街に緑を  国立の大学通りに思う

知人が最近、国立市に転居をした。駅からの通りが美しいからぜひ見てほしいと連絡があったので、近くに用のあったついでに国立駅に降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

国立駅

 

国立駅南口のロータリーからまっすぐ続く広い道路。両脇に高い建物がないので、空が広く広がっている。驚くのは両脇の幅広の緑地帯、桜とイチョウが交互に植えられた並木が1.2キロ続いているという。

 

 

 

 

 

 

 

木々が囲む道路

 

 

 

 

 

 

 

低層な建物のおしゃれな店が並ぶ

 

緑地帯には桜の大木を取り囲む大小の木々や花たちが重層的な豊かな緑を織りなしている。その緑地帯の中や脇にはところどころにベンチが置かれていて、いつでもゆったり座れる安心感がある。

 

 

 

 

 

 

 

歩道にはベンチ

 

 

 

 

 

 

ベンチがいっぱい

 

ベンチの背には「メッセージプレート」が貼られている。市民の寄付によってこの椅子が設置され、一つ一つの椅子には贈った人の思いが込められているのだ。市民がいかにこの街をこの道を愛しているのかが伝わってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンチにプレート

 
緑地帯をよく見ると、桜の若木が小学生によって植えられていたり、花の手入れが市民の手によってなされていたりすることがところどころの案内に示してある。桜を守るために、市民ボランティアの「くにたち桜守」制度があり、樹木医研修も行われて保護に努めているそうだ。国立の人たちが自然を愛し、主体的に緑を守ろうとする文化もあることが伺われる。

日本のたいていの都市は“景観”より“経済”を重視した“まちづくり”とはいえない“まちづくり”をしてきた。そんな街を見慣れているせいか、緑や空の存在感が圧倒的に大きいこの国立の通りが実に新鮮にうつる。知人は毎日、この通りを犬の散歩で通るとのこと。長い道のりでも楽しくて疲れを感じないという。

 

 

 

 

 

 

 

一橋大学の入口

 
日々の生活が自然との調和の中にある。心がやすらぐ環境。それこそが大切なのだから人の等身大のまちづくりをしていくべきだ。“稼げるビル”が乱立する街は、きっと将来的には心を病む人が増えて、結局は不経済になるのではないかしら。度々立ち止まって写真を撮っているうちに、うっかり道の真ん中に立っていた。クラクションも鳴らさずに待っていてくれた車にお詫びをしつつ、寛容な街だな、と感じる。

 

 

 

 

 

 

 

レトロなポストが現役でがんばっている歩道

 

人も自然の一部。土と緑のあるまちづくりを駅前からがいいな・・・と考えつつ、帰路につく。目に入るのはコンクリートのビルばかり。あーあ、どうにかならないかな、東京。

そうそう、国立駅は大正時代にあった駅舎を復活させるという。今、その工事が行われているが、情緒ある建物が美しい緑の通りにますます魅力を加えることでしょう。今度は桜の時期に来てみようかな。

 

 

 

 

 

 

 

大正時代の駅舎の復活のお知らせ