「婚外子相続差別は違憲」最高裁が判断

 9月4日、久々にうれしいニュースが届きました。

結婚していない男女間に生まれた婚外子の遺産相続が、結婚した夫婦の子どもの半分とした民法規定が憲法に反するかどうか、と争われた裁判 最高裁が、「憲法14条が保障する法の下の平等に反する」として、「違憲」とする判断を下したのです。 明治時代から115年続く民法の規定に改正がせまられました。

 宝石緑「出生に選択の余地のない子どもに、不利益を及ぼすことは許されない」
最高裁のこの判断は、これまで差別を放置していた「政治」を非難しているともいえるでしょう。社会の変化、家族のあり方が大きく変わっていく中で、「伝統的な家族観」に基づいて作られた法律が今、「基本的人権」を守るものになっているのかどうか私たちは、常に点検していかなくてはならない、ということを示唆してくれた大きな判断だと思います。 でもまだこれからです。

●憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的または社会的関係において、差別されない。
●民法900条4号のただし書き 嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする。

宝石緑婚姻歴のない母子家庭には寡婦控除がない!
 非婚の母には税制上の不利益があるという問題もあります。 今年3月に大田区議会に提出された陳情に「婚姻歴のない母子家庭の母に税法上の寡婦控除を“みなし適用”するよう求める陳情」、税法の寡婦控除制度を改正し、婚姻歴のない母子家庭にも寡婦控除を適用できるよう、国に意見書を出してほしい、というものがありました。

「寡婦控除」 というのは、夫と死別あるいは、離婚して、その後婚姻をしていない、前年の所得が500万円以下の女性への税制上の控除のことです。所得税法上の控除額は27万円、住民税の控除額としては26万円、扶養する子がいる場合については、特定の特別寡婦ということで、所得税では35万円の控除、住民税では30万の控除ということになっています。これは収入に応じて区分のある保育料や公営住宅の家賃にも影響します。

問題なのはここでいう「寡婦」とは法律婚をした者であって、事実婚など法律上の結婚をしていない人は含まれないのです。
まだまだ伝統的な婚姻関係にこだわる、保守的な考え方があり、残念ながら、大田区においては採択されませんでした。自治体によっては、国を待たずに、独自に「寡婦控除のみなし適用」の制度を作って救済しているところもあります。(千葉市・沖縄市・那覇市・宜野湾市・・・)

 法律婚であろうと非婚であろうと「母子家庭」の厳しさには、かわりがないはずです。男女の賃金格差、非正規雇用と、所得が低いうえに、むしろ非婚の場合、父親から養育費がもらえないなど、より苦しい状況に置かれていることが多いのです。
今回の「婚外子相続差別は違憲」という最高裁判断をきっかけに、社会が「差別」に敏感になり、時代と実態に則した法整備が速やかに進むよう願うものです。

「出生に選択の余地のない子どもに、不利益を及ぼすことは許されない」のです。

子どもの今と未来のために-子どもと雨