UDタクシー(ユニバーサルデザインタクシー)と公園について 大田区議会 決算特別委員会報告

第3回定例会と決算特別委員会(9月12日~10月10日)が終りましたので、ご報告いたします。
決算特別委員会では「土木費」の中でUDタクシー(ユニバーサルデザインタクシー)と公園について質問をいたしました。

以下に動画と質問全文をご紹介します。

 

 

【UDタクシーについて】

公共交通のバリアフリー化は障害者の社会参画に大きく影響します。
ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーについて質問いたします。

国と東京都は東京オリンピック・パラリンピックを見込んでUDタクシーの導入を推進しています。トヨタのジャパンタクシーは、横からのスライドドアで開口部を広くとり、海外からの客も乗り降りしやすい設計、車イスもそのまま乗れるというふれこみです。国からは1台あたり60万円、東京都は上乗せで40万円補助金を出しており、都は平成28年から5年間で66億2千万円の予算を取り、1万台を目指しています。車イスユーザーにとっては、普通のタクシー料金で車イスのまま乗れることは社会参画への大きなステップになりますが、実際の使い勝手が肝心です。UDタクシーの普及を受けて大田区はどのような対応をするのかお聞きしたいと思います。

私も実際に使ってみましたが、乗り降りにかなりのスペースを要すること、セッティングに時間がかかることがわかり、運転手にとっても、車イスユーザーにとっても非常に使いにくいことがわかりました。ジャパンタクシーは横からスロープを使って車いすを乗せるので、道路の横幅が必要になります。まず車幅約2メートル、スロープ約1.3メートル、車いすの乗り込みスペース約1メートルなので、乗り降りに必要なスペースは4メートル以上必要です。一般的な住宅街では車がぎりぎりすれ違いできる4m程度の道路が多いので、ジャパンタクシーに乗り込む場所は限定されます。

 

 

タクシーを止めても乗ることのできる場所を探して移動するところから始め、運転手にとっては、後ろの座席を倒してスロープを出してセットして、座席を前も後ろも倒して広げて乗せるという一連の動作、車イスは乗ったら、今度は前向きになるために狭い車内の中で方向転換しなければならないなど、運転手も車イスの客もけっこうな作業で、私の場合15分かかりました。

 

 

 

 

道路を約15分も占拠するのは非常に難しいことです。仮に自分の家の近くに乗降する場所があったとしても、電車を降りて駅に着いて雨が降っていたので、タクシーで帰りたいと思っても駅には乗り込める場所があるでしょうか。今はタクシーを呼べる便利なアプリ機能がスマホについていますが、UDタクシーへの乗降を想定すると広いスペースと屋根が必要です。

 

お聞きします。

1.蒲田東口はこれから改修がなされます。車イスユーザーがUDタクシーを安心して利用できるように、屋根とスペースを設けることができませんか。

答弁(大見 拠点まちづくり担当課長)
蒲田駅東口では駅前広場の初動期整備として、令和8年度の完成を目指して歩行者環境の改善を重視したデザイン基本プランを策定したところです。
現在、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国や東京都の補助制度もあり、都内のUDタクシーの台数は着実に増えております。
タクシー業界としても今後も積極的にUDタクシーを導入していくとのことです。
このような状況の中、蒲田駅東口の初動期整備ではタクシーの乗車空間の確保のほか、歩行者空間やバス乗降空間の確保と合わせて限られた空間の中で、全ての駅利用者が安全、安心、快適に利用できる環境を整える必要があります。
引き続き、適切な駅前広場環境となるように、交通管理者やタクシー事業者などと連携しながら多様な視点で検討してまいります。

 

既存の駅はどうでしょう。たとえば西馬込や馬込の駅では目の前はすぐに国道1号線、あるいは環状7号線です。タクシー乗り場はありません。アプリでタクシーを呼んでも、果たして車イスが乗せてもらえるかどうか。車の設計と道路の設計は本来連動させるべきです。国道であれば国に、都道であれば東京都に改善を求めて働きかけていただくことを要望いたします。

 

【公園について】

先日、議員研修会では千葉大学の予防医学センターの近藤克則先生の講義をお聞きし、“健康長寿はまちづくりに秘訣がある”、とのお話を伺い大変納得をいたしたところです。

包括外部監査の報告書では「公園」が一つのテーマでしたので、それをもとに質問をいたします。公園はだれでもが憩える貴重な公共空間です。特に今は多くの保育園の代替園庭ともなっていますので、子どもの成長発達の観点はじめ、時代に即した機能を盛り込んだ公園が考えられるべきではないかと考えます。

