子育て世帯や低額所得者へ家賃補助を! 第2回定例議会での一般質問

6月11日~22日まで大田区議会・第2回定例会が開催されました。様々な角度からのコロナ対策が大きなテーマでしたが、私は「ひとり親を含む子育て世帯・低所得者への居住支援」をテーマに一般質問をしました。もともとあった格差の問題がコロナ渦で浮き彫りにされました。現金給付と同時に暮らしを守る中長期的な支援が重要です。全文を紹介します。(質問は緑字、答弁は青字です。一般質問なので、実際の答弁は最後にまとめてなされましたが、ここではわかりやすく質問の後に入れ込みました。)

https://www.youtube.com/watch?v=_ywJdRKy74c&feature=youtu.be

 

 

2020年第2回定例会 一般質問

子育て世帯や低額所得者への居住支援・家賃補助について

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響は多くの人の生活困窮を招いています。住まいは生活の基盤、ひとり親への居住支援を中心に質問します。

大田区が独自に2016年に調査した子どもの生活実態調査は、貧困対策に取組む目的でなされたものです。調査の結果は、生活困難層が21%、なかでもひとり親家庭の生活困難層の率は45.6%と約半分でした。子どもの養育費を受け取っていない人が76.5%です。ひとり親家庭の保護者の就労率は86.4%ですが、パートアルバイトの人が40%、うち2つ以上の仕事を持っている人が9.9%です。2016年度の厚生労働省のひとり親世帯等調査によると、平均年間所得は243万円。預貯金額は50万円未満が40%です。ひとり親家庭の生活の困難さがわかります。困っていることは、上位から家計、仕事、健康、住居となっています。

今回は、居住支援、家賃補助に特に着目していきたいと考えます。

 

さて子どもの生活実態調査から4年がたちます。調査報告からは生活困難、いわゆる貧困の影響は子どもの学習の理解度や自己肯定感にも関わること、子どもの成長にマイナスの影響を及ぼしかねないことが推察されました。有効な対策を立てることが大田の子どもの将来にも大きく関わります。

 

1.そこでお聞きします。

住まいは生活する上での根幹であり、家賃補助なども含めて区の施策を期待したいところですが、調査に基づいて作られた「大田子どもの生活応援プラン」では、ひとり親家庭に対して有効な支援策が打てたのかどうか、まずはその成果と課題、また今後の施策をどう考えるのか、お答えください。

 

答弁(福祉部福祉支援担当部長・張間秀成)

ひとり親家庭に対しての支援策についてのご質問ですが、区は、おおた子どもの生活応援プランを策定し、すべての子どもたちが地域社会から切り離されないよう、社会的包摂の理念のもと、様々な施策に取組んでまいりました。

昨年度、生活にお困りの世帯の子どもに対する学習支援事業では、中学三年生の112人全員が高等学校に合格いたしました。また、離婚と養育費にかかわる総合相談では、毎回、定員を上回る申し込みがあり、専門の弁護士が対応し相談者に的確な助言をし、相談することで、気持ちが楽になったなどの感想が複数ありました。このような成果はあったものも、貧困の連鎖を断ち切るためには総合的な対策を推進する必要があります。

引き続き、今年度実施する子どもの生活実態調査等において、ひとり親家庭の現状の把

握や課題の抽出につとめ、子どもに寄り添った支援策の展開をめざしてまいります。

 

プランを立てて実践したあとには、当事者を含めた第3者の評価や検証をもとにさらに全庁的な施策展開の拡充を求めます。

 

ここにきて、新型コロナウイルス感染拡大は経済や家庭生活に大きな影響を及ぼしています。

ひとり親を支援している団体、NPO法人「しんぐるまざーふぉーらむ」が4月始めに新型コロナでの影響:シングルマザー世帯への支援策に関するアンケートを行ったところ、もっとも必要とする支援策として、「すぐに現金給付がほしい」と言う人が78%でした。今日、明日の生活にも困っている人が多いことがわかります。

特別定額給付金に続いて、国の第2次補正予算では児童扶養手当が支給されているひとり親世帯への臨時特別給付金、減収から家賃に窮している人にとっては、住居確保給付金なども当面の大きな助けになります。非常事態である今は、このように当面の生活資金は大変重要です。

しかしさきほど述べたように、もともとのひとり親の脆弱な生活基盤については、改めて考える必要があります。一時的な給付金とは別に、長期的、継続的な生活支援が必要です。

 

生活の大きな基盤である居住支援について質問いたします。

都内での家賃負担は大きいものです。

 

所得が低い場合、区営住宅や都営住宅をまず希望しますが、都営住宅はファミリー向けで2018年は57倍、区営住宅では32倍でした。公的住宅が圧倒的に不足しており、低所得者にとって、住宅を確保することがいかに難しいことかがわかります。また申し込み時期が限られており、すぐに住居が必要な場合には間に合いません。

都内では新宿区、文京区、千代田区、豊島区など、いくつかの自治体が家賃補助の制度を持っていますが、たとえば目黒区では、民間賃貸住宅の家賃補助、ファミリー世帯家賃補助制度があり、所得制限つきで、18歳未満の子を扶養し同居している、ひとり親世帯を含む世帯に月額2万円、最長3年間、家賃補助をおこなっています。

