えて・・・」という大義名分の掛け声も聞こえなくなってきましたし。

そもそも日本は沿岸にむき出しの原発があるので、自爆する可能性だってあるのです。かつてイラクに出向いた自衛隊員は戦闘行為はしなかったとききましたが、帰国してから29人が自殺しているという現実をどう捉えるのでしょう。

戦争がもたらすものをしっかり考えるべきであり、今、日本の抱えている少子高齢化、格差、教育のあり方等々、若者が希望を持てるように・・・社会課題の解決のために防衛予算の半分でも振り分けることはできないでしょうか。