“楽しく仲間作りをしてほしい” 中高生の居場所・ティーンズプラザ八潮(品川区立八潮児童センター)

7月19日、巨大な八潮団地の一角にある八潮児童センターにおじゃましました。
かつて中高生の居場所がなくて、コンビニでたむろする若者がクローズアップされていた時代、ちょうど放課後全児童対策(学童が学校内に移動した)の時期を捉えて、品川区では中高生対象の児童センターの整備を始め、25ある児童センターのうち、地域ごとの9つを中高生対応型に。25のうち13が直営で、あとは委託です。しかし館長は委託館であっても全て公務員で専門職のたたき上げ、直営と委託館の2つの責任を負う形になっています。
(大田区では児童館といいますが、品川区では児童センターといいます)

なぜ、館長は全て公務員なのか→パソコンのサーバーなど、区の情報をいち早く知る必要性、子どもや親のさまざまな問題を取り扱うときの個人情報は、委託事業者では扱うことが難しいからだそうです。

ティーンズプラザ八潮

かつてこの八潮団地は、2万人の人口、小学校3校、中学校2校の規模だったので、児童センターも大きく1,700㎡。平均的な児童センターが650㎡なので、格段の大きさです。
1階には受付、ホール、ティーンズステーション(中高生だけが使えるラウンジ兼楽器置き場)、スタジオ2室、ライブ会場(機材はもとより、照明やミキサー室など本格的)と体育館(ネットで競技ごとに分けている)、ホールの奥にはビリヤード台、各種熱帯魚などの水槽。さながら水族館のようです。

 

 

 

 

 

 

 

スタジオ

 

 

 

 

 

 

 

ライブ会場のミキサー室

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

2階はクラフトルーム(工作室)、幼児の遊ぶ部屋、卓球室、スタジオ1室(ここは広くてベビーカーも入るので、ママのバンドが使うことが多いそうです)。クラフトルームには様々な材料や機械が置いてあり、今はガラスを溶かしてトンボ玉を作り、かんざしを作ることを女子高校生が楽しんでいるとのこと、また図柄を描くとコンピューターミシンがワッペンに刺しゅうを縫い付けてくれて、キャラクターコンテストも行われたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

ガラスを溶かす機械で作ったトンボ玉のかんざし

 

 

 

 

 

 

 

キャラクターコンテスト出展作品

 

 

 

 

 

 

 

Tシャツリメイクとバッグ制作・募集広告
杉野服飾短大と児童センターとのコラボ事業

 

 

 

 

 

 

 

卓球室

 

最高の機材を置くスタジオ

3つのスタジオとライブ会場。最高の機材が置かれ、楽譜も豊富。多くのプロを生み、地域のお祭りなどにも協力している若者たち。OBが高校生に教えにきたり、高校生が小学生に教えたりする姿など、交流、循環が生まれているそうです。館長は彼らに「音楽を通して仲間づくりをしてほしい、人生の糧にしてほしい。自分は将来何をしたいか、考える場所にもしてほしい」というそうです。

 

 

 

 

 

楽譜

 

そーめん食堂(夏休み限定)

「マイそーめん」を持ってきて、それぞれゆでて食べます。そーめんキープもできます。
麺つゆは地域からの寄付。おかずは、外の畑からきゅうり、ピーマン、トマトなどを活用。あと片づけは自分で行う。全てを用意してしまうと自分で生きる力が失われてしまうから。
夏休み、学校の給食がないと困る子どもがいる。貧困対策にもなり、孤食を防ぐことにもなる。幼児を2階で遊ばせて帰りがけ、食べて帰るママたちも多い。

 

 

 

 

 

 

 

畑、トマト、なす、きゅうり、すいか、しそ・・・

 

IH調理器具は、職員に声をかければ自由につかえる。
味噌作り、クッキー、べっこう飴作りも行っている。

 

 

 

 

 

 

 

イベント告知

 

相談窓口

SOSを見つけたら(ネグレクト・養育困難)→児相・学校・子ども家庭支援センターへ。
中高生には問題が多い→相談係(安心ネット、要保護児童)。若年出産が多い。
要保護児童対策地域協議会(保育園・民生委員・学校(私立も含める)・警察・人権擁護委員・保健所・子ども家庭支援センター・品川児童相談所が集まる)は13の地域ごと、児童センターで行われる(区で一つのところもある)。細かいところが見えるように、すぐに動けるように、現場が事務局を担う。

品川区の3階層 〔1〕区 〔2〕13地域 〔3〕個別のケース会議

 

夏休み前の性教育が大事 

「まだ父ちゃんにはなれないぞ。稼げないでしょ。好きならがまんしよう」
男性職員が男子に。女性職員は女子に。

 

トイレに工夫

ライブがある関係で、着替えが必要な場合も多い。着替えができるような台、メイクがしやすいように棚、全身が映る鏡も。若者のニーズを的確に捉え、魅力的な館になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トイレの個室にも姿見と着替えのできる台がついている

 

それぞれのティーンズプラザに特色

中高生になると移動もしやすい。自分に合ったティーンズプラザを選べばいい。自分らしい活動をみつけてほしい、と考える品川区。例えば・・・
・富士見台児童センター:ティーンズミュージカル
いずみたくの「フォーリーズ」がバックアップ。1年間ワークショップを行って、1月には公演。
・ゆたか児童センター:ボルダリング
・平塚児童センター:トランポリン、日体大が月1で指導(その子どもにあったレベルの飛び方を指示)
というふうに。

 

気さくな館長

日に焼けたたくましい体にランニング姿。とても公務員には見えませんが、子どもたちを一人の人間として信頼して付き合う姿や、児童センターに何ができるのかを追求する姿勢、子どもをとことん応援する情熱と行動力には大いに学ばされました。スーパー公務員ですね。
 

 

 

 

 

 

 

館長といっしょに