大田区は昨年9月、居住支援協議会を立ち上げました。住居を確保することが難しい人が住宅を得やすくなるように、賃貸住宅の供給促進もめざされます。居住支援協議会の設置の根拠となる住宅セーフティネット法では、最大4万円の家賃補助という仕組みをもっていますが、高齢者をはじめとする住宅を確保しにくい人を拒まない登録住宅を使うことが条件です。しかし登録にはバリアフリーなどハードルが高く結局、区内には現在、登録住宅が1件もありません。不動産業界にこの制度の周知を進め、登録住宅を増やす努力が必要ですが、できるだけ早く困窮している家庭を支える仕組みを構築する事も一方では必要ではないでしょうか。

 

2.お聞きします。

住宅セーフティネット法は住宅確保のために有効な施策ではありますが、登録住宅がない中では、国や都からの補助金はいつ得られるかわかりません。制度の活用ができる環境が整うまでは、目黒区のように家賃補助制度を作れませんか。

 

答弁(まちづくり推進部長・斉藤浩一)

家賃補助制度についてのご質問ですが、住宅セーフティネット制度に基づく家賃低減化への補助の仕組みにつきましては、一般の賃貸住宅を住宅確保要配慮者に対する専用住宅として、家主が都道府県へ登録することや、専用住宅登録後、空きが生じていても、一般の方に入居いただけなくなる制限が生じる等、事業実施に向け多くの課題があります。

このような困難性を踏まえつつ、すでに公開している居住支援協議会の議事要旨に記載しているとおり、現在事務局レベルで、実施の可能性を探っているところであります。

今後は、不動産関係団体への説明会を実施するなど、住宅セーフティネット制度自体の周知機会の拡大を図るととともに、他自治体などの家賃助成に関する先進事例を調査するなど、クリアすべき課題を洗い出したいと考えております。

 

第1回の居住支援協議会の議事録を読むと、様々な話題の中で、日本少額短期保険協会家賃政務保障協会の事故の報告では、多い中に高齢者の孤独死、40代50代の急死、シングルマザーの自殺だということが話され、シングルマザーの生活を支えていくための福祉との絡みのことなどが話題になっていますが、“大田区居住支援協議会としてはまず、今後の支援事業を高齢者対象とし、そして障がい者、その後にひとり親、低所得者については令和4年度以降に取り上げる”としています。生活基盤に関わる住宅支援策において、なぜ対象に優先順位をつけてしまうのか、疑問に思いました。高齢者にとって住宅が見つからないという事態は深刻ですが、しかしだからといって、簡単に他の対象を後回しにしてよいとは思えません。

 

3.お聞きします。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、経済的に逼迫した人は多く、たとえば会社が倒産したことで、社宅から出なければならなくなった人など、日ごとに住宅の需要は高まっていきます。大田区居住支援協議会における支援対象者に順番をつけず、同時進行させることはできませんか。

 

答弁(まちづくり推進部長・斉藤浩一)

居住支援協議会についてのご質問ですが、住宅確保要配慮者としての対象数が多いことから、まず高齢者を最初のテーマとして取り上げております。ただし、障がい者、低所得者、子育て世帯などについても、それぞれの状況や支援ニーズに応じたキメ細かい対応が必要と認識しております。

今後とも関係部署・関係機関と連携しながら、各対象者ごとの支援策を、適時・適切に検討し、実施してまいります。

 

 

2018年の予算特別委員会でも紹介させていただきましたが、ひとり親支援をしているNPO法人「リトルワンズ」は居住支援法人として豊島区居住支援協議会の登録団体になっており、住宅のマッチング、サブリース、リフォーム、シェアハウスへの入居紹介、コーディネート、見守りまで行っています。行政との連携やフォロー体制のあることで、不動産業者からの信頼も得て、住宅の確保がスムーズになっているということを聞いています。

丁寧に相談に乗りながらの伴走型の支援体制、就労支援や子育て支援付きのセットの居住支援も特にひとり親家庭には必要です。

 

4.大田区はひとり親家庭への居住支援をどのように進めていきますか。居住支援法人の開拓は急いで進めていただきたいと考えますが、いかがですか。

 

答弁(まちづくり推進部長・斉藤浩一)

新たな居住支援法人についてのご質問ですが、居住支援協議会には現在、大田区で活動する1法人に、居住支援協議会の構成員としてご参加いただいております。

ここに新たな法人を開拓し、ご参加いただくかにつきましては、住宅確保要配慮者の支援ニーズを詳細に把握し、居住支援協議会の中でも意見交換しながら、必要に応じて議題にしていきたいと考えております。

 

なにより子どもを健康に育てる環境、安心して暮らせる住まいは生きる基盤であり人権といえます。そして子どもの成長は、待ってくれません。

社会的孤立を防ぐためにも、まずは住まい、ハウジングファーストです。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの人の生活困窮の度合いが増してきています。

 

生活保護受給者の急激な増加に対して、対象額53,700円で借りられる物件は23区内では不足しており、最低家賃額を引き上げないと借りられる物件がないと、支援者たちからの悲痛な報告を聞いています。区内には空き家が4万件あると聞いています。全ての人がまずは安心して住める住居を得ることができるように、たとえば大田区が民間アパートを借り上げての准公営住宅化など、さまざまな方法を研究していただき、大田区居住支援協議会がその実効性を発揮することを期待するものです。

様々な問題を生み、さらにコロナ渦によってあらわにされた社会制度の歪みや不足を点検し、改善することが必要ですが、現状、厳しい生活に置かれている人に寄り添った施策展開、特に住宅政策と福祉政策の強い連携を求めます。