遊具についてお聞きします。
一例ですが、我が家の周りには小学生が多く住んでいますが、となりの本町児童公園では鉄棒がなくなり、太鼓橋がなくなりました。小学生の坂上がりの練習も、太鼓橋をぶらさがる姿も見られなくなりました。3,4歳の子どもが太鼓橋の上を登っていき、最後まで行けてお父さんやお母さんに「見てみて!」と得意げにいっている姿も以前は見られて、「挑戦」や「達成感」を味わえる遊具といえます。太鼓橋がなくなったことを残念がる声を聞きます。また都会の子どもは体力のうち、腕の筋力が特に弱いと聞ききますが、つかまったり、ぶら下がる遊具が一つもなくなったわけです。

豊かな遊び空間は遊具の影響も少なくありません。乳幼児の多い地域では低い滑り台など、おだやかに遊ぶことのできる遊具がほしいでしょうし、特に保育園の代替園庭となると砂場は重要です。小さな子どもにとって山を作ったり、穴を掘ったり自分の力で素材の形を変えることのできる遊びは、創造性や意欲を培います。友だちと協力して川を作って水を流すこともわくわくする遊びです。小学生の多い地域では運動量の多くなる、冒険できる遊具が求められるのではないでしょうか。公園の立地、周辺の子どもの年齢層や保育園の状況に応じて、遊びの形態、子どもの発達や運動能力を勘案してふさわしい遊具が考えられるものと思います。

お聞きします。

2.公園の遊具はどういう基準や方針で設置していますか。
地域の声を聞いていますか。

 

答弁(大田 基盤工事担当課長) 
公園遊具の設置につきましては、常に利用者の視点に立ち、楽しく活用していただけることを念頭に実施しています。取り組みの一つとして、乳幼児向けの遊具を取り入れた「子育て支援遊び場整備」を、周辺保育園へのアンケートや保育士との現地視察等を実施して、「蒲田一丁目公園」「中馬込児童公園」の2公園で整備いたしました。
また、大田区の公式PRキャラクター「はねぴょん」の幼児向け遊具を特別出張所ごとに設置しています。さらに、健康増進やリフレッシュの場、子ども連れから高齢者までが憩える場等の視点から、48公園で健康遊具の設置を行っています。
今後も公園の利用状況や周辺施設の立地状況を踏まえ、公園の遊具設置を進めてまいります。

私は公園の隣に30年暮らしていますが、一度も意見を聞かれたことがありません。ぜひ区民の声を聞いて公園作りに反映させてください。
子どもの遊びにおける危険には「リスク」と「ハザード」があります。子どもがチャレンジするなかで、事故の回避能力を育む、子どもが判断可能な危険性、リスクと、遊具に釘が飛び出ていたり、壊れていたりする事故につながる危険性、子どもが判断不可能な危険性、ハザードとに区分されます。

包括外部監査の報告書によると緊急修繕が必要なものも含め、劣化のある遊具は大森地区に82基で全体の15%、糀谷羽田地区に58基で全体の15%、調布地区と蒲田地区には緊急修繕の必要性のあるものはなく、調布地区は14基で全体の3.5%、蒲田地区が30基で全体の7%となっています。このように地域差があります。

お聞きします。

3.遊具の劣化については、立地によるものか、使用頻度によるものか、分析する必要があること、物的ハザードはできるだけ早く取り除くべきで、現在の年1回の定期点検では足りないと意見されていますが、これについては今後、どのような計画を持ちますか。

答弁(大田 基盤工事担当課長)
公園遊具に関しては、国交省の「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」において、定期点検を行わなければならない旨が規定されています。
定期点検は、「公園管理者が必要に応じて専門技術者と協力して、一定期間ごとに行う詳細な点検」のことであり、「定期点検の頻度は年1回以上とする」とされております。
よって、大田区ではこれに基づいて年1回の点検を実施しているもので、区内の全遊具を対象として専門技術者による点検を実施しております。
これに加えて、日常点検として、公園維持業務における公園巡回時等に目視での確認を行っております。
これらにより、遊具における危険を発見するために十分な体制を取っていると考えておりますので、今後も引き続き遊具における安全確保を図ってまいります。
また、遊具の劣化度合いの傾向については、今後も引き続き点検を継続していく中で、分析を行ってまいりたいと考えております。

地域差があることがわかったので、ぜひ丁寧に分析して修繕計画に生かしてください。

これまでも議会でなんども取り上げられてきたボール遊びについてです。子どもの最も好きな遊びの一つのボール遊びについては、子どもからも親からも要望がずっと届いていますが、できる公園は区内に12か所しかなく、しかも地域に大きな偏りがあります。資料5をご覧ください。区内のほとんどの公園には一律に「ボール遊び禁止」の看板が設置されています。たしかに近隣からのクレームに大田区が苦慮されていることは察するところです。しかし、そうであっても子どもの声を聞くこと、成長を育む環境を守る努力、看板の言葉には子どもへの配慮が必要だと考えます。

