昭和のくらし博物館主催の建築講座に参加しました 『東京 水の都市、水の地域』
テーマは「東京 水の都市、水の地域」で講師は法政大学江戸東京研究センターの陣内秀信さん。〔3月2日(土)鵜の木出張所・会議室にて〕
東京の顔を水辺から眺める講座で、これからの「まちづくり」を考えるうえで大いに参考になった。大田区は特に川も海もある。水の魅力を引き出す「まちづくり」は人々の心にきっと潤いをもたらすものになるにちがいない。
表題
建築史が専門の陣内さんは、イタリア、ヴェネツィアの研究をされてきて、東京とイタリア、ヴェネツィアが似ているという。都市と田園、起伏に富んだ地形と風景、自然の豊かさとそこに根づいた文化があるから、と。
陣内秀信さん
●近代化や都市だけではダメ、背後の美しいテリトーリオ(地域)が大事
1970年代、イタリアはあまり注目されていなかったが、80年代になると都市が輝き、やがてシエナ、ペルージャ、ベローナなど中規模な街が輝きだした。今は、田園の豊かさ、農業、食、料理など、イタリアならではの魅力を輝かせている。
田園、集落・・・もう一度、人間がつくったものを再発見しよう
新しい水辺の発見、価値づけを。
●江戸東京は水の都
山の手・田園都市
下町・水の都
広重はいつも水辺を描いていた
産業、生活、文化すべてが水と関係、あらゆる産業の中心
繁栄は水があったから、橋のそばのオープンスペース
公共空間があって水が活きていた
まるでヴェネツィアとローマがいっしょになっているような都市
下は、江戸時代に描かれた鳥瞰図
北斎の描いた両国橋 水辺の賑わい
江戸東京の水循環と玉川上水
●近代化と水辺の喪失
昭和36年頃 柳橋(神田川)周辺 料亭23軒あった
1960年代、水面の上に高速道路
水が遠のき、水が汚れる
水側からのフィールド調査→再発見と再評価
残されている貴重な水辺空間
忍ばずの池、玉川上水、内濠、外濠
昭和36年頃の柳橋
●水辺の可能性
オープンスペースをもう一度
水上ジャズコンサート・ボートから鑑賞
東京郊外の地域学・日常的な風景から歴史を読む
都市のインフラは川から、湧水、緑、寺、神社、地域の物語がある
聖橋(神田川)こんな都会に世界に誇れる水のオアシスがある
橋は、船から見上げたときに最も美しく設計されているが、周遊には活用されていない。
世界に誇れる水のオアシス
昭和12年竣工の聖橋(神田川)