大田区議会 決算特別委員会で、 「公共施設の適正配置方針について」質問しました
現在、大田区議会では、決算特別委員会が行われています。
今日は、総務費。
私は「施設整備」に関して、大田区が昨年策定した「公共施設の適正配置方針」について質問しました。
公共施設の老朽化が一斉に始まり、建て替え需要が財政を圧迫することから、今後、建築する建物はできるだけ複合化、多機能型をめざすとのことです。
それならば、使い勝手がどうなるか、点検が必要なので、区民活動連絡会など利用当事者の区民意見をちゃんと取り入れる仕組みを作るべきとの内容です。
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行政(理事者)の答えはどれも「適時適切に対応してまいります」でした。
今後、具体化するときに、どのような動きになるのか、注目していこうと思います。
「大田区公共施設適正配置方針」について、質問いたします。
平成26年に作成された大田区公共施設白書を踏まえて27年には大田区公共施設適正配置方針が策定されました。
区の公共施設573のうち、60パーセント以上の公共施設が築30年以上経過しており、今後20年で多くの施設が更新時期を迎えることになること、少子高齢化や区民ニーズの多様化、複雑化などが、背景とされています。
白書によると、大規模改修、建て替えにかかる将来費用の試算結果は、今後45年間にかかる費用総額が6,047億円、1年あたり約134億円、現時点で1年 あたり改修費用が95億円なので、年平均で40パーセントの増となる予測とのこと。もしこの95億円を維持する場合は区保有施設の延べ床面積の29パーセ ントを削減しなければなりません。そこで、公共施設適正配置方針の基本的な考え方を「施設機能の集約、複合化、多目的化等により施設利用者の利便性を高め つつ、施設の総量抑制を目指していく」としています。
公共施設は区民生活にとって、もっとも身近でなじみ深いものです。施 設でのサークル活動を生きがいにしている人もいます。施設の総量抑制で、複合化や機能集約をするのであれば、その地域の区民にどのような影響があるのか、 区民ニーズに叶っているかどうか十分調査していく必要があります。
お聞きします。
【1】適正配置方針の目標の中の柱の中に「地域のニーズに応じた機能導入による施設の複合化」とありますが、“地域のニーズ”のとらえ方については、公共施設適正配置方針には示されていません。どのようにとらえていきますか。
これは区民が利用する公共施設、全てにおいていえることではありますが、使いやすい施設にするためには、計画段階から、設計に至るまで利用者・当事者の視点が入ることが重要です。
そのプロセスが十分ではなかったと思われる例は、大田区総合体育館です。障碍者が利用することはわかっていたはずなのに、エレベーターが狭く、リクライニン グタイプの車椅子はぎりぎり入るか入らないかの狭さです。また車椅子のまま利用できるシャワールームの鏡は、大人が立って見る高い位置についており、障碍 者のことを考えて作られたとは思えません。トイレも障碍者用はメインアリーナのある地下1階には3つしかないので、大きなイベントではかなり厳しいことで しょう。
方針の中に「学校施設の複合化・多機能化による、地域コミュニティの活動拠点づくり」というのがありますが、学校 は地域ごとに必ずあり、地域防災拠点でもあり、地域の人にとっては身近で重要な施設です。どのような機能を置きこめば、地域が安心で暮らしやすいものにな るのか、しっかり考えなければならないでしょう。高齢化がすすむことを考えると地域包括支援センターとの組み合わせもよいかもしれません。他の自治体では 学校と保育園、学校と高齢者施設の組み合わせもあります。
時代のニーズに合わせた活用方法は新しく開拓していく分野です。
お聞きします。
【2】 今後の公共施設整備にあたり、学校・児童館など、地域の拠点となる可能性のある場所については特に、どのような機能を持たせればよいか、何に配慮して設計 すべきか、地域の利用当時者の意見を反映できる仕組み、たとえば協議会の設置などが必要だと考えますがいかがですか。そしてその協議会には、日ごろから地 域の課題を吸い上げているNPOや区民活動団体に加わっていただくことが望ましいと考えます。区民活動団体には高齢者の支援活動をしている団体、障碍者に かかわる団体や子どもの貧困対策や居場所にかかわる団体や文化活動をしている団体など多くの団体が加盟しており、公共施設の積極的な利用者でもあります。 地域の声を町会に代表させることが多い大田区ですが、町会だけだと年齢的にも性別的にも偏りがあります。たとえば学校を改築する際、作られる「学校改築協 議会」の構成メンバーとしても、区民活動団体連絡会も入れ込むことはできませんか。
さて、方針の中には、「地域ごとの将来のまちづくりを見据えた、施設の適正配置の実現」とあり、方策のなかに、「医療、介護、福祉等の相談、介護予防の場の提供な ど、地域が抱える課題を主体的に解決することを目指します」とあります。人とのつながりを構築しながらの主体的な地域づくりはこれからの大きな課題であ り、そのためにも、身近な施設の在り方を考えていくプロセスは、課題解決のための住民自治を喚起するのにとてもよいきっかけになるのだと考えます。
施設利用・運営の在り方についてお聞きします。
日頃、施設の使い勝手においては、区民は様々な問題を感じています。
ある団体は発達障害の子どもたちの運動遊びに公共施設を使うにあたって、毎週決まった曜日の同じ時間帯でないと子どもが不安定になるので、抽選ではなく、毎週同じ曜日を抑えることができないか、と悩んでいました。
また利用者間で使用するロッカーがほしい、など施設利用に付随して様々な要望があります。
一定のルールで運用されるべきことは当然ですが、地域や利用者で合意がとれれば、地域の課題解決のために、ある活動を優先的に入れ込むということがあってもいいのかもしれませんし、また施設の機能の中におとしこめるものもあるのかもしれません。
現在は、そのような施設利用者の思いが受けとめられたり、協議する場はないのではないでしょうか。
六郷特別出張所とさわやかサポートと子ども家庭支援センター、六郷集会室が多機能型の複合施設として昨年、六郷地域力推進センターとして開設されましたが、使い勝手はどうなのでしょう。検証の仕組みはあるでしょうか。
お聞きします。
【3】複合化・多機能化が推進されることになると、部局を超えて、全庁的に新しい使い方を研究していく姿勢が求められます。
公共施設適正配置の推進に向けて、PDCAサイクルが示されており、公共施設適正配置の実行に続いて、効果検証、改善と続きますが、効果検証はどのようにしていきますか。
効果検証というからにはハードの面だけでなく、使い勝手、実際利用する人の意見を吸い上げる仕組みが必要です。もちろん検証するのは、区民であるべきです。 よい点は次の施設設置に生かし、反省点は改善に向けて研究していかなければなりません。効果検証のための新たな協議体・公共施設利用者協議会などを設置で きませんか。計画・設計のときと同じように、区民活動団体をぜひ入れ込むことを希望します。
多額の税金がつぎ込まれる施設整備です。最善の注意を払って、区民の福祉向上のために推進されることを期待いたします。