 

品川区の看板では6番「人にめいわくをかける遊びはやめましょう」として、「禁止」という言葉は使っていません。

 

 

 

 

世田谷区のある公園では7番「こっちに向かって投げたり蹴ったりしないでください」と住宅に面したところに看板がつけてあったり、8番は「赤ちゃん、幼児がいるときはサッカー、野球などの球技はやめましょう」としています。いずれも“なぜいけないか”が子どもにわかるように書かれています。

子どもに向き合う自治体の姿勢が表れているといえます。

大田区も子どもを尊重する気持ち、子どもに理解を求める気持ちを看板に反映させてほしいと思います。

 

 

 

 

京都市では「この公園は球技禁止と書かれたうえで、乳幼児のボール遊びや市が許可した場合を除く」と書かれています。
看板の威力は大きく、大田区の看板では全てのボール遊びが禁止と受け取られて、小さな子どもの柔らかいボール遊びまで、できないと思う生真面目な若いパパやママがいるのです。またそんなはずはないと思って、遊んでいる親子に「ここに禁止って書いてあるだろう」と注意をしに来る人があるそうです。

 

 

お聞きします。

ただ「ボール遊び禁止」とするのではなく、「乳幼児のボール遊びまで禁止するものではありません」と書き入れるなど工夫をしていただきたいと思いますが、いかがですか。この質問は、昨年の第2回定例会でもして、看板の表記の仕方について工夫・研究するという答弁でした。子どもは日々、成長していきます。いつまでも待つわけにはいかないのです。

答弁(石井 公園施設担当課長)
公園は様々な方が利用されますので、危険・迷惑などの防止のため、禁止事項を設けることは、やむを得ないものでございます。
その中で、委員お話のボール遊びに関することも含め、どなたにとっても見やすく、わかりやすい園内掲示に努めてまいりたいと考えております。

ボール遊びの何が問題なのかを分析して丁寧な対応をする必要があると考えます。
早急な改善を求めます。
またこれも報告書で指摘されていることですが、今あるボール遊びのできる公園の場所を子どもたちはどこで知ることができるでしょう。ぜひホームページや掲示板やチラシなどで子どもたちに知らせるようにしてください。

 

ユニバーサルデザインパークをご存知でしょうか。障害のある子どももない子どももいっしょに遊ぶことの工夫のある公園です。資料10,11をご覧ください。

 

 

 

札幌市の藤野むくどり公園の砂場は、土地の高低差を利用して、車イスの子どもも砂場遊びをすることができる設計になっています。ブランコは左が大人が子どもを抱いていっしょに載れる座面がゆったりと大きなゴム製のシートになっており、右が背もたれとベルトがついたイス型のブランコです。定員130名のうち76名が大田区民の城南養護学校の先生にお聞きしましたら、障害をもった子どもは、地域の中で暮らしていてもその存在をしられていない、公園デビューができないという悩みをもつ家庭が多いそうです。日常的なふれあいの場所が必要だとおっしゃっていました。また北療育医療センターに通う未就学児たちも多くが大田区民の子どもで車イスユーザーです。公園こそ、障害があってもなくても小さなうちから自然なふれあいのできる場所です。学校から遊びに行くとしたら、福祉車両の停められる場所、虚弱な子どもも多いので、公園内の日陰はぜひ必要だと先生はおっしゃっていました。

おききします。

5、地域の中で共に生きていくことを実感できるユニバーサルデザインの公園をぜひ、大田区でも造っていただきたいと思いますがいかがですか。

答弁(保下 都市基盤管理課長)
障がいのある皆様が利用できる公園づくりにつきましては、これまでも障がい者団体と共に、障がいのある方々も利用出来る公園の視点でユニバーサルデザイン合同点検などを通じ、様々な方からご意見を頂きながら、公園のバリアフリー整備を進めているところです。
障がいのある子供達も遊べるユニバーサルデザイン遊具につきましては、今年度、東京都が砧公園・府中の森公園の2カ所の都立公園で整備を進めております。
整備にあたっては、障がいのある子供を育てている保護者や支援団体、ユニバーサルデザインに関する有識者のご意見を頂きながら具体的な遊び場の設計を行ったと聞いております。
区としましても、関係部と連携を図りながら、先行してユニバーサルデザイン遊具を設置している国や東京都から情報を収集してまいります。

