「これからの地域包括ケアシステムを考えるために:地域福祉の現場から ~政治塾ご報告

2014年7月28日 10時58分 | カテゴリー: 高齢者福祉

7月26日の政治塾のご報告です。

~超高齢社会の到来に向けて~
「これからの地域包括ケアシステムを考えるために:
                地域福祉の現場から」

講師:NPO法人 福祉コミュニティ大田 
   代表 浜 洋子さん

講師の浜さんは、蒲田本町にて、介護事業所をもち、ホームヘルプサービス、デイサービス、ケアプラン作成の他に介護保険以外の事業として、障害福祉サービス、「助け合い活動」も行うなど、地域に根ざした介護事業を展開されています。また「自分の情報を人に伝えるために整理するツール・(わたしの安心のーと)」を考案し、介護保険制度の普及活動とともに地域を回って、支援活動をされています。

具 体的な体験談を含めたわかりやすいお話でした。地域の現状とニーズに応じた実践や活動には、大いに学ばされました。大田区の課題を確認するとともに、介護 保険制度の大きな改定がなされようとしている今、「地域包括ケアシステムのあり方」を根本から考え直す必要性を強く感じる時間となりました。以下、資料よ り。

【1】地域の実情に配慮した地域包括ケアシステムの構築を

2025 年に団塊の世代が後期高齢者になることで、厚生労働省は、医療費・介護給付費の削減の方向性を打ち出している。先進的な自治体は地域に根ざした「地域包 括」のモデル事業等を実施しているが、大田区はまだ新たな計画を打ち出していない。地域の実情に日々接しているNPOを含む介護保険事業者と論議を重ね、 モデル事業によって「生活支援サービス」や「地域ケア会議」などが地域にとって有効な存在になるように試行錯誤を重ねてほしい。

●課題・ポイント

(1)地域包括支援センターが地域のために動いていることがみえない

(2)介護支援専門員の質を高めるためには

(3)生活支援・予防通所介護の基盤整備が遅れている

(4)生活支援・予防通所介護サービスのあり方について

(5)小規模通所介護が地域密着型サービスに移行するにあたり、
  給付単位数の現状確保と地域との連携や
  運営の透明性の確保に具体策を

(6)特別養護老人ホームの介護度制限

【2】介護サービスの質を高めるのは「チェック」ではない

介 護保険制度や他の行政施策でも、その評価を行う姿勢がないこと、評価を行うことのできる人材やシステムがないことは問題。議会においても、細分化された行 政施策と専門性を持たない議員とでは有効な施策を論議できているとはいえない。限られた予算の中で、手間をかけずにどう執行するかが現在の行政のやり方で あり、区民に暮らしやすい地域を提供する観点で物事が進められていない。この発想を転換すべき。

●課題・ポイント

(1)地域の要介護の高齢者の実情と利用できる
  社会資源を把握できる介護支援専門員などの専門職が
  大田区社会福祉協議会を含め、区の組織内におらず、
  区内事業者の介護福祉事業の質の評価と向上のための
  有効な施策を創れるような人材が確保されていない。

(2)「地域資源の開発」という言葉までその役割になっている
  介護支援専門員、主任介護支援専門員の役割が
  果たされる仕組みになっていない。

(3)東京都介護サービス情報公表制度において
 「ある・なし」のチェックではない介護サービス情報を
 保険者が収集すべき。

(4)介護保険課指導係は、給付を縛り、事業者が柔軟性を
  発揮できず、返還を恐れ自粛している現状を理解してほしい。

(5)暮らしやすい大田区になるための横出し、
  上乗せサービスを検討してほしい。

(6) 「質」とはなにか。全国一律の介護保険給付費以外に
  事業者の質を吟味し、評価する制度と、
  ローカル「加算」を作るなどの施策が必要。


他にも改定に伴う疑問はたくさん!

・生活支援のニーズは、例えば、
 シルバー人材センターで担えるのか?
・厚生労働省はボランティアでのサービス提供を考えているが、
 専門的な見地から判断しなければならない場面も
 多くあるのにだいじょうぶか。
・認知症対応グループホームが増えてきているが、
 基本、外出は難しい。外の風に触れるサービスがあってほしいが、
 利用者がデイサービスに行く場合は、グループホームの
 負担になってしまうので、現実は難しい。
・改定後は、特養は要介護3以上でないと入れなくなるが、
 「軽くて動ける認知症」の人が大変。
・小規模多機能型居宅介護の需要が多いのに区内では2つだけ

ひ とり暮らしの認知症の高齢の女性の事例は印象的でした・・・決まったファーストフード店に入ると、彼女の「いつもの」ハンバーガーセットを用意し、必要な お金をとってくれるアルバイト店員がいる。彼女は決まった通りを歩きながら、店ごとに明るく声をかけていく。彼女の暮らしが守られるには、どうしたらよい か。施設に入ることが彼女の幸せになるのか。

浜さんの高齢者の生活とその心に寄り添った実践は、これからの「地域包括ケアシステム」のあり方へのヒントとなるものですが、しかし課題はあまりにも大きく、行政は実態把握をどの程度すすめているのか不安が残ります。

地域の実情にあった、地域包括支援ケアシステムを構築するために、利用者と社会資源とを結びつけるコーディネート機能や協議体の設置は急がれます。「心」ある地域包括支援ケアシステムの構築を望み、活動していきたいものです。