大田区の文化的歴史的遺産の活かし方ー議会報告4:馬込文士村記念館(仮称)開設を求める陳情
今回の第4回定例会に提出された様々な陳情のうち、私の所属する「地域産業委員会」には、「馬込文士村記念館(仮称)開設に関する陳情」が付託され、審査が行われました。陳情の主旨は、“大正末期から昭和初期にかけて多くの作家・芸術家(川端康成・北原白秋・室尾犀星・萩原朔太郎・尾崎士郎・宇野千代・三島由紀夫・・)が移り住んだ馬込文士村は都内でも最大規模。この文化的歴史的遺産を発展・継承するためにも独自の記念館を建設してほしい”というものです。私は「採択」を求めましたが、結果は「継続」ということになりました。
しかし、その後、私たち、地域産業委員会では、委員会視察として馬込郷土博物館・尾崎士郎記念館・山王草堂記念館・馬込文士村資料展示室(山王会館内)を巡って学芸員の説明をお聞きし、今後の馬込文士村の紹介のあり方を考える機会を持ちました。今後、区民からの意見を聞きながら、大田区の誇る遺産というべきものをしっかり残していく方策をしっかり考えるべきだと思います。
郷土博物館
尾崎士郎記念館
馬込文士村資料室(山王会館内)
以下は、委員会審査の中での賛成討論です。
29第51号、馬込文士村記念館(仮称)開設に関する陳情の採択を求めます。
近代日本文学の中心を担った作家たちがこれほど多く住んでいた地域は他にはないといいます。貴重な文化遺産を後世に伝えるためにも馬込文士村記念館のようなものを作ることには大きな意味があると考えます。今は、馬込文士村といいながらも道の所々に石碑があるだけで、当時を偲ぶものはほとんどなく、作家の住んでいた家など、もっと残すことができなかったのか、残念に思います。世界的に人気のある版画家の川瀬巴水も区内に住み、本門寺を描き、代表作に「馬込の月」があるのですから、馬込文士村記念館をつくるとしたら、文学・絵画も合わせての文士村記念館にしたらよいのではないかと考えます。
今、大田区が大田区ブランディングシティプロモーションを考えていくとしていますが、わざわざ宣伝費用を使わなくてもすでにある素晴らしい資源をキチンと提示することで、おのずと世界に大田区の良さを伝えていけるのではないかと考えます。今は訪れた人が感動すれば、それをインスタグラムなどで一瞬のうちに世界に発信してくれるのです。
馬込文士村記念館はその有力な資源になることはまちがいないと考えます。
馬込の郷土博物館には老朽化に伴った建て替え計画もあるということですが、郷土博物館のコンセプトは「考古・風俗・歴史」と聞きました。であれば、文学・絵画との住み分けを考えてもよいのではないでしょうか。それも視野に入れて、大田区全体の中で、文学・芸術を味わう拠点をどう配置していくか、研究しながら進めてゆけばよいと考え、この陳情の採択を希望いたします。
山王草堂記念館(徳富蘇峰の足跡をたずねて)
蘇峰公園
*写真はすべて「大田区立」です。