育児も仕事も両立できる社会に「もっと育休がほしい」保育所の落選を狙う問題について

保育所「落選狙い」に対する対策(9月・大田区子ども文教委員会の報告から)

  ・「育休延長希望」の記載欄を設ける。

  ・世帯指数を1点とする

育児休業は原則、子どもが満1歳になるまで取得でき、期間中は雇用保険から賃金の50~67%の給付金が支給され、最長満2歳の前日まで延ばせます。育児休業を延長し雇用保険の適用を受けるためには保育所の落選を証明する「保育所入所保留通知書」が必要です。

ここ数年、問題になっていたのは「保育所入所保留通知書」を必要とする一部の人が第1希望の保育園に当選後、内定を辞退し、競争率の高い2次募集に申し込み、落選を狙う人が多いことでした。

これでは、保育所を必要とする人への公平な利用調整となりません。大田区では昨年、1次の申し込みが5022人、うち内定が3709人、内定を辞退した人が500人にも上りました。

このような状況に対して、昨年2月、厚労省は、“「育休延長希望」の記載欄を設けること”と“世帯指数を1点とすること”という運用上の工夫を対策として提案してきました。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/tb_h30fu_12mhlw_210_1.pdf

そのため、大田区でも2021年4月入所申し込みからは、それに沿って、育児休業延長希望を表明して、「保育所入所保留通知書」を入手できるようになります。

改善されたことは喜ばしいことですが、一方では、1年ごとの雇用契約を更新しながら働く非正規労働者が妊娠した場合、企業側によほど理解がなければ、「妊娠解雇」か、育休なしで労働基準法による産後休業8週の直後に職場復帰しないと失業するという人がまだまだ多いのが日本の現状です。

待機児問題、保活、保育園入所のための生れ月のコントロール、男性の育休取得率の低さと女性のワンオペ育児、非正規労働による不安定雇用と賃金格差、長時間労働と長時間保育・・・と、女性が働きながら子どもを産み育てるにはなんと過酷な社会でしょうか。小手先の対策だけでは少子化が収まるはずはありません。

今年9月にユニセフが公表した「子どもの幸福度調査」、世界一はオランダです。働き方改革に取組み、ワークシェアリングと同一労働同一賃金を確立。合理性と効率性を追求する国民性もありますが、テレワークが進み、どこでどのくらい働くか、自分で自分の働き方をデザインするオランダ人は、もちろん仕事によりますがたいがい18時には家に帰り、家族の時間、プライベートの時間を大事にするそうです。(オランダでは産休・育休は16週間と短いですが、子どもが生れてからの8年間は時短で働く権利があります)

ライフワークバランス、そして幸せな子育て、また本当に女性が輝けるようにするにも、要は“労働環境”ではないかと考えさせられます。働き方改革が言われていますが、だれもが安心して育児休業を取得でき、0歳のうちは育児休業給付金を受け取り、少なくとも子どもが小さいうちは早く帰れるのが当たり前となるような社会をめざせないものでしょうか。政治は真剣に模索していくべきです。当事者からもどんどん声を上げていく必要性があります。

まさに政治と私たちの生活は密着しているといえます。「政治は生活の道具です」生活者ネットワークが掲げつづけていることです。さらに調査を重ね、提言を続けていきます。

(子ども文教委員会での報告を受けて)