最近「世界の環境問題」に関心を持っている姪の勧めで、世界報道写真展を観に行ってきました。
(恵比寿ガーデンプレイス 東京都写真美術館 8月5日まで。以降各地を巡回)
世界報道写真展は、124の国と地域、5247人の応募の中から選ばれた写真家たちの170点の写真の展示です。命がけで撮ったであろう写真がいくつもありましたが、実際、この写真を残し て亡くなってしまっている写真家もいるそうです。
さて、2011年という年は、私たちにとっては、「東日本大震災と原発事故」が最も大きな事件であり、今も大きくその影をひきずっている日々ですが、この写真展に行って、こんなにも世界中でいろいろなことがあった年であり、それ以前にも世界は、なんと多くの問題を孕んでいるのかと、改めて驚き、言葉を失い、立ちつくしたのでした。
・エジプトで起こったムバラク大統領の辞職を要求するデモと暴動
・リビヤの体制への抗議運動とカダフィ大佐の死
・ノルウェー・ウトヤ島での無差別大量殺人
アジアの新興国で需要があるからと、角を密猟されたかわいそうなサイたち。
各地で存続する児童結婚の伝統。
麻薬カルテルの抗争の町。
差別、貧困、犯罪や政情不安、戦争、自然破壊。人権侵害ももちろんそうですが、自然や動物をこんなに破壊、いじめていいものなのか、と「お金のため・経済優先」という「人間の身勝手さ」を見せつけられました。
そして世界中いたるところで、民主主義を求めての戦いが今日も行われていること、世界中、どこでも息子を亡くして泣く母、家がなくなって途方に暮れる子どもたちがいること、瀕死の動物たちがいること、でもそれをさらに包み込むような、広大で荘厳な自然、あきらめないで今日を生きている人々がいることを知ることができます。
写真の持つ力の大きさに本当に圧倒された時間でした。
最後に、フォトエッセイ「希望の大地」から桃井和馬氏(報道写真家)の言葉をご紹介します。
「今、人間に必要とされているのは、カネを儲けるための知識ではないし、モノを増やすための情報でもない。地球はひとつしかない。その事実を正面から受け止め、人が人としてこの地球で生きるために必要な、本物の知恵であり、叡智なのだ。」
フォトエッセイ 希望の大地——「祈り」と「知恵」をめぐる旅 (岩波ブックレット)/岩波書店