「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」&「障害者雇用水増し問題から考える院内集会」のご報告
「介護付き就労」を私たちに。
だれもが働き、参加できる社会を
参議院会館にて院内集会 2019年8月26日
8月26日、「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」東京大会が開催された。障害当事者の政治参加をすすめることで障害当事者の暮らしが改善されるようにと23年活動している団体だ。全国から車イスユーザーや聴覚障害の当事者議員を中心に30名ほど集まった。
院内集会の様子
厚生労働省との意見交換では、障害者の就労、福祉避難所、入院時の重度訪問介護、65才での障害者福祉サービスから介護保険への移行、医療用装具の障害者への提供の在り方などの諸課題について話し合われたが、すっきり解決するものは少なかった。
しかし先般、重度障害者が参議院議員になったことで、「介護付き就労」が議論の緒についたことは意義深い。
院内集会の様子
「特定非営利法人 共同連」の堀利和さん(憲政史上初の視覚障害(強度の弱視)を持つ元参議院議員)も「福祉制度に基づくA型やB型は『支援付き就労』と位置付けられているが、一般雇用にも『支援付き雇用』という新しい制度が必要」だと述べられている。
この機に「支援付き雇用」あるいは「介護付き就労」が広く理解を得られ、制度改善により、障害者の社会参加、自己実現、ひいては経済への貢献も社会変革も進むことを強く訴えていきたい。
このことは「合理的配慮」であり、日本の批准している「障害者権利条約」の理念ともいえる。
院内集会にて
中央省庁、障害者雇用率の水増し問題の決着は?
なぜ起きたのか、障害当事者を入れた
第三者委員会を立ち上げるべき
引き続き、「障害者雇用水増し問題から考える院内集会」が開催され30名ほどの議員が参加した。これは昨年、2018年8月に、複数の省庁で40年にわたって、手帳不所持者を算定するなど障害者雇用率の水増しを行っていたことが発覚したことを受けて、団体はすぐに抗議文と声明を出すが、それからの経過と課題を聞く集会だった。その後の障害者の採用状況の報告を聞く。2018年6月時点で不足数が3,875人で採用者数は2019年4月時点で2,518人、離職者が131人。国税庁にあっては819人の採用で79人が1年で離職している。水増しは犯罪的な人権侵害だといえるが、あわてて雇用した結果、多くの離職者を出す現状も人権侵害だという指摘がなされる。なぜこういうことになったかという指摘に対しては、「受け入れ環境についてのノウハウがなかった」と障害者雇用に初めて取り組む省庁には、日常的な合理的配慮も欠けていた状況が話された。
参加者はそれぞれに厚労省に対して厳しい指摘をする。「表向きの環境整備ではダメ、日常生活の中で障害者に対しての理解をもつこと。“障害”はどこにあるのか、“周りの環境にある”という認識がないといっしょに働けない」というように。障害当事者が講師になる「障害平等研修」受講も勧める。
議会活動なら介護サービス利用費用は公費から出るが、それ以外は全て自己負担という自治体から参加している障害当事者の議員、また政務活動費がゼロという町議会からの参加もある。制度の整っていない中で、体を張って共生社会をめざして、熊本や長崎からも車イスで集まってきているのだ。
障害がある人もない人も働き続けられる、真の共生社会にはまだまだ遠いという印象をもったものの、本気で社会を変えようという議員たちに出会ったことは大きな希望であり、学びであった。
院内集会を終えて