「だれをも見捨てない」社会に 4月14日「蒲田・大森野宿者夜回りの会」に参加して

●「だれをも見捨てない」社会に。必要としている人に情報が届きますように。

新型コロナウィルス感染拡大により4月7日に緊急事態宣言が発令され、11日には東京都が様々な店舗・施設に休業要請を出しました。その中にはネットカフェも含まれており、都内で最も安い料金で泊まれるネットカフェの集る蒲田では、路上をさまよう人が増えるのではないかと心配されました。失業をして家賃を払えなくなり、住居を失った人、家庭の問題で逃げ出すしかなかった人など、様々な事情を抱えた方が、ネットカフェを利用したり、あるいはネットカフェと野宿を行き来したりする方もいると聞きます。困窮していてもどこに相談に行ったら、よいかわからない人も今後は特に増えるのではないかと予想されます。必要としている人に情報が届くように、大田区行政でいえば、「生活福祉課」に相談に行くようにとの周知活動が重要です。

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4月14日「蒲田・大森野宿者夜回りの会」に参加して

「蒲田・大森野宿者夜回りの会」は、月に2回、夜、蒲田駅西口に集り、蒲田方面と大森方面の二手に分かれて、野宿者を訪ねて歩きます。医師の越智先生の呼びかけのもとに2011年からずっと続けられています。食料を手渡しながら、「お体だいじょうぶですか」と声をかけていくのです。

4月14日、この日、持ち寄った食料は手作りのお弁当、ゆで卵、バナナ、ロールパン、おせんべい、それから靴下など下着、手作りのマスクでした。

蒲田駅西口からスタート

● ”あなたを心配しています”、というメッセージ

食料と一緒に配るもう一つの大事なものは、チラシです。越智先生ご自身の連絡先や、大田区の生活相談(生活保護、自立支援施設入所)窓口の案内や直近の天気予報の表も入っています。外で暮らす人にとっては、気温や降水率まで書かれているこの天気予報は貴重な情報に違いありません。ギリギリの生活の中でも“元気に過ごしてほしい”という願いが込められているチラシです。

食料といっしょに手渡ししている手作りのチラシimg20200415_16561888のサムネイル

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●同じ目線で、寄り添って

医師である越智先生は、「不調は病気に繋がるから」と、お一人お一人に丁寧に体調を聞いていきます。また福祉事務所につなげていくこと、生活保護の申請や住宅の支援を受けられるようにお世話をしたり、付き添ったりもしています。越智先生はまるで親しい友人に会うかのようににこやかに野宿者に寄り添い、同じ目線で、おだやかに話を聞いていきます。

月2回の出会いですが、何年も必ず訪ねていく中での信頼関係は大きいようで、楽しみに待っている、という感じです。そのような中で、彼らの様々な半生を聞くそうです。真面目なガラス職人だった、原発で働いていた、演歌歌手だった・・・どこからか住む家を失い段ボールの上で暮らさざるを得なくなった事情があるのです。

中には福祉事務所で初めて申請をしたときに、プライドを傷つけられて「もう2度と行政には頼りたくない」という思いをもってしまった人もいらっしゃるということは残念です。

 

回っていて気づいたのは、公的施設や駅には野宿者排除のための三角コーンや柵がたくさんあることです。越智先生はここにはこの間まで○○さんがいて、こちらには○○さんがいた、とよく覚えています。追われてどこに移動したかわからない人もいるそうです。

   

新型コロナウイルス感染からは全ての人を守らなければなりません。野宿者を排除せず、住宅支援をはじめ、生活保障を考え、最も弱い人に寄り添う大田区でありたいと思います。

 

「だれをも見捨てない」社会に。

必要としている人に情報が届きますように。

「今、診療所ではマスク作りが流行っているんだ」と言いながらお手製のマスクを見せてくれた越智先生