核なき世界へ ~被爆者の視点から~ 日本原水爆被害者団体協議会事務局次長 和田征子さんのお話
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長の和田征子さんのお話をうかがいました。(8月18日 大田区消費者生活センターにて 主催:23区南生活クラブ生協まち大田)。
表題
1歳10カ月のとき、長崎で被爆した和田さんは、母親から当時の様子を聞いて、核兵器がどんなに非人道的で残酷なものかを知り、核廃絶を求めて、たゆまず世界に訴え続けてきました。「ノーモア広島 ノーモア長崎 ノーモア戦争」です。
お話の後は、和田さんを囲んで参加者で「すいとん」をいただきました。戦時中の「すいとん」よりはずっと豪華ですが、二度と戦争はいやだという思いを共有しながらの時間でした。和田さんのお話を少しご紹介いたします。
講演の後、和田さんを囲んで
この日、いただいた「すいとん」
★核兵器禁止条約が採択
2017年、ついに「国連核兵器禁止条約交渉会議」が開催され、7月7日には122か国の賛成で条約が採択されました。核を持っている大国は不参加でしたが、核を持たない小さな国々が結束したことで実現したのです。いち早く署名して批准したのはバチカンですが、11月にはそのバチカンで核軍縮のシンポジウムがあり、この時、和田さんが各国代表に向けて講演をされました。
国連核兵器禁止条約交渉会議
★人の心の武装解除がないと平和は来ない
シンポジウムではローマ・カトリック教会の法王もお話をなさったそうです。聖書、マタイの福音書15章「口から出てくるものは、心から出てくる。悪意、殺意、姦淫、みだらな行い、盗み、偽証、悪口などは、心から出てくる」を引用して「人の心の武装解除がないと平和は来ない」といわれたそうです。核は使うことだけでなく、持つことも断罪されなくてはならないと。
さて、この時、和田さんは、法王にも核禁止条約への参加をよびかける「ヒバクシャ国際署名」に署名してほしいと折鶴を手渡し、法王は笑みを浮かべて和田さんの手を握ったそうです。
和田さん、核軍縮のシンポジウムで法王への謁見
アピール
★核兵器禁止条約の国際会議が究明した結論
●核兵器の被害は国境を越えて広がる
●どの国、国際機関もその救済の術がない
●核兵器不使用こそ人類の利益
●核兵器の不使用を保障できるのは廃絶以外にありえない
ということです。
条約ができたことは重い扉が開いたような嬉しい出来事だったとのこと、しかし唯一の被爆国である日本が署名をしなかったことは本当に残念なことだと和田さんはおっしゃっていました。
※核兵器のない世界の実現に向けて、「ヒバクシャ国際署名運動」をさらに進めていきたいと思います。
ネット署名はこちら=> ヒバクシャ国際署名
(「ヒバクシャ国際署名」推進連絡会)
「抑止力」という考え方によって、核を手放さない国々があるわけですが、抑止力とは「脅し」であり、“心の武装”にほかならないのですね。法王の言葉からは教えられます。原発も含めて人間がコントロールできず、しかも、“受け入れがたい苦しみを生む”核は根絶すべきです。