大田区にはタイヤ公園や自然たっぷりの草っぱら公園など、魅力的な特徴のある公園の他、高齢者用の健康器具が設置してある公園もあります。一方、中央5丁目公園のように民間団体が20年以上も続けているプレーパークは、冒険遊びができる楽しさと同時に見守る大人がいることで、多くの子どもたちの心のよりどころ、まさに社会的包摂の一つの拠点になっています。公園の可能性はハード、ソフト共に様々な機能にあるようです。

包括外部監査の報告では、公園台帳がないことが指摘されています。今後、整備がなされるということですが、この機会に様々な課題を整理しながら、大田区の公園のこれからを区民といっしょに考えていくことはできないでしょうか。子どもの発達のわかる識者や子ども家庭部、遊具の専門家、障害児をもつ親を含めた子育て世帯や子ども代表、高齢施策の担当者と公園に対しての情熱を持つ区民を集めて「公園の在り方検討会」を組織するのです。
報告書には、川崎市の「ボール遊びにおける公園でのルール作りのガイドライン」のことが紹介されています。これは地域ごとに地域主体で丁寧な話し合いを重ねて合意形成を図ることを勧めるものです。もし、そういうことができれば、たとえば、園庭のない保育園の子どもたちも、一定の広さのある公園であれば、一角を使って地域の人の理解を得ながら、時間を決めてドッチボールができるようにするなど、公園ごとに柔軟な対応が考えられるのではないでしょうか。
時代にあった公園の機能を考えながら、区民の財産である公園の価値をますます高め、区民参画で魅力的な公園を作っていくことができればよいと思います。

お聞きします。

6.公園の使い方を地域主体で考えるガイドライン作りを含めて、公園の在り方検討会のようなものを立ち上げることを提案しますがいかがですか。

答弁(保下 都市基盤管理課長)
今後の公園のあり方や整備の方針等につきましては、平成28年度に実施した公園の実態調査や区民へのアンケートなどを参考にして、現在、関係部局と検討を重ねているところです。
区民の意見等を反映させる手法としては、検討会の他にパブリックコメントやワークショップ、区民アンケート等がございます。
そのため、個別の公園計画や地域全体の公園検討など、取り組む規模や範囲に合わせ、様々な手法を活用して、区民の皆様の意見等を反映した公園づくりを進めてまいります。

包括外部監査の報告書によると、大田区には平成30年4月現在で、569施設の公園があり、前年度より4施設、面積にして65万7,759㎡増加しているとのことです。グリーンプランでは区民一人当たりの公園面積は6㎡をめざすとしていますが達成しているでしょうか。
30年に新設された「まつお公園」は、故人を記念して大田区に寄付された公園ですが、今後、公園用に土地を寄付しやすい仕組みを作ることはできないでしょうか。親亡きあとにだれも住まなくなった老朽空き家、接道していない、家屋が建て替えもできずに放置されていることなどがあります。防災上も類焼を防ぐためにも空地がある方がよいという考えもあります。

お聞きします。

7.公園として大田区に寄付することで、税制上の優遇を得、撤去費用は大田区もちで、公園の名前を寄付者の希望でつけてもらうのはいかがでしょう。老朽空家になって特措法で撤去するコストや地域の安心、安全を考えてもあらかじめ募集することには意味があるのではないでしょうか。

答弁(保下 都市基盤管理課長)
公園の用地を取得するためには、面積や周辺の公園状況、今後の利活用など様々な条件を検討して判断しています。しかしながら、公園に適した用地は希少で、一般住宅規模の面積では、地域の要望をすべて満たす公園として十分な整備ができない場合も多くあります。
これまでも、土地照会や区への土地寄付などがあった場合には、公園としての可能性について、積極的に検討しております。今後も区民の皆様に喜ばれる魅力的な公園づくりや用地確保を進めてまいります。

以前にも提案をしたことですが、特別緑地保全地区制度の周知を進めて、屋敷と屋敷林を公園として生かす方法も推進していただきたいと思います。魅力的な公園や緑豊かな大田区にあって、人とのふれあいの中で心身ともに健康な生活、障害があってもなくても助け合って暮らせる共生社会をめざしていきたいと願います。まちづくりが区民の健康増進はもとより、治安の良さにも関わるといいます。魅力的な公園がたくさんあることで、人が外に出ていき、知り合いが増え、多世代の交流を持てるということは安心安全なまちづくりにもつながるでしょう。国際都市大田であり、スポーツ健康都市宣言をしている大田区です。魅力的な公園作りへの取り組みをどうぞよろしくお願いいたします。