【ご案内】“OTA未来カフェ”へのお誘い『特別養子縁組制度について』4月21日(土)10:00~
予期せぬ妊娠による不安や絶望から母子を救う
特別養子縁組の推進を!
昨年、第4回定例会の一般質問において「特別養子縁組制度」を取り上げました。増え続けている虐待の中で0歳児の虐待死が最も多いこと、乳幼児期の心身へのダメージはその後の成長に大きく影響することから、妊娠期からの相談体制と「赤ちゃん縁組」の研究・推進が求められます。
虐待のハイリスク、予期せぬ妊娠、未受診妊婦の背景
大田区で、産科に緊急搬送された未受診妊婦(妊婦健診を一度も受けていない)が28年度は6人でした。この場合は保健師と子ども家庭支援センターが関わり、母子手帳を交付し特定妊婦と位置づけ、支援していく体制を作っていますが、もし産科との関わりを全くもたないで自宅出産をしている場合などは把握もできず、支援もできないのです。
民間の相談機関「にんしんSOS東京」の報告によると、未受診妊婦の背景には貧困、家庭内の複雑な事情、性暴力の被害、性産業従事、近年では出会い系サイト、およびコミュニティサイトに起因する性被害が増えているとのことです。
非正規雇用が増え、相対的貧困が進んでいますが、母子手帳交付に必要な妊娠証明を得るための産婦人科初回受診料や出産費用は大きな負担です。経済的な支援が必要であり、またどのような案件であっても相談に乗り、本人が自らの意志決定をしていけるように、その後の生活を一緒に考え、ふさわしい社会資源に結びつけるような継続的な寄り添い型の支援が必要です。また対策が急がれるので、相談窓口に早くたどり着けるように、相談機関の情報がコンビニエンスストア、ファストフード店、ネットカフェなどで入手できるように協力を仰ぐことも必要です。
特別養子縁組制度とは?
愛知県の児童相談所では30年余り、育てることのできない人に代わって、親になりたいという意志のある人が親になる特別養子縁組、いわゆる赤ちゃん縁組を取り持ってきています。たとえば、たった1回暴力を受けて妊娠に至った高校生、だれにも打ち明けられず妊娠後期になり自殺を考えた彼女を救ったのは、この制度でした。長年不妊治療をしても子どもに恵まれなかった夫婦のもとに託された赤ちゃん。家庭裁判所の審判により、親権は産みの親から養親に移ります。児童相談所の児童福祉司から「辛い思いをしたけれどコウノトリの役ができたね」と言われて、その高校生は立ち直ることのできたといいます。
特別養子縁組制度は、赤ちゃんの命を救うばかりか、実親も養親もみな幸せになれる「三者共に良し」の制度であり、欧米では社会的養護はこのパ-マネンシーケア(恒久的な家庭での養育)が最優先とされ、国の児童福祉施策の主軸となっています。
しかし日本ではほとんどの児童相談所が、育てられない子どもは産院から直接乳児院への措置が多く、一定した安定的な保護者との関係を得られないことから愛情渇望や愛着障害に陥ることも少なくありません。もちろん虐待を受けてしまえば心身へのダメージは人格形成に影響を及ぼしかねません。
生後すぐから一貫して子どもを愛し育む、安定した保護者との養育環境の確保を目指すべきです。
大田区、児童相談所の設立準備
2016年5月、児童福祉法が改正になり、社会的養護のあり方を施設から家庭的養護に大きくシフトさせる方向性が打ち出されました。
現在、児童相談所設立のために準備中の大田区です。虐待の問題は社会の問題を映し出しているといえます。抜本的な貧困対策を全庁的に目指しながら、福祉行政は“子どもの権利”の視点から、“子どもの最善の利益”を追求すべきであり、その意味からも母子保健の強化、社会的養護における特別養子縁組制度の周知と推進は必須と考えます。
『大田・生活者ネットワーク区議会レポート101号』でも取り上げています。
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