要支援児対象の学童保育の受け入れ開始&2つの民間運営学童保育施設の試み

要支援児(障がい児)を対象とした
 学童保育の利用対象の拡充

昨年、出された陳情の採択により、いよいよこの10月から、小学校4年生から6年生までの障がいをもったお子さんの受け入れが始まります(試行実施)。学校から児童館までの送迎などの課題はまだありますが、ひとまず大きな前進です。

以下にその概要をお知らせします。

対象施設:沢田児童館・南馬込三丁目児童館・東糀谷児童館・
        蓮沼児童館・西六郷おおたっ子ひろば
受入人数:児童館3人、おおたっ子ひろば1人
申請受付期間:
     平成24年度は、平成24年7月上旬から7月中旬まで。
     平成25年度は、平成25年度学童保育利用申請受付期間。

児童館事業の民間委託について

平成25年度から、大田区は児童館を2館ずつ、6館を民間委託すると発表しています。
(平成25年度:萩中児童館・本蒲田児童館 平成26年度:大森北児童館・田園調布本町児童館 平成27年度:中馬込児童館・千鳥児童館)

目的は、“乳幼児事業の充実や学童保育の時間延長など、児童館事業の拡充に際して、効率的にサービスを提供できる民間事業者のノウハウを活用するため”としています。

児童館は、子どもにとって重要な居場所です。ただのコスト削減や保育時間延長のためだけの民間委託とならないように、中身、質が問われなくてはなりません。

そのためには、現在の児童館の実態把握から、「何が喜ばれているのか」「何が求められているのか」を探ることも重要ではないでしょうか。新しい児童館に何を求めるか、時代に即したダイナミックな発想があってもいいと思います。今後の流れをしっかり見守っていきたいものです。

委託先を選ぶ「選考委員」には一般区民の参加もあった方がいいのではないか、とも思います。区民が求める児童館を区民が選ぶのって自然じゃないでしょうか? 
大田区の子どもたちの育ちを力いっぱい応援してくれる児童館を望みたいですね。

さて、大田区には、現在、児童館が48館ありますが、そのうち2館はすでに民間が運営しています。先日、この2つの民間の児童館の方々から、お話を伺うチャンスがありましたので、ご紹介いたします。

■子ども交流センター(大森西)

ここは、以前、大森第六小学校だったところを利用してできた「区民活動支援施設こらぼ大森」の3、4階部分を利用した児童館です。学童保育室、ファミリールーム、中高生の音楽スタジオなどがあります。

特徴的なのは、近隣の自治体・町会ベースの地域住民がつくったNPO法人が運営しているということ。「地域がささえる子育ち・子育ての拠点」をキャッチフレーズに、地域のみんなで創りあげる児童館をめざしているとのこと。

日常的な活動にもお祭りや運動会にも、地域の人やサポーター、OBなどが積極的に関わってくれているそうです。

他の児童館と違う特徴的なところは、「登録制の幼児クラブ」「中高生対応としての音楽スタジオ」こだわりのクラブ「たべごとクラブ」があることでしょうか。

●登録制の幼児クラブ
0歳、1歳、2・3歳のクラスに分かれていますが、登録数はなんと244組。グループに分かれて、週一回、グループごとに集うという方法をとり、一年間同じ仲間と絵具遊びや粘土、畑作業など五感を使った遊びを楽しむそうです。雨の日もタクシーに相乗りして集ってくる人たちもいるほどの人気だそうです。

幼稚園の子どもたちの放課後の居場所として人気なのが「たべごとクラブ」。これは料理をするだけでなく、素材やその歴史も学び、親子で体験遊びをする時間です。

●学童クラブ
小学校の校舎を使用しているので校庭や体育館で遊べ、またお父さんたちの協力も得て、夏休みに平和島ユースで1泊のキャンプをしたり、地域、父母もいっしょになって、子どもたちの環境を創る工夫をされています。

●中高生対応
防音設備の整った音楽スタジオではドラムの練習をする高校生。そして指導する青年スタッフ。200人もの中高生が登録しているこれも人気の事業です。年3回行われるライブは中高生の自己実現の場にもなっているとのことでした。

私がいいな、と思うのは、ずっとつながっていられる環境です。乳幼児期から、小学校、そして中高生。実際、学童から育って、バンドに入って、今度は大学生になって学童保育事業を手伝っている人もいるそうです。

子ども交流センターが“子どもの育ちを応援すると同時に地域の仲間作り、ひいては、地域づくりになっている”という大きな循環をみさせてもらえた印象です。

■上池台児童館

こちらは、社会福祉法人が運営しています。すでに都内では実績のある法人で、もう大田区で委託を受けて11年目になります。乳幼児対象の活動と学童保育、中高生の参加も日常的にあります。

学童保育は区内で最大の受け入れ、90名です。日頃は、自由時間の他、設定スポーツの時間には、手打ち野球やキックベース、各学年の組織活動などがありますが、イベントや特別プログラムに創意工夫があります。

たとえば、「みんなで雑巾をぬおう」という日や「駄菓子を買う日」として、町に出かけていく日もあります。同じ法人の児童館合同でのドッジフェスタ。商店街のお祭りに参加したり、夏祭りの手伝いのボランティアをしたり、高学年はデイキャンプや合宿も体験するそうです。

低学年と高学年の交流でおもしろいと思ったのは、高学年が児童館をお化け屋敷にして、低学年を楽しませたこと、これは高学年の自主的なアイデアから生まれた活動だそうです。

夏休みの館内合宿は、館内かくれんぼなどダイナミックな遊びを思いっきりできるイベントとして、子どもたちがとても楽しみにしているものだそうです。

中高生は、区民センターにでかけて、バスケットボールをすることもあるそうですが、そこだと高校生なら、夜9時まで使えて喜ばれているそうです。

子どもたちの自主性を大事にすることやボランティア活動が盛んなのは、児童館の「基本理念」が根底にあるからでしょうか。他にもお母さんたちのアイデアを生かした、いらなくなった服を持ち寄る、年2回の「子ども服リサイクルデイ」は大変な賑わいだそうです。

以下に上池台児童館の運営を行っている社会福祉法人雲柱社の
児童館管理・運営の基本理念をご紹介します。

①私たちは、みんなの居場所となる児童館を目指します。
②私たちは、子どもたちが多くの人と出会い、遊びや行事などへの参加を通して社会力を培う児童館を目指します。
③私たちは、子どもたちやその家族が抱えている問題を受け止め、共に担う児童館を目指します。
④私たちは、世界の人たちと共に生きるための学習や異文化体験、ボランティア活動などに取り組む児童館を目指します。
⑤私たちは、子どもたちが平和を愛し、差別や偏見に立ち向かう力を育む児童館を目指します。