集まれ!地域の担い手 ささえーる薬王寺(新宿区立薬王寺地域ささえあい館)

7月20日、新宿区牛込柳町にある「ささえーる薬王寺」を訪問しました

 

 

 

 

 

 

 

入口

 

地域の支え合いの拠点に

“高齢者の自立”と“サポーターの活躍”の場所
今年2月にオープンしたばかりの「ささえーる薬王寺」は、高齢者の自立を支援することと世代に関わらず一人ひとりが役割を持ち、互いに助け合い、支え合う活動を推進することを目的とした施設です。さまざまな経験や技術を活かして活動している団体や人を「サポーター」として登録してもらい、高齢者の自立支援に関わりながら、さらに自分の可能性をひろげていってほしいとの願いがあっての取り組みです。

新宿区は全国で2番目にNPOが多い自治体です。NPOがのびのびと活動できるような支援のメニュー、区との協働も盛んですが、そういう下地があってこそボランティア活動、地域への還元という流れが作られやすいのかもしれません。
「ささえーる薬王寺」は1階が保育園、2階が「ささえーる薬王寺」、3階が児童館という複合施設になっています。2階にはいると、すぐにキッチン付きのラウンジが拡がり、他にスタジオ・活動室があり、高齢者等支援を目的とする団体や個人、区内在住の60才以上の方が全て無料で使えます。現在、この施設への支え合い活動に登録している団体は7団体ですが、その他にも美容専門学校の学生ボランティアがハンドトリートメントに来てくれたりもしているそうです。

 

 

 

 

 

 

スタジオ 「新宿いきいき体操」などが行われる

 

7月のプログラムを見ると、歌声広場、ハンドトリートメント、パソコン講座、ストレッチ体操、ウオーキング講座、昼食を作って食べよう、夕食を作って食べよう、お手軽薬膳クッキング、男のおつまみ講座、愛妻に捧げる男の料理、おひとり様のお手軽クッキング、簡単に作れる心と体に優しい料理と特に高齢者向きとは限らないイメージのプログラムが並んでいます。特徴としては、「料理」が多いことです。

 

 

 

 

 

 

 

新宿音頭に合わせて「新宿いきいき体操」が行われるそうですが、どんな体操なんでしょう

 

 

 

 

 

 

高機能コピー機。印刷もコピーも一台でできる

 

食育に重点をおく“共食”

健康部健康づくり課の方からお話を伺いましたが、65歳以上の女性の3分の1が低栄養傾向にあるそうです。福祉部との話し合いを重ね、栄養を取ることと楽しく食べることを目的として、“一緒に作って一緒に食べる、共食”の活動を「ささえーる薬王寺」のプログラムに入れ込んだとのことでした。配食サービスだけだと“孤食”の問題は解消されないので、人との関わりの中で食事をすることを主眼としたのだそうです。
玄関を入ったらすぐにキッチンのあるラウンジになっているところにもこの施設の狙いが感じられました。

 

 

 

 

 

 

 

ラウンジ

 

食育ボランティアとは

食育ボランティアは平成20年からスタートしたもので、区民の力を借りて、食育に関する活動をしていく取り組みです。現在85名の方が登録しており、うち半分が栄養士や管理栄養士、20名は調理師、あとの20名は特に資格は持っていないそうですが、年2回の育成講座で食についての研修を行い、自分の身の回りの人に伝えたり、区で実施する食育講座への協力要請などをしているそうです。健康づくり課では「食育ボランティア」85名に聞いた「やりたいこと」をリスト化し、料理を作る以外にも人前で話すことが得意な人、資料作りが得意な人、下ごしらえなどが好きな人などイベントに応じて、得意分野を活かしてもらうとのことでした。

 

 

 

 

 

 

 

しその苗。サポーターが作った苗をイベントのときに配った

 

「昼食を作って食べよう」(講師:食育ボランティア)を見学しました

さて、この「食育ボランティア」が講師になって行われている「昼食を作って食べよう」という講座の見学をいたしました。「ささえーる薬王寺」のサポーターとなってくれている食育ボランティアは6名ですが、2名ずつ組で、指導にあたるそうです。

 

 

 

 

 

 

 

お料理中

 
この日のメニューは〔1〕茄子のくるくる餃子、〔2〕切干大根のトマトジュース煮、〔3〕とうもろこしの中華風まぜごはん。参加者はいつも男性の方が多いとのこと、この日は男性が3人、女性3人でした。(定員いっぱい)。完成した料理を盛りつけ、みんなで歓談しながらの会食です。私もご相伴に預かりましたが、とてもおいしかく、楽しい時間を過ごしました。

 

 

 

 

 

 

なすのくるくる餃子

 

 

 

 

 

 

 

大妻女子大の川口先生考案のお皿

 

 

 

 

 

 

 

料理完成

 

参加者の声
男性:少しずつ料理も手順も覚えてきた。もうみそ汁と野菜炒めは上手にできるしご飯も炊ける。はじめは妻に「段取りが悪い」とよく叱られたが、今は妻が習い事をしている土曜日は自分が食事を作っている。
男性:家にいるとテレビを観るか雑誌をみているだけ。外に出て、人と話して刺激を受けた方がいいと思う。ここはとても楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

さあ会食

 

行政の連携、区民との協働

健康部と福祉部、健康部と産業振興課など連携することで可能性が拡がる、との話を伺いました。
産業振興課は商店の応援を兼ねて、健康部と連携で、「プロが教える、とっておきの・・・レシピカード」を作成して、各店においてもらうようにしたり、姉妹都市である伊那市に「食育研修」ということで、商店主と食育ボランティアがいっしょに出かけたりもしたそうです。

このように新宿区の生涯学習を応援することから始まり、“区民の力を地域の力にしていこう”という流れの中で、“元気高齢者の暮らす地域作り”に熱心に取り組んでいることを垣間見ることができました。行政の各部署の得たニーズをどう連携して解決に持っていけるか、区民との信頼関係と協働の中で工夫していく仕組みづくりに大いに学ばせていただきました。

 

 

 

 

 

 

屋上庭園