「香り」に困っている人がいます 「化学物質過敏症」

ある日突然、だれにでも起こる可能性のある化学物質過敏症
便利な生活の中に潜む危険

ご報告

OTA未来カフェ「香りの害」について

2019年8月10日 大田・生活者ネットワーク

 

息苦しさ、喘息、めまい、頭痛、耳鳴り、目がかすむ、常に鼻水がでる、手足の震えや痙攣、吐き気や腹痛・・・日常生活に著しい支障をきたす化学物質過敏症。

目に見えない化学物質に囲まれている現代、知らず知らずのうちにそれらが体内に蓄積されて、ある日突然、自律神経を中心にさまざまな症状が現れるという化学物質過敏症。医療機関でも原因がわからず、「精神疾患」と診断されてしまうこともあり、当事者の方はだれからも理解されないという苦しみも味わうことになります。

柔軟剤や消臭剤、制汗剤など香りに係る盛んなコマーシャルの一方で、体調を崩す人が増加してきています。この日は、区内在住、1歳半のお子さんをもつママであり、当事者であるTさんのお話をお聞きしました。実態を知って予防的な措置を取ること、環境全体を考えていくことが大事です。報告をいたします。

 

 

 

 

 

 

 

お話にひきこまれました

 

化学物質過敏症、発症当時のこと

Tさんは川崎市に住んでいた時、たばこの臭いを引き金として化学物質過敏症を発症する。電子タバコの体験会場の前を通り、発作、救急搬送される。その後、様々な化学物質に反応するようになり、外出できなくなる。しかし当初は「精神疾患」と判断され、「てんかん」の薬が処方される。大田区へ引っ越し、環境は良いが、保育園で他の子どもの柔軟剤の匂いが娘の頭髪につき、抱き上げることができない。昨年12月、化学物質過敏症と診断される。

 

症状の改善に向けてTさんの行った生活改善

化学物質をできるだけ遠ざける。合成着色料、香料などできるだけ添加物の少ない食品を選ぶ。洗濯は合成洗剤、柔軟剤を使用しない。掃除は合成洗剤をやめてナチュラル洗剤(重層・クエン酸など)を使う、部屋の換気を意識して行う。着るものは木綿など天然素材にする。

 

 

 

 

 

 

 

大抵のお掃除は洗剤がなくてもこれですっきり

 

 

 

 

 

 

 

洗濯はベビーマグちゃんで。マグネシウムの力で洗浄。皮膚に安心、無臭。繰り返し使えます。

 

映画「カナリアからのメッセージ」から

利便性を追求するあまり化学物質に囲まれた社会。化学物質過敏症の人は社会のカナリア、化学物質が許容範囲を越えてしまっているという警告をしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

熱心に映画を観ているところ

 


 

この日は化学物質過敏症の人が他にもお二人参加されていました。
Ⅰさんは、家の前にできたコインランドリーから毎日漂う洗剤の匂いがきっかけ。子どもは小4の時、給食の割烹着が引き金で頭痛や吐き気が収まらなくなる。小6のときは教室に入れない。別室にプリントが1枚置かれているだけの学校生活に耐えられず不登校に。中学では登校時間をずらして特別支援級で授業を受けられるようになった。

Yさんは家のとなりのプラスチック工場の排気が引き金に。子どもは重症のアトピー。反応し、使えなくなったものはビニール、プラスチック、ペットボトル、水道水、食品中の農薬・添加物、印刷物、ドライクリーニング、芳香剤、香料、防虫剤、除草剤、除菌剤、合成洗剤・・・金属アレルギーと電磁波過敏症も併発した。

 

 

 

 

 

 

 

住まいの化学物質汚染(提供はYさん)

 

3人とも辛い状況を乗り越えながら、それぞれご自分の経験を活かして啓発活動、そして健康を守るための方策の提言をされています。現状を知ると化学物質過敏症は個人の問題ではなく社会全体の問題でもあることがよくわかります。

 

 

 

 

 

 

化学物質が原因で起こる症状(提供はYさん)

 

当日、参加者の中から、「このような問題があることを知らなかった」「今日は話を聞くことができて良かった」と発言がありました。多様な人が健康に生活できる空間を作っていくために、社会全体の理解や協力がすすむよう「伝える、知ってもらう」機会を今後も作っていく事が重要だとつくづく思わせられました。

利便性ばかりを追求してきたことを反省し、生活を顧みて健康や持続可能な環境に繋がる社会づくりをしていくこと、香りの成分表示や国による規制を求めること、製造責任を問うことなど、できることに取り組んでいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなチラシがあります