星野富弘美術館に行ってきました

星野富弘美術館は群馬県みどり市東町、わたらせ渓谷鉄道の走るすぐそば、美しい山々に囲まれた湖のほとりにたっています。

 

野の花たち

星野さんは大学卒業後、中学校体育の教師になってすぐ、クラブ活動の指導中に頸椎を損傷して手足の自由を失ってしまいます。病院に入院中に口に筆をくわえて文や絵を描くことを覚え、お見舞いにいただいた花を描くことを始めました。子どもの頃に育った野山、自然を見つめるまなざしと介護をしてくれる母親への感謝、生かされていることへの神への感謝の思いが美しい絵と文になって、多くの人に感動を与えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のチラシ

 

 

私も以前から星野富弘さんの作品には心を寄せていましたが、今回初めて、作品が生まれた背景である彼の生まれ故郷で原画を見ることができて、改めて作品に心をとらわれ、自然がいかに私たちに語りかけているかを彼の感性を通して教えられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花のハガキ

 

畑のあぜ道には生えている、時には雑草として抜かれる運命の草花にさえ、心をとめてその美しさを描く星野さん。特に現代社会の気ぜわしさの中で、小さなものに目を向けなくなってきていること、大事なものを見失ってきていることなど、私たちへの警鐘にも感じられます。地球に生きているのは、人間だけではないんだよ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花のハガキ

 

 

完全なバリアフリーは美しく優しい設計

足の悪い母と行ったので、車イスを借りました。建物は平屋のせいか、景観に対して圧迫感がなく、周りに溶け込んでいます。入口の扉は両側に広く開く自動ドアになっていて、車イスは余裕で入れます。

 

 

 

 

 

 

 

全景

 

 

ゆったりとした円形のロビーを中心に、放射状に展示室がしつらえてありますが、これも全て円形で、車イスで回るとき、実に自然に回ることができるのです。そして壁に並んでいる作品の高さが車イスからの目の高さに合わせてあるので、母も作品の一つ一つをじっくり楽しむことができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

母と

 

 

車イスの人にとっての快適さが、車イスを使わない人にとって不便ということはまったくなく、円形の部屋はじつに優しく柔らかい印象でだれにとっても快適です。超高齢化を迎える社会の中、また多様な人々の社会参加が当然であるという認識にたてば、まだまだ社会のインフラのバリアフリー化が進んでいません。とってつけたバリアフリーではなく建物全体から優しさがにじんでいて、自然な動きを促すものであり、星野富弘美術館は先駆的な建物だと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

日本建築学会賞受賞の建築

 

 

豊かな自然の中で深呼吸をすることもおすすめですし、星野富弘美術館へもぜひお出かけください。

 

 

 

 

 

 

 

星野富弘美術館の前