主要農作物種子法廃止には慎重審議を!
農業従事者不在、消費者不在の施策には問題あり
2月20日から大田区議会第1回定例会が始まりました。多くの陳情が出されましたが、残念ながらほとんどが不採択でした。「主要農産物種子法廃止に関する陳情」が出されましたが、これも不採択。 大田・生活者ネットワーク は種子保全は安定的で安全な食に関わる大事なことであると考え、採択を求めて討論をしたのでご報告します。以下が、この陳情に対しての各政党の態度です。
賛成:共産党、緑の党、フェアな民主主義、大田・生活者ネットワーク
反対:自民党、公明党、国民民主党、たちあがれ・維新・無印の会、無所属の会
*写真は以前の議会でのものです
以下、討論全文です。
31第4号 主要農産物種子法廃止に関する陳情の採択を求めて討論をいたします。
これは大田区議会から、東京都に対して日本の種子保全に関する条例の制定と衆参両院に対して種子法復活のための審議を求めた陳情です。
主要農作物種子法は、戦後まもなく1952年に、重要な食糧である稲、麦、大豆の優良な種子の生産と普及について国・都道府県の役割を規定するために制定されました。
この根拠法のもとに、国と都道府県政府が試験研究の体制を整え、その地域に合った優良な品種を開発し、優良品種(奨励品種)の指定、原原種、原種の生産、種子生産圃場の指定、種子審査、遺伝資源の保存などを行うことで、国民に安全な穀物を提供してくることができました。
ところが2016年10月に規制改革推進会議のワーキンググループで突然提案され、短期間に実質的な議論のないままに廃止法案となり、2017年4月に成立してしまいました。公的事業としての予算付けがあったものが、今後は制約を受ける恐れもあるのです。
種子法廃止の理由は、主に民間の種子開発を推進させるということにありますが、国際競争力強化の名のもと、地域農業の衰退や国民の食糧への権利の視点からは、その影響への検討や議論がもっとなされるべきです。将来的な農業政策、食料政策が見えない中での、農民不在、消費者不在の施策には問題があります。
議会から国への意見書は2018年6月議会までに101市町村議会で104通を採択、提出。市町村議会から都道府県への意見書提出は52市町村からでした。
私たち都民には生産地を思い描くのが難しいかもしれませんが、もっとも大きな消費地である東京こそ、種子法の意義を正しく理解し、必要性を訴え、公的農作物種子制度の事業継続を応援する立場を取りたいと考えます。安定的で安全な食の確保を望み、陳情の採択を